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妊娠初期のつわりが想像以上に軽くて、困った話。

今まで好きだったことが楽しめなくなるのは、鬱の前兆なんだとか。

いつだったかTwitterで見た記憶がある。ソースは確認していないから真偽はわからないのだけど、まさか自分がその状態になるなんて思ってもいなかった。

というのも、今年の夏中「やりたい気持ちはあるが、なにもできない状態」がずっと続いており、これがなかなか精神的にしんどかった。仕事を頑張りたいのにパソコンに向かいたくない。本を読もうと思って開くけど文字が滑っていく感覚。毎日のルーティーンだったストレッチすら、YouTubeを開くのが億劫に感じる……

「あれ?最近、なんだかちゃんとできてなくない?自分?

そのときの私は、自分のモチベーションの問題だと思っていて、自分で自分を律せていないことに焦っていた。でも、元気な今ならわかる。

全部、体調不良のせいだった。

実は7月1日に妊娠が発覚し、今年の猛暑は、初期のつわりと共に過ごしていた。プチ鬱の原因は、妊娠によるホルモンバランスの変化だった。生命を宿して育てるために、私には改善することも抗うことが出来ない、身体が変化したせいだから、どうしようもなかったのだ。

11月現在は安定期と呼ばれる6ヶ月になり、初期つわりもすっかりなくなり、体調や身体が日々変わる生活にもだいぶ慣れてきたおかげで、身体的にも、気持ち的にものびのび過ごしている。

妊娠初期を振り返ってみると、私のつわりはだいぶ軽かったし、短かった。なにか口にしていないと気持ち悪くなる食べづわりが4週間ちょっとで、仕事は続けれていたし、新幹線に乗って旅行も出張もした。

妊娠初期のつわりは、体調不良の症状も重度も、かなり人によって違う。「出産よりも辛かった」という人もいるほどだ。

一般的には、妊娠に気づく4週頃に体調不良がはじまり、2か月ほどした12週ほどで終わることが多い。長くても3か月で終わると言われているが、人によっては出産するまでの10ヶ月間ずっと二日酔いのような気持ち悪さが、続く人もいるんだそう。想像するだけで辛すぎる……

症状もさまざまで、吐きづわりと言って、何か口にすれば(人によっては何もしなくても)ひたすら吐き続けて仕事なんて全くできなくなる人もいれば、特定の匂いがダメになる人、夜どんなにちゃんと寝ても眠気に襲われて、眠くて眠くて仕方ない人もいる。

それもこれも、妊娠によって起きる急激なホルモン環境や代謝の変化のせいで、私たち人間にはどうしようにもコントロールができない。

体調不良の他に妊娠初期のつわりが辛いのは、いつ流産してもおかしくない安定期前ゆえに、辛いことを誰にも相談できない辛さもあるし、相談ができないゆえに会社も休みにくいし、なにより、この改善のしようがない体調不良が、いつ終わりを迎えるのかわからない(もしかしたら終わらないかもしれない)ことへの、不安もとても大きい。

さて、このnoteはつわりが想像以上に軽かったゆえに自分自身を苦しめたしまった話で。「何を贅沢な」という話だと自分でも思うけど、軽いがゆえに、体調が悪いことを自分自身が認められなくって、無駄に焦っていたな。という自戒があって、これを書いています。

これからと自分の思い通りに動けないときもあると思うけど、必要以上に、自分を責めないでいたいなぁ。というお話です。

ゆるやかな変化には、人は気づけない。

妊娠に気づいたきっかけは、電車に揺られているとふんわり気持ち悪くて「もしや」と調べたら、ビンゴ。このときは4週目だった。

判明した翌日から社員旅行で沖縄に飛んだが、まだこのときは体調はすこぶる良好で、オリオンビールと泡盛が飲めないこと以外に困ることはなく、いい思い出になった。

7週くらいまでは少し疲れやすい(生理期間中ってこんな感じだよね~っていう倦怠感)のと、夕方になると時々眠気に襲われるくらい(これも特別なことではなくって、生理期間によくあるし、なんなら日常生活でもたまにあるよな~という感覚)だった。

8週頃から、ふんわり気持ち悪い感じがして、何か口にするとおさまることに気づいて「生理期間の食欲とは違う……あれ?これは…もしや…」と食べづわりがはじまっていて、それから夏が12週頃までは血が足りてない貧血感のある日が続いた。

起きたらなんとなくムカムカする。お腹が空くと胃もたれのような不快感。ふんわり気持ち悪い。MTG中に画面オフして、こっそりおにぎりを食べて、ソファに横になってることもあった。

でも、正直に言うと、酒による二日酔いの方が、圧倒的に気持ちが悪かった。

大学時代、私は俗にいう飲みサーのテニスサークルにいたのだが、当たり前のように合宿でワインボトルで回し飲みしたり、深夜の鬼殺しに殺されかけたりしていたのだが、あの翌朝の地獄のような二日酔いに比べたら、たしかに気持ちは悪いけど、正直どうってことなかった。

あとは、血の気が足りないせいか、通常時よりも貧血も多かったと思う。

職場で同僚と立話しをしてるだけなのに、急にぐわんと目が回って慌ててトイレに駆け込んだり、猛暑のせいで自律神経がやられて3度ほど貧血を起こして救護室でお世話になったりした。

これだけ聞くと普通に体調悪いことに自覚をしていそうなものだが、高校時代から社会人まで通勤通学中に貧血を起こしがちなせいで、とくに違和感がなかった。寝不足や生理のときに、気圧が低い、暑すぎる、人混みがやばい、など諸々のストレス値が高いと私は貧血を起こすもんだ、と思っているので「まあ、つわりだからちょっと体調悪いのかも」くらいにしか思っておらず、夏の間、懲りずに遠出を含めてよく出かけていた。 

