津波から逃げる!しかし意外な落とし穴も
「40点の防災」シリーズ第2回です。
さて、今日は東日本大震災から10年。
東日本大震災での教訓、「地震」「津波」「液状化現象」「長周期地震動」「原発事故」、そこから「計画停電」「自粛ムード」などさまざまなことが起きました。これをご覧のあなたはどれに一番影響を受けたでしょうか?
CMが「ぽぽぽぽーん」一色になったことや、一時期全国的に食料品などが品薄になったりしたので、何の影響も受けていない、という方はいないと思います。
今日の14時46分の1分間でもいいです。犠牲になられた方に黙祷を捧げるとともに、あのときのことを少しだけ思い出してみてください。
本題に入る前に・・・
今日のニュースで政府の地震調査委員会が「これからも強い地震や高い津波が起こる可能性は高い」という見解を出したそうです。
これを見て「違和感」を感じたあなたは恐らく防災の意識が多少なりともあると思います。
こんなこと言われなくても、東北に限らずいつ、どこで大きな地震や津波が起こるかは分からないですし、裏を返せば、いつかは起こるものなのです。
それを踏まえて、今回は「津波」に関してです。
津波に対する「100点」の防災
津波に関しての「100点」の防災。僕は「100点」=「物理的に被害に遭わない」と考えてますので、津波に対しての「100点の防災」は「高台に住む」しか答えはありません。「ふざけんな!」と石を投げられそうですが、これは真面目な答えです。
実際、全国のいくつかの集落で、あらかじめ「高台に集団移転する」という計画をしているところがあるそうですが、お金の問題なんかで難航しているそうですね。この辺を掘り下げると「都市計画」の話になっちゃうので今回はやめときます。
それでも、たまたま津波が到達する可能性のあるところを訪れたり通行したりして巻き込まれる恐れはあるので、厳密にいえばこれも「90点」くらいです。
津波防災で必要な知識や事前準備
以下、当てはまる項目が多ければ多いほど助かる可能性が高くなります。
A.家族でバラバラに逃げると約束しておく(=てんでんこ)
B.目指す高台や避難ビル/タワーと、そこまでの行き方を知っている(=「ハザードマップ」を見ている)
C.避難は原則徒歩(津波の場合「走る」)ということを知っている(地方などの例外有)
D.自分の足で目指す高台までどれくらいかかるかざっくりでも知っている
E.地震発生から津波情報が出るまで、2分半以上かかり、その間に津波が来てしまう可能性のあることを知っている
F.(大)津波警報が解除されるまで高台にとどまる必要があることを知っている
Aは大前提です。誰かを助けに、所在を確かめに行かないこと。きっと、違う場所で生き延びていていつかは再会できると信じましょう(気付きポイント①)。Bも大前提。Cも大前提。車が渋滞したり道路が損壊したりしていると身動きが取れません。Dを知っていれば「非常持ち出し袋」を持って行けるかの判断材料になります。Eはなかなか難しいところ(気付きポイント②)。Fも大前提ですね。
気付きポイントの解説
「いつかは再会できると信じる」:10年前と違い今はスマホの普及、SNSの普及で連絡を取り合うのは比較的簡単になっています。電話と違いSNSの通信は多少時間がかかっても必ず通じます。「スマホを持ち歩く」「スマホの電池残量に気を付ける」この2つでお互いの状況は大抵わかるでしょう。
「津波がいつ来るか分からない」:沿岸部にお住まいの方であれば、「体感」で「もしかしたら津波が来るかも」と感じることがありますよね。その体感、信じていいと思います。津波が来そうだと感じたら「津波情報」を待たずに「津波来るかも!」と大声で叫びながら逃げれば助かる確率は高くなります。叫ぶことで近くの方の命も救えるかもしれません。
では、今回の「40点の防災」
津波における「40点」は「津波が来ると知ったらとにかくがむしゃらにどっかの高台を目指す」です。「津波が来ると知る」のはたいていの人がスマホを持ち歩いているでしょうし、防災無線も鳴りますし、なんだったら近所の人が逃げ出せば一緒に逃げるでもいいです。
とにかく、逃げ切ることを諦めず、なんとかしてでも津波が来る前に高台にたどり着ければいいです。ものすごく結果オーライですが、これでも命が助かる可能性が上がりますよね。
誰もが「40点」の行動しかとれないときがある。
最初に「100点があり得ない理由」として「たまたま津波が来る地域にいた」という例を挙げました。沿岸部に住んでいない方でも、分かりやすい例では「海水浴」とか「海辺をアベックで(古いなw)ドライブ」などで沿岸部に行くことはあると思います。
そんなとき、いちいちネットで「津波ハザードマップ」を見てから行きますか?
僕だってそんなことはしませんよ(笑)。だから、基本的に知らない土地に行った場合は「40点」の行動しかとれないんです(気付きポイント③)。
さて、もうひとつ「気付きポイント」が来ました。
地元の人たちはどこに逃げればいいかは知っています。なので、「地元の人たちを追って」逃げれば、逃げる場所を知らなくても、わざわざ足を止めさせて「どこに逃げたらいいか」とか訪ねることをしなくてもいいのです。
以上、今回は「津波」について取り上げましたが、やはりいちばん怖いポイントは「津波情報が分かる前に津波が来てしまう可能性」だと思います。東日本大震災のときは大きな津波が来るまで30分ほど時間がありましたが、次に起こる地震がそうとは限りません。
沿岸部にお住まいの方は常にその危険と隣り合わせですし、内陸部にお住まいの方や高台にお住まいの方も「たまたまそういう危険にさらされることがある」というのに気づいていただけたら、と思います。
では、具体的にどんな行動を起こすか。それは、あなた次第です。
2021.3.11 防災士 後藤 智之
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