見出し画像

【GENDA プロダクトオーナーインタビュー】成果で信頼されるプロダクトマネジメント3つの秘訣

はじめに

ミダスキャピタルは、世界に冠たる企業群を創りあげるというビジョンをもって設立された新しい形のプライベートエクイティファンドです。今回は投資先の一つであるGENDAのCTO兼プロダクトオーナーを担当されている重村さんにインタビューし、「成果で信頼されるプロダクトマネジメント3つのい成果で信頼されるプロダクトマネジメント3つの秘訣」を伺いました。

簡潔に、分かりやすくお話してくださったので、是非最後まで読んで今後に活かして頂きたいです。

ずばり、成果で信頼されるPdMになるためにやるべきこととは?

①コストカット施策を徹底的に行う
②離脱要因や選ばれない理由をつぶす
③競合にはない、選ばれる理由を作る

この3点でした。それぞれ詳しく聞いていきましょう。

自己紹介

林:自己紹介を簡単にお願いします。
重村:もともとヘルスケアスタートアップ企業でエンジニア→プロダクトマネージャーを経験した後に、今はGENDAのCTOをやっています。GENDAではゲームセンターのDXや、アミューズメント関連のデジタルプロダクト(オンラインクレーンゲームや、ゲームセンター会員のCRMアプリ)などを担当しています。オンラインクレーンゲームのアプリは、営業利益黒字化、前年同期比100%以上の売上成長を実現しています。

林:どのようなプロダクトマネジメントを意識されているのでしょうか?
重村:今まで、予算的にエンジニアリソースを潤沢に与えられない厳しいプロジェクトを担当してきました。故に、大胆な施策を考えてフルスイングする機会に恵まれなかったので、逆に、どうしたら絶対にヒットを出せるのか?を研究し続けてきました。今回は、そういった経験も踏まえてお話できればと思います。

林:早速、3つのポイントを聞かせてください。

①コストカット施策を徹底的にやる

林:まず最初に行うべき施策はなんでしょうか?
重村:まず前提として、一番最初から強みづくりを始めてはいけません。というのも、強みづくりというのは、他社がやっていない成功事例を生み出すことで、最も時間がかかり、難易度の高い課題だからです。まずは、短期的に確実に成果を出して、経営陣の信頼を勝ち取り、長期施策に割り当てる時間を稼ぐことが重要です。

林:なるほど、つまりなにをはじめにやるべきでしょうか?
重村:コストカット施策です。特に、最適な原価率や広告予算を計算することが重要です。

林:最適な計算というのは具体的にはどう行うのでしょうか?
重村:まずは事業計画を見直します。売上・営業利益から逆算して、目標LTV・目標CPA・目標変動費率を算出します。

重村:売上志向の組織である場合は、コスト構造に贅肉がついていることが多々あります。例えば、利益極大化のCPAを算定できていない。割引しすぎて利益を毀損している。よくわからない中間マージンを取られているなど。そういった無駄なコストを削ぎ落とし、営業利益志向に変えていくことが、経営陣の信頼にも繋がり、長期投資をしていくにあたって重要だと思います。

林:ありがとうございます。参考にしている本などはありますか?
重村:北の達人コーポレーションの社長が書いた「売上最小化、利益最大化の法則――利益率29%経営の秘密」という本は具体的な考え方やノウハウまで載っているのでおすすめです。

②離脱要因や選ばれない理由をつぶす

林:それでは企画の打率を高める2つ目の手法を教えてください。
重村:離脱要因や選ばれない理由をつぶすことです。これは当たり前なのですが、いくら強みがあったとしても離脱要因があることでユーザーが減ってしまいます。

林:具体的にはどういうことでしょうか?
重村:離脱要因は、アプリストアのレビューやユーザーインタビュー等を実施することで見えてくるものがあります。例えば、バグが多い。電池を食う。無料で遊べない。また、Moment of Truth(真実の瞬間)と呼ばれる、アプリが本質的に提供したい成功体験を体験せずに離脱してしまうユーザーを救う等があります。

林:なるほど。ではそれは防止するために何をしたのでしょうか?
重村:オンラインクレーンゲームの場合は、「クレーンゲームをプレイして当たる」という体験が、一番重要な成功体験です。一方で、数回適当にプレイをして、当たることがなく離脱してしまうユーザーが大半でした。故に、初回ダウンロード特典として、「当たるまで無料でできるクレーン台」という企画を実現しました。その結果リテンションレートが25%程度改善しました。

林:それは随分思い切った施策ですね。「取り敢えずやってみよう」と思うユーザーは増えることは間違い無いです。
重村:自社プロダクトの価値を感じずに離脱するユーザーを救えているか?と自問してみてください。

③競合にはない、選ばれる理由を作る

林:それでは3つ目の手法を教えてください。
重村:ここでやっと強みの話になりますが、3点目は、競合にはない、選ばれる理由を作ることです。

林:どういうことでしょうか?
重村:ビジネスの利益とは独占によって生み出されます。故に、独占ではなくなればなくなるほど利益を生み出すことは困難になります。競合にはない選ばれる理由を作り、持続的な独占状態、または一時的な独占状態を作り続ける事が重要です。

林:どうやってつくればよいのでしょうか?
重村:まずは様々な自社・競合のユーザーにインタビューを実施し、各社の製品がなぜ選ばれているのか?をヒアリングすることが重要です。その上で、アンケートリサーチなどを使って、定量的にユーザーの出現率を調査することが重要です。

林:リサーチの結果を踏まえてどう企画につなげればよいのでしょうか?
重村:かなり難しいのですが、強みと自社の顧客が求めていることを踏まえて、さまざまな新しい機能・サービス・プロダクトコンセプトを作ってテストをします。MVP(Minimum Viable Product)で検証しても構いません。 

重村:なぜ強みと自社の顧客から外しすぎてはいけないのかというと、誰もスターバックスに牛丼を求めていません。また、スターバックスが吉野家並の牛丼を作れるはずがありません。もちろん、できるのであればやってもいいかもしれません。強みの発見・企画・検証については長くなるので別の機会に。

林:ありがとうございました。一番興味のあるところでしたが、またの機会に伺いたいと思います。

まとめ

これまで3つの方法を聞いてきましたが、全てに共通しているのが徹底的に分析し、悪い要因を潰していく方針だと感じました。競合も含めてプロダクトを徹底分析し、認知獲得から初期体験、離脱防止まで全ての段階においてユーザーを手放さない姿勢が大切だと思います。

重村さんは、前職からホームランを打つことではなく、アベレージヒッターを目指して、どうすれば企画の打率を高めることができるのか?に拘ってきたそうです。どんなプロダクトでもきちんと解析して一歩ずつ改善を重ねていくと良い企画とその成功に繋がるのではないかと感じました。

重村さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。