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秋野深 「森と町と太田川」【森町】(5日目)

今日は断続的に集中豪雨に見舞われる1日だった。
清流として知られる太田川も、ドローンを飛ばした2日前とはその色・表情をすっかり変えていた。

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森町を南北に縦断する太田川は過去にも何度となく流域に洪水被害をもたらしてきた。
太田川の西を流れる天竜川が「暴れ天竜」と呼ばれてきたことからも、このエリアの河川の氾濫の頻度をうかがい知ることができる。


森町は、寺社仏閣が多い町だ。
町内を移動中も、規模の大小に関わらず、町内にはいくつものお寺や神社が散在していることを何かと実感する機会は多い。
そして、たいていそうした寺社仏閣は、ちょっと小高い丘の上にあって、太田川を見渡すことができる。

宿泊しているゲストハウスの近くにある天宮神社も、太田川沿いの小高い丘の上にあって、そこからは縄文時代の遺跡が発掘されたというから、太古の昔から流域の高台は重宝されてきたことがよくわかる。

ここ数日で、いくつかの寺社仏閣を訪ねたが、丘の上にあるところは階段が非常に急なのも特徴だろう。それほど高く大きな丘でもないのに、水害で丘の一部が削られ続けてきた結果なのだろうか。

その最たる例が、今日訪れた、森町のほぼ最南端エリアに位置する遍照寺。
こちらは階段ではなく車で上がれるのだけれど、その道がすごい。ミニバンサイズの車ではちょっとギリギリな感じ。
2日前にドローンを飛ばした森町北部のタイラ沢の大滝や杉沢の大滝への渓流沿いの道の方が、時間は長いが運転の難易度としてははるかに低いだろう。

山奥に分け入ったというわけではないのに、集落の裏手から突然細く曲がりくねった急勾配の小道が始まる。

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切り返し、切り返し・・・。
途中で小さな倒木がゆく手を阻むので取り除き・・・

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たどり着いたところに、大日如来様。
東海地方最大の露座青銅大仏(高さ約5m)とのこと。

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ただ、あの坂道をこれから今度は降りるのだと思うと、ちょっと大仏様どころではなかった、というのが正直なところ。

また、切り返し、切り返し降りていく。

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考えてもみれば、森町には、戦国時代の規模の小さな城址や館跡も数多く点在している。

急峻な小さな丘は、そうした城や館を構える場所として最も適していたと言えるのかもしれない。

今日はそんなふうに、地理的な体感から森町の理解が進んだ1日だった。


森町は、森と町でできている。
その森と町は、太田川が長い時間をかけて作ってきた、という言い方もできるのかもしれない。

森町は、森と町でできている。
森と町は、太田川でできている。



【森町1日目】 「ひかえめな魅力」
【森町2日目】 「交通の要衝という価値は永遠か」
【森町3日目】 「ドローンと共に森の奥へ」
【森町4日目】 「私の小さな挑戦」
【森町5日目】 「森と町と太田川」
【森町6日目】 「塩の道をゆく」
【森町7日目】 「二歩目を踏み出す行動力」
【まとめ】 「この森と町のゆくえ」