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高嶋敏展「朝ラーを食べずして焼津を語るなかれ」(焼津5日目)

焼津は漁師町。漁から帰った漁師さんが食するという朝ラーなるものを食べるために朝7時30分にみんなの図書館さんかくに集合。
へろへろになりながら石見さんの車に乗り込む。
ラーメン樽 という不思議な名前のラーメン屋。朝8時だというのに人が7,8人はすでにいる。

ぶっかけうどんのように温・冷が選べるという。地元の通は温の普通と冷のミニという組み合わせらしい。普段は朝は軽めですます習慣なんだけど、郷に入れば郷にしたがえ。
わりとさっぱりしているので食べやすい。
なるほど、うまいな。
朝食べるのでさっぱり、あっさりが好まれる。トッピングもシンプルなのが特徴らしい。
温と冷では出汁も違う。冷の方が甘くしっかりしたスープ。
温の後でもこれならスルスルといける。
さらに聞いてみると平打ち麵と細打ち麵があるのでそこらを温、冷で選び分けてこだわるんだそうな。
まったく気にしなかったけど美味しいからどちらでもいいや。

そして僕らの最終日をまたずしてトリナスの土肥さんは横浜出張でお別れ。
お世話になりました。
土肥さん、石見さんお世話になりました!

今日はあいにくの雨模様。
どうやってすごそうかと悩んだけれどもう一度、小泉八雲記念館に行くことにした。
桜は三分咲きかな。
傘を持っていなかったけど、一緒にワーケーションに参加している佐藤さんが旅館で傘を借りてくれた。
佐藤さん、優しい人。

歩き出す前に駅前の足湯が復活していたので入ってみる。焼津に来た日はまだ、コロナでお湯をはっていなかった。
少しずつ日常がもどってきているみたいで嬉しいな。
最初、僕一人だったけれどだんだん人が増えてくる。
地元の人も「気持ち良いでしょう?」と話しかけてくれるので雨模様だけどちょっと明るい気持ちになった。

焼津の小泉八雲記念館の目玉は八雲の手紙。焼津から奥さんのセツさんに宛てたもの。
小・カワイ・ママサマ と書き出す愛妻家。
八雲は英語以外にフランス語も習得していたけれど、日本語はカタコトのまま亡くなってしまった。
その代わり、妻のセツとだけ通じるへるん言葉(※へるんとは八雲の元の名前ハーンのこと)が生まれた。
遺族はこのへるん言葉を嫌って世の中に出したがらなかったけれど、僕は暖かいフレーズが大好きだ。
そして焼津の海岸で拾った黒猫に「火の子」と名付けたと初めて知った。
東京の飼い猫の名前が「玉」だったから何か印象が随分違うな。

そして夕方からはみんなの図書館さんかくで地元の方とおしゃべりを楽しむ。
じつは本が好きで家の書庫が満杯になってからはなるべく買わないようにしている。それでも買うけど。
さんかくのような場所があるのは羨ましい。
フランチャイズ料とかいらないそうなので誰かに島根で話してやらせよう。
自分でやると楽しすぎて家に帰らない気がするな。
さて焼津の日々も残りわずか。
ゆったりと時間が過ぎると思っていたが、楽しくて想像以上に早く時が過ぎる。
焼津が好きだ。
この町の時間が好きだ。

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