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1.なぜPDCAサイクルが回らないのか

以前の投稿(↓参照)で、「PDCAサイクル」が回らない理由として、以下のように4つの型を紹介しました。

PPP型: 綿密な計画を立てることに一所懸命で、先に進まない。
DDD型:ルーチンやトラブルが多くて、ひたすら実行に明け暮れてしまう。
PDC型: 実行の結果を評価した後、次に進まない。
PDCA型:一度だけ「PDCA」まで行ってみたものの、いつの間にか立ち消えてしまう。

❶のPPP型への対応については、私のアイデアを以下の投稿(↓参照)で記載していますので、参考にしてみて下さい。

本日は、ISOマネジメントシステムの仕組みから、PDCAサイクルをクルクル回す方法をご紹介したいと思います。


2.PDCAサイクルは、まず、本気度から

下の表は、ISO45001(労働安全衛生)、ISO9001(品質)、ISO14001(環境)の章番号・項目と各システム独自の内容をまとめたものです。

ご覧の通り、ISOマネジメントシステムは、同じ構成のPDCAサイクルです。この同じ構成の仕組みが継続する秘訣です。

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ここで、一番特筆すべき点は、「P計画」の「5.リーダーシップ」のところは、経営トップが仕切って、この「PDCAサイクル」で何をやるかを宣言します。さらに、どういう体制でやるかも決めます。

そして「C評価」の「9.パフォーマンス評価」では、レビューを経営トップに向けて行い、経営トップから改善の方向性が出されます。

【ここからの学び】
「PDCAサイクル」は、その責任者の本気度がないと進まないということです。「C評価」には必ず責任者が絡むので、「❷ DDD型」は一気に淘汰されることになります。

また、責任者が評価した上、改善の方向性まで示すので強いプレッシャーが掛かり「❸ PDC型」も淘汰されます。


3.PDCAサイクルは3度回してやっと一人前

ISOマネジメントシステムの認証を取得する場合、審査機関の外部審査を受けなければなりません。これは、PDCAサイクル第三者の目を通して、見てもらうことに意味があります。

審査は、次のように3年間で1サイクルとなります。

最初:  認証審査(仕組み全体をチェック)
1年目: 定期審査(仕組みの半分をチェック)
2年目: 定期審査(仕組みの残り半分をチェック)
3年目: 更新審査(仕組み全体をチェック)

3年目の更新審査では、3年間を振り返ることになります。即ち、3回PDCAサイクルを回した結果として、仕組みに不具合がなかったかを綿密に審査することになります。

ISOマネジメントシステム(PDCAサイクル)は、仕組みが回っていたとしても、実際に継続的な改善がなくては意味がありません。そういう意味で、3度回して初めて有効活用できるかどうかがわかってくるのです。

【ここからの学び】
PDCAサイクルは、1サイクル毎に、このサイクルに関わっていない第三者の目で見てもらうことが必要です。会社でいうと、監査役や監査部による監査というところでしょうか。

1サイクル毎に、第三者の目を入れることで、「❹ PDCA型」は淘汰されていくのではないでしょうか。


4.人はもともと怠け者

ISOマネジメントシステムの場合、1年に1回、経営トップへのレビュー外部審査という仕組みを作ることで回さなけらばない状況にしています。

人はもともと怠け者だという前提でこの仕組みが作られているとしか思えません。私自身も、このような仕組みなしで、根性でPDCAサイクルを回し続ける自信は、モチロン全くありません。

ISOマネジメントシステムでは、この他に人を怠け者にさせない仕組みがあります。

それは、「監視・測定」「内部監査」です。

1)監視・測定

計画を立てる際には、既に、その計画に基づき何をデータ取りするかを決めなければなりません。そして、その監視・測定した結果を活用して経営トップへのレビューを行うことになります。

そのため、計画ばかり立てる「❶PPP型」だと、監視・測定が追い付いていかないので、とりあえず「P計画」を立てて「D実行」するしかありません。

1度のPDCAサイクルをきっちり回すことに集中し過ぎると「P計画」で足踏みしてしまいますが、2.で説明したように、3度回して一人前という発想になると、1回目の計画は取りあえず、さっと作って「D実施」「C評価」に集中し、うまく行かなかったら改善すればいいという考えに立つといいと