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【イベントレポート】BETWEEN URBAN & LOCAL ~都市とローカルを横断~

みなさんこんにちは。micro deveropment inc. 鈴木です。
今回は、4月28日(金)に有楽町で開催されたトークイベントに参加したので、その様子をレポートしていきたいと思います!



#00 はじめに

有楽町のビルの隙間に出現した路地裏の森「Slit Park(スリットパーク)」で開催される、参加型トークイベント「wick Talk」の31回目となる4月28日(金)はゲストに、山本 桂司さん(株式会社インターローカルパートナーズ代表)、守屋 真一(micro development inc. CEO/プロジェクトコーディネーター)を迎え、都市と地方をテーマにトークイベントを開催しました!


#01 登壇者ゲストプロフィール

山本 桂司 (やまもと けいじ)  氏

株式会社インターローカルパートナーズ代表

◎略歴
大阪市出身。愛媛県今治市のタオル美術館ICHIHIROのキュレーターを経て、山口県長門市にて地域商社「ながと物産合同会社」の販売戦略プロデューサーとして一次産業支援や道の駅「センザキッチン」の立ち上げに携わる。現在は、全国の地域プロデューサーと連携した地域ビジネスを継続・発展させるための仕組みづくりや事業スキームを確立させていくプロデュース事業や地域人材の育成などに取り組み、三菱地所が先導する多機能型市場「有楽町micro FOOD & IDEA MARKET」の運営も行う。


守屋 真一 (もりや しんいち)  

micro development inc. CEO/プロジェクトコーディネーター

◎略歴
1990年神奈川県秦野市出身。組織設計事務所、建築テック系スタートアップ、デザインファームを経て起業。大学院時代に東伊豆で空き家改修をしたことをきっかけに改修した物件を運営するNPOを設立。社会人になると同時にパラレルキャリアを開始し、東伊豆との二拠点生活も実践するなど、自ら新しい働き方・暮らし方を実証実験する。現在は東京にベースを据えつつ、複数組織を横断しつつ、全国の建築・まちづくりに関する企画に関わるプロジェクトコーディネーターとして活動。ADDReC株式会社、公共R不動産、一般社団法人超帰省協会、NPO法人ローカルデザインネットワーク兼務。


河原大輝 (かわはら だいき)  氏 [ファシリテーター]

東邦レオ株式会社/空間プロデューサー/Slit Park運営責任者

◎略歴
1998年神奈川県川崎市出身。
大学時代に街づくりの一環として開催したイベントの企画運営に携わる。2021年東邦レオ入社。建築工事、共用部空間デザインを経て、三菱地所株式会社と共創するSlit Parkの運営を担当。未活用の共用部をコミュニティスペースとして活用することで、エリアの不動産価値を上げる「コミュニティディベロップメント」を実践し、空間を生かしたイベントの企画プロデュースによって、有楽町に新たな人を呼び込む。


#02 「まちづくり」について

今回のテーマの基盤でもある「まちづくり」について山本氏と守屋に様々な切り口で聞いてみました!

Q.  まちづくりにおいて大事なこと 

まちづくりにおいて大事なことを問われると、山本氏は「まちづくりに大事なのはチャレンジできる場所を作る必要がある」と話しトークは展開する。

アメリカでシリコンバレーを多くの人が目指すのは可能性を感じているから。
それと同じで日本の地方においても挑戦できる環境、面白い事ができる環境と思ってもらえる場所を作っていくことで人がその地に興味を持っていくのではないだろうか。

学生時代の東伊豆での空き家改修活動が現在のキャリアにも繋がっている守屋もこれには共感。
「学生時代は縁もゆかりもなかった東伊豆で、最初は自らのモチベーションで始まったが、気づけばその町に移住者が増えるなど地域にとっても良い影響を与えていた。最初は自分の興味で始まったが結果的に地域に還元してそれが地域活性化に繋がっている。その経験を踏まえるとやはり最初に自らのモチベーションで打ち込めるような挑戦できる環境を作ることが大事なのではないか」とのこと。

