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美音子「饗宴」(2日目)

 朝。カーテンを閉めて部屋も真っ暗にして眠ったので日が昇っても室内はやや暗い。9時すぎまでダラダラとベットですごす。なんとか起き上がり、残していたPC作業を片付ける。10時。昨日買いすぎた残りを朝食としたが、まだ食べきれなかった。快適なWiFi環境でネットサーフィン。まったりと出かける準備をする。10時55分、出発。歩くか迷ったがやはり電動自転車を借りることにした。乗った瞬間からおしりが痛くて笑った。途中、DAISOで『やさしい半月』をいれるビニール袋を買い足し。Googleマップの通りに進んでいったら、途中で結構な砂利道を行かされる。帰りは絶対に大通りを通るぞと誓う。ふと振り返る。でかでかと富士山が見える。帰りもこの道を通ろうと決める。
 11時半。東山旧岸信介邸に到着する。思わず入口で一礼しそうになるほどの門構え。敷地内の庭の広さに圧倒される。これが個人の邸宅かと恐ろしくなる。心地よい秋風が吹く。さらさらと竹が揺れ、色とりどりの椛がはらはら落ちる。途中の「とらや工房」を素通りしてまっすぐ進む。邸宅にたどり着く。案内の人がいた。見学ですかと聞かれる。はいとこたえて、チケット売り場を案内される。入場料300円を支払い、靴袋とチケットを貰う。案内パンフレットを1部取り、案内の人が邸宅の入口まで誘導してくれる。靴を脱ぎ、スリッパに履き替える。さっきのチケット売り場のお姉さんがいつの間にかいて、館内の注意事項を説明してくれる。足元の順路表示に従い、中を歩いていく。広い玄関ホールを通り、部屋を見て回る。書斎兼応接間。うちのトイレより広いコート室(客の手荷物を預かる部屋)。かわいい水場。縁側から庭の見える和室。そして食堂と繋がる居間へ。案内の人の言う通りに、庭に面しているソファに深く腰かけると、テーブルのガラスに庭の緑の木々が反射するのが見える。すごい設計だと思った。お姉さんが他の人に説明しているのを漏れ聞く所によると、四重になった引戸はすべて壁に収納できるようになっており、庭の景色が一枚の絵画に見えるように枠の高さを調整しているとのこと。庭へ出るのは止して順路を進む。真っ白い厨房。3人いたという女中室。ワインや食器をコレクションしていたという倉庫には、岸信介と邸宅を設計した吉田五十八を紹介するパネルがずらり。そして勝手口が出口となっていた。やっぱり惜しくなって庭へ出るために廊下を戻る。広い庭を一周する。池の水の、なんと澄んでいること。何も棲んでいないのが良かった。飛び石を渡り、木々がさざめく間ををゆったり歩く。こんな家に住めたら、というより、たまにこういう家に来たいな、と思う。休憩所とお土産屋に寄り、邸宅のポストカードととらやの羊羹を買う。自転車を置いたまま、すぐ近くのベーカリー&カフェ「とまり木」へ向かう。木々はずっとさざめいたまま、遠くから風のうなりが聞こえる。お店は陶器のギャラリーも兼ねているすてきな佇まい。ブレンドのアイスコーヒーを頼む。氷がコーヒー豆の形をしていて可愛い。喉が渇いていたのですぐに飲んでしまう。この氷が溶けるまで少し書こう、と思い、noteの下書きをする。1時間ほどいたが、溶けなかった。帰りにパンを買い、店を後にする。
 さてこれからどうしようかと思ってGoogleマップを見てみる。近くに「厳島神社」があることを知る。砂利道の先を自転車でそろそろ進む。大きな家々を通り過ぎ、大きな鳥居が目に入る。苔むした階段の先に、橋があった。川もなく、参道の途中に、段差があるだけの橋があった。「山荘橋」とある。何のためにあるのか、少しググってみたが分からなかった。神社はこぢんまりと佇んでいた。会釈して、ご神木の杉の木を見上げ、すごいと呟く。鳥居のすぐそばに脇道があったので、どきどきしながら進んでみる。あまり人の手が入っている様子がない。風は連れ去るように後ろから吹いている。途中で倒木が道をふさいでいた。