医療DXへの道のり
最近、「医療DX」という言葉をよく聞くようになった。つい最近までは、医療IT、医療ICTと言われていたものが、急にDXと言われても、なかなか受け入れるのは難しい。そこで、わが国の医療のデジタル化の流れを振り返りながら、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か?を考えてみる。
ビフォアIT(アナログ)の時代
紙カルテ、紙レセプト、フィルム、紙伝票であふれる世界。デジタル化以前の医療現場では、カルテやそこから転記された三枚複写の「紙伝票」が情報共有の主流であった。
医療ITの時代:院内のデジタル化
ITとは、Information Technologyの略だが、医療の世界でITらしきものが見えてきたのが、レセコン(レセプトコンピュータ)であろう。それから、オーダーリング、電子カルテ、PACSとシステム化が進む。病院などでは、HISやRISという言葉が使われるようになった。当時の医療現場のデジタル化の掛け声は、「ペーパーレス」「フィルムレス」であり、それが進むことで効率的な情報共有が可能になると考えられてきた。
医療ICTの時代:デジタルコミュニケーション
ICTとは、Information&Communication Technologyの略だが、平易な言葉でいえば「デジタルコミュニケーション」という考え方ではないだろうか。医療現場のコミュニケーションの在り方がデジタルにシフトしていくという意味ではないか。地域連携システムやSNSの活用などがその代表例であり、患者と医療機関のコミュニケーションの在り方も、オンライン診療やWeb問診、予約システムなどで様変わりが始まっている。
医療DXの時代:デジタル化による社会変革
DXとは、Digital Transformationの略だが、欧米ではTransを「X」で表すことから、DXとなった。DXを平易な言葉で表せば「デジタル技術を使いこなすことで新たな価値が生み出される」となる。代表例としては、AIやロボット、RPAの医療分野での活用がイメージされる。これはコロナ禍で一気に盛り上がりを見せており、これから飛躍が期待される。
図に表すと以下の通り
情報の点が、輪になり、複合的につながり、そして立体的につながることで新たなステージを迎える。いままさに期待される医療DXとはこの世界を意味している。
ビフォアIT → 医療IT → 医療ICT → 医療DX
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