ちょっと体調の変化はあるけど、おなかができてきたわけでもないし、気持ち悪いと言えど二日酔いほどじゃないし、全然動けるし、貧血は昔からだし、比較的つわりが軽い体質なんだなぁ。ありがたいなぁ。なんて呑気に構えていた。

というのも、ドラマで見るような、突然の吐き気がしてシンクに駆け込むこともないし、よくTwitterでバズってる「妊婦はマックのフライドポテトしか食べれなくなる」なんてこともなかったせいもある。

このあと自分の身体になにが起きるのか、何を食べたらいいのか、何をしたらいけないのか。そもそも今までにまずいことはしてないか。ちょっとした変化戸惑って、妊婦という生き物は検索魔になるのだが、

私もそれに漏れず、検索魔になった結果「人によってこんなに状況が違う。でもみんなちゃんと元気な子を産んでいる」という情報を得ては、心の安定剤にしていた。

と、同時に妊娠に関する知識や、世の中の妊婦だった人たちの体験談を知り、私のつわりは軽いことも知って、そのことが心の支えにもなっていたと思う。

だから、私の場合は「この程度の体調不良で済んでいるのは、ありがたいことなんだ!」と日々の生活のモチベーションになっていた。

けど。今思えばこれがよくなかった。

それのせいで「何ごとも今まで通りやりたい気持ちはあるが、できない状態」になってしまってたと思う。

私は、働くことが好きなのだけど、仕事をするためにパソコンに向かいたくないと思う日が続くなんて初めてのことだったし、仕事のアウトプットも普段の60%ほどな気がしてたし、どうにも自分自身をうまくコントロールできていな感じが気持ちが悪かった。

私という鈍感な人間は、ゆるやかに降下する体調の変化を自覚できていなかったのだ。冷静に考えれば、身体が妊娠という一大事に備えて変化して体調不良中なのだから、当然なのだけど、しっかり自分の状況をメタ的に自覚してないが故に、それが精神的にしんどかった。

明らかに高熱が出て、身体中の節々が痛くなるインフルエンザのような体調不良なら、わかったのだろう。

でも、「あれ?やる気出なかったけど、今日は大丈夫じゃん。な~んだ」「気持ち悪いの、もう大丈夫っぽい。よかった。」を繰り返しているせいで、自分のことを過信していた気がする。

いやでも。もしかしたら。

本当は私自身が、体調の変化を認めたくなかった

のかもしれない。妊娠して、出産して、できなくなることが増える。それが怖かったのもあると思う。

体調が悪い。今まで通り働けない。大好きなお酒や生肉も食べれない。サウナも行けない。旅行もちょっと気が引ける。さらに言えば、子どもが生まれたらやりたいことが、もっとできなくなるんじゃないかという漠然とした不安感。

自分のおなかの中にいる生命体は、エコー写真を見てもどれもまだ宇宙人のような姿で、彼もしくは彼女が与えてくれると皆が口をそろえていう幸せな時間というのはぼやけた解像度でしかないのに、失ってしまうかもしれないものは想像できてしまうこのギャップ。

私が私をコントロールできないまま、状況が刻一刻と、子どもは成長しているらしいが、私自身はどちらかというと悪い状態に、変化する恐怖の方が大きかったんだと思う。

あの時の私には、この程度で体調不良で、充足した今の生活を手放す勇気がなかった。

今まで自分で変化を選んできた。学校も、会社も、転職先も。パートナーも、同棲も、結婚も。

妊娠も、もちろん望んで手に入れられた変化ではあるけれど、なんていうか、身体レベルで未知なことに突き進んでいる状態に対するとまどいが、私に「休んでいいんだよ」という思わせてくれなかった

もっと、ちゃんと休んであげたら良かった

他の人と比べるのではなく、自身の辛かったときと比べるのではなく、元気な私と比べて、今の体調や心がどうなのか。もう少し自分の変化に耳を傾ければよかった。

笑ってしまうんだけど、自分では本当にたいしたいことないと思っていたんですよ。それなりにちゃんと体調が悪かったのに。

心も身体も穏やかに過ごせてる今思うのは、週1くらいで休みをとって、できないことを認めて、今までとは違うんだから、全てを今まで通りがんばることを諦めてしまっても、なんも問題がなかったなということだ。

だって、どちらにせよ、妊娠を終えたとしても、そこが新しい生活のスタートラインで、絶対に今まで通りではなくなるのだから、いっそのこと変化を楽しむための準備期間として、諦めて休むことを積極的に取り入れるほうが、きっと精神的にヘルシーでいられたと思う。

だから、これから妊娠する人や今つわりで少し体調が悪い人がいたら、変化に目を向けて「辛い」と思っている自分自身に偽らないでほしいなと思う。頑張れないのは自分の甘えとかではないから

どうかがんばれない自分を受け入れてあげてほしいと思うし、未来の私も、動きたいけど動けない環境になったときに、その状況をいい意味で諦めて欲しい。

準備期間もあと半分。慣れてきたと言ってもまだまだ不安は続くし、未来への恐怖心がなくなったわけではないんだけど。それでも、今の状況を受け入れて、のんびりと自分の好きなことを楽しんでいると、彼もしくは彼女に出会えたら、きっと違う人生の彩られ方をしていくだろうな。と未来が、確実に楽しみになってきている。


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