ここまでにしようと思い引き返す。鳥居の近くに看板があり、東山湖が近いことを知る。矢印の方向をみると突き当りにもう見えた。自転車を曳いて向かう。東山湖に出る。湖をぐるりと囲む歩道は有料の釣り場の敷地らしく、写真だけ撮った。釣り人がたくさんいた。14時を過ぎ、いったん宿に戻るためマップを開く。先ほどとは違う道を示され、あの道を通りたかったが迷うのが嫌で、マップの通り帰った。途中、「チャイハネ」があったので立ち寄ってみる。星座のリングがあり、ひつじが最後のひとつだった。縁を感じて購入した。つけて帰りますといってタグを切ってもらった。
 14時45分、帰宅。ちょうど、同じ旅人の櫻井麻樹さんが到着していた。名刺がわりに『やさしい半月』と「バリ勝男くん」をお渡しする。話すうちにもう一人の旅人、安里慎さんも到着する。同じくお渡しする。少し話し、15時を過ぎたので森岡さんがお二人に宿の説明をしているあいだに、「とまり木」のパンをひとつ食べた。一通り説明が終わったところで、森岡さんに新たなスポットを教えてもらう。安里さんは荷物を置くとすぐに出発していった。少しだけ休み、15時55分、再度出発。おしりが痛いので、徒歩で行く。まず御殿場市役所すぐ近くのコーヒーショップ「SOCKET ROAST WORKS」に入る。今は持ち帰り専門とのこと。メニューを見ながら一番苦みが強いのはどれですかと聞き、マンデリンを注文する。淹れるのを待っている間、店主と少し話す。昨日今日と温かい日が続いていること。このお店が夜はクラフトジンのお店に変わること。マンテンゲストハウスのことも知っていた。コーヒーを受け取り、また来ますと言って店を出る。一口飲む。美味しい。そのまま道なりに進み、古着屋「clique」に到着する。外の段差にコーヒーをいったん置く。所せましと服が並んでいた。ビンテージ中心のようだ。ぐるりと見て回り、気に入った2点を購入した。2点目が20%オフになった。口数の少ない、静かな店主で居心地がよかった。店を出る。コーヒーをピックアップし、せっかくなので「JAふじファーマーズ御殿場」を目指す。到着してみると、色々な店が集まっていた。大きなお店だった。知らない果物があった。時間が迫っていたので帰路につく。途中、スーパー「オギノ」があったので少しだけ立ち寄る。寿司が非常に安く、どこかのタイミングで必ず食べたい。外はもう暗かった。宿へ急ぐ。17時50分、帰宅。18時半まで部屋でnoteの下書きをする。
 18時半、ウェルカムパーティーが始まる。MAWの紹介、旅人の自己紹介などが前半。後半はパーティーに参加してくれた人々による御殿場の紹介。さまざまな施設やイベントを教えてもらう。地元のグルメ。スーパー。満月日の明け方のパール富士山。勝呂さんお手製の「ドリロコス」なるフード。明後日からの「アークラ大サーカス」にも出品するらしい。ざわざわと話す。途中、2階席と映写室を案内してもらう。現役で動く映写機。近くに住む映写技師のおっちゃんのこと。2012年まで動いていた映画館。人間の痕跡。最後に、皆で近くのピザ屋「ほらあな」に飲みに行く。クラフトビールをみんなで飲む。またいろいろな話をした。美術のこと。活動のこと。御殿場のこと。近隣のまちのこと。静岡県という大きなくにのこと。きょう、ひとりで見て回った分だけでもお腹いっぱいだと思っていた。皆さんとのお話はそれ以上の収穫だった。明日の予定はまだ決めていない。それでいいと思った。

おはよう
今日もバグってるね
すごい道行かされる
ふりかえると富士山
個人の邸宅の庭です
ソファに深く腰かけると見える逆さ庭
庭から見た邸宅
澄んだ池、だれも棲まない池
すてきな道
コーヒー豆の氷
なぞの橋
山荘橋、とある
御神木(杉の木)
ちょっと怖い脇道
東山湖
良い暗渠
よい看板
よい精米機
よい店名
コーヒースタンド
でかいJAのスーパー
ウェルカムパーティーありがとうございました
初めて飲んだ
これがドリロコス
映写室
定期点検要項
映写の心得
危ない階段
おやすみ