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Chat GPTがきついなーと思うところ、という話

最近のネット関連の出来事で一番賑わってるのはOpen AIのChat GPTだと思います。

僕個人はまだユーザーではないので使用感をまじえて語ることはできないのですが、主に自分の仕事的な意味で"これはちょっときついなー"と思っているところがあります。

1〜2ヶ月前のカフェで、(たぶん)Chat GPTを使ってドヤ顔でレポートを仕上げていた大学生を見かけたが、ここで書くのはそっち系の話ではありません。

Chat GPTや少し前に話題になったMidjourneyのような画像生成AIも同様ですが、現代AIの基本的な仕組みは膨大な数のデータ(=サンプル)を解析して全体の様(様態)を構築し、その中にある傾向や偏りを引っ張り出して「これって合ってる?間違ってる?」を繰り返しながらアウトプットの精度や確度をあげていくというやり方です。

このやり方を飛躍的に爆速化&効率化させたのが"ディープラーニング"という手法で、これによってAIは実用レベルにまで発展してきました。

ただ、僕が今回話したいのはそれ系の話でもありません。僕が一番きついなーと思っていることを次の段落で書いていきます。

Chat GPT的なサービスが一般化すると普通のWebサイトへのアクセスが激減する(たぶん、いや確実に)

Chat GPTの爆発的な流行を受けてBingもGoogleも同様のサービスを立ち上げましたが、ここまでくるとマーケ用語でいうところの”キャズム”を超えた状態だと思うので某clubhouseのように流行る前に廃れることはなく、サービスはより進化&発展&一般化していくはずです。

前段のAIの基本的な仕組みのところで触れましたが、AIがAIとして機能するために欠かすことができないのはデータです。膨大なデータがあることでAIははじめて精度や確度を上げることができるのでAIにとってデータは資源であり燃料ともいえます。

Chat GPTのような自然言語系にとってその燃料となるデータは”テキスト(データ)”です。

元々このテキストデータを扱う分野の最強サービスはGoogleのような検索エンジンでした。インターネット上にある膨大なテキストデータを巡回して集め、それらを解析し順位をつけて検索結果として表示をすることが主たる機能ですが、それらを全て自動化することでGoogleは現在の圧倒的な地位を築いてきたといって間違いありません。

ここで重要なのはGoogleが解析しているテキストデータの大元(ソース)はどこにあるのか?という点ですが、それらの多くはWebサイトやWebサービスの中に存在しています。それこそインターネットの中には無数のWebサイトがある訳でGoogleにとってもそれらが資源であり燃料でした。

Webサイトのリストを返す検索エンジン、文章で返すChat GPT

Googleのような検索エンジンとChat GPTのような自然言語AIのサービスとしての大きな違いは、検索エンジンはWebサイトのリストを提供し、自然言語AIは文字通り自然言語化されたテキストを提供するところです。

検索エンジンの場合、ユーザーが最後に起こす行動はWebサイトにアクセスすることですが、自然言語AIの場合は提供されたAIのテキスト(文章)で十分な情報を得られればそこで行動をやめてブラウザを閉じてしまうでしょう。

検索エンジンが我々のようなWeb屋と相性が良かったのは、検索エンジンが自分たちのWebサイトの告知・紹介・誘引を兼ねているサービスであったからで、Chat GPTのような自然言語テキストを返したところでサービスが完結してしまうと、そのリソースとなっているWebサイトにアクセスする必要がなくなってしまいます。

おそらく自然言語AIはそのサービスの特性上、ユーザーに返した文章を作成する際に参考にしたWebのリンクを貼るような機能は持てないはずですので、自然言語AIがどれだけ便利になっていっても、Web屋やWebライターのような生業の人が得られる見返り(サイトへのアクセスや執筆者の認知)は得られなくなっていくはずです。

どんだけ労力(時間やお金)をかけてネットにテキストを投じたとしてもその事実は知られることなく、Chat GPTやBingやGoogle BardがAIを使って再構築した別の文章として提供されてしまう訳ですからこれはかなりキツいです。

この観点だと打開策はない

このことに気づいた時に僕の頭に最初に浮かんだことは

自分のサイトへのクロールを拒否ろうかな…

でした。
クロールというのは検索エンジンがWebサイトの自動巡回・情報収集を行う機能ですが、これはWebサイト側の設定で拒絶することができます。(自らがWebサイトの編集権限を持っていれば、という話ですが)

タダで自然言語AIにデータを提供するのは気に入らないのでそれを防ぐための策ですが、現時点でそれをやってしまうと検索エンジン内から自分のサイトの情報が消えてしまうので諸刃の剣というかこちら側のダメージが大きすぎます。

また、仮にですが僕と同じようなことを考える人が数十億人単位でいて、その全員がクロールを拒否した場合はどうなるでしょうか。

自然言語AIはデータが資源であり燃料なので、それが途絶えたり総量が減っていくことはAI自体の進化を留めることになるはずです。

AIの進化を第一とするのであれば大量なデータが流れ続けていくことが必要であり、その状態を保ち続けるためにはタダ同然でデータを提供しつづける人的リソースが必要ということになる訳です。

僕のようにWeb屋でありながら文章も書くことを仕事にしている人間が、Chat GPTのような自然言語AIと向き合った場合、これまでのようなWebの制作費や原稿料で稼ぐという発想でいたら早晩食っていけなくなるはずです。

今はまだ大丈夫かもしれませんが気がついたら仕事(と思ってやっていた作業)は全部AIに替わられているということになるかもしれません。

しかもITに関わる物事の進歩、それは技術だけじゃなく人の意識やそれを取り巻く環境を含めた進歩は、一度勢いがつくと一気に加速して世の中を変えていくので、この数年で大きな変化が起きても不思議じゃないなーと思っています。

僕もいい歳(50)なので、正直今回の変化にはついていけないかも??という不安もあるのですが、情報収集を怠らずなんとか頑張ってみたいと思っています。

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