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ガールズトーク

「おい!歌泥棒すんな!」
と夫の声がする。
続けて
「負けじと歌えよ!」
とbabyちゃん(娘)の声。

夫が、娘に歌泥棒されたようだ。

鼻歌を歌っていて、知らぬ間に他の誰かが
その続きを歌い出すことを、我が家では
「歌泥棒」
という。なんの歌を泥棒されたのだろう。

「負けんと」でも「負けずに」でもなく
「負けじと」といった娘に、
心の中でイイネ。マークを送る。
さすが、現役で国語の授業を受けている
高校生なだけはある。

女子高生の、生の会話に興味がある。
アブナイおばちゃまだと思われたくないから
言わないけど。

babyちゃんがよくうちに連れて来る
お友達がいる。
お勉強をする、というので、お茶とお菓子を
お部屋に持って行った時のこと。
2人ともおしゃべりもせず、勉強している。

お茶をおいてばたん、と戸を閉めたとたん、
「ピヤ」
「テーイ」
みたいな会話がなされ、また静かになった。

正確にはピヤ、テーイ、ではなかったかもしれないが、確かに、他人には意味の通じない
2人だけの会話がなされたのを聞いた。

合いの手みたいな会話だな。

学校にいると、仲の良い子とは、1から10まで説明しなくても言いたいことがわかってしまうってことが、ある。
この場合、
「ピヤ(疲れたね)」
「テーイ(同じく)」
みたいな感じか。

例えば国語で
「ありをりはべりいまそかり」
って習ったとして、まあ、これは、
なんも意味ないけどみんな、ちょっと
口に出して言いたい言葉だよね。

で、友達と喋ってるとき、なんの脈略もなく
「ありをりはべりいまそかり」
って言った場合。
友達は多分
「わかりみ」
もしくは
「それな」
みたいな返しをしてくれる。

言いたかっただけだろ。わかってんで。
の意味を込めて。

「なんだよ急に」
とか
「今日習ったやつだよね」
とか、たぶん言わない。

それはお互いをわかりあってる、シンパシィを感じている、2人だけの会話なので、成立。

娘たちをみていると、ぺちゃくちゃ喋っている感じではない。
もともとおしゃべりな人ではないので、
お友達も寡黙なのかも。
もっと新しく、2人だけしかわからない
言葉が生まれているのかもしれない。
「めん」
「てす」
「ばいん」
とか。
その会話を、第三者はなかなか、聞くことは
できない。

大人になると、人との会話はそうはいかない。

短い言葉だけで、気持ちが通じるような会話ができるのは、もしかしたら子供のうち
だけなのかもしれないなあ。

そんな季節をどうか大切に。



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