都市と比べて地方のほうが面白いことをしている人が多いと感じる理由もここから来るのではないだろうか。

▲守屋らが学生時代に始めた東伊豆での空き家改修プロジェクト。学生団体として現在までに東伊豆で10年近く活動を継続している。

また、その後のトークで「まちづくりは固有解である」と考える守屋は「観光インバウンドで豊かになる町もあれば、変わったプレイヤー数人で変わる地域もある。」と話す。まちづくりを一括りに考えることはできないし、曖昧なまちづくりという言葉だけに普段からまちづくりという言葉を使わないことを意識しているようだった。

▲micro development inc.ではCreed/大切にしていることとして「独自性と再現性の両立」を掲げている


Q. まちづくりに対するモチベーション

まちづくりのモチベーションは、人によって地域によって様々であると考えられる。

秋田のある地域では、まちのために熱心に活動する方へモチベーションを伺うと高齢者率50%を超える危機感からくるものであった。また、ある地域では原風景を守りたいといった前向きな理由の人もいる。

地方と都市でまちづくりに対するモチベーションは大きく違う傾向があり、ジェットコースターで例えるならば「東京は後方、地方は前方」と、地方の方が常に最前線を目の当たりにしているからこそ原動力も大きく変わってくるだろう。


#03 都市と地方の横断について両面から考える

Q. 都市と地方の横断をマーケットの観点から考える

都市と地方の横断についてマーケットの観点で考えてみると「人、お金、機会」の需要がクロスしているのが特徴である。

地方は、人口やお金が少ないがチャンスの機会がたくさん眠っている。
一方で都市は人やお金は多いが、チャンスの機会は少ない。

需要が逆転していれば地方と都市が交わることも必要とも考えられるが、本当に交わらなければいけないのか。コロナ禍、都市に構える企業が地方に目を向け地方事業に失敗する例は多くあった。それらを踏まえるとお互いに交わることより大切なのは、都市と地方が対等な関係であることが大切なのではないか。どちらかが優位に立つとうまくいかないと考えられるだろう。


Q. 二拠点生活の今後について

コロナ禍で加速した二拠点生活が進んでいくと、ローカルルールでぶつかり合うことが懸念される。

住民票を持たずに都市に住む人が地方でその地のルールを守れず互いの関係に歪みが出ることは多々ある。その現状を踏まえて二拠点生活を考えていくと、制度的に追いつかない時代がくるのではないか。

制度的な話でいくと、ふるさと納税の制度に関しても制度としては地方にお金が落ちて経済は回るが、本質的に都市と地方が繋がっていると感じるだろうか。消費者の感覚としてはネットショッピングと変わらないのではないだろうか。
制度は必要であるが、「制度」と「都市と地方の横断」について考える時には常にお互いに吟味していく事が必要かもしれない。

▲トークイベントの様子


#04 最後に

最後に今回登壇してくださったゲストの御二方に「これからの地方活性化に向けた地方のコミュニティ作り」について聞いてみました!

守屋:
「今後の地方について考えていくときにまちづくりという言葉はなるべく使わないようにしている。学生時代に一軒の空き家の改修をして、その結果まちにとってよかった。最初はまちのためにとか考えずに自らの興味で空き家を改修したが結果的に周囲にとってよかった。それを考えると、誰かのモチベーションを上げるコーディネートをしていきたい。そしてそれを他の人に還元してまちをよくするコミュニティを作っていきたい。」

▲micro development inc.の事業スキーム。「ローカルではじめるなら。」をコンセプトにローカルでの事業立ち上げを伴走支援する、プロジェクトコーディネートカンパニー。

山本氏:
「ビジネス的に考えると、これまで不特定多数だったものが、特定多数のものになる。今回のテーマで都市と地方というテーマを上げているが、ボーダーがあるから議論に上がってしまう。コミュニティも本当に〇〇が好きな人というカタチでコミュニティが形成されていく。それらを踏まえると今後は共感値の高いビジネスが必要で求められてくるのではないだろうか。」


今回のテーマである「都市とローカルの横断」について様々な切り口から考えることができ、とても有意義なイベントとなりました!


p.s.
トークイベント終了後は登壇者と参加者の交流会も行われ、今後の都市と地方の関係性について有意義な意見交換が行われました。中には通りがかりでイベントに参加してくださった方もいて終始温かい雰囲気でイベントを終える事ができました。参加してくださった皆様、改めてありがとうございました。

▲ビルとビルの隙間にあるSlit Parkで交流
▲Slit Parkで出店いただいた「wick bar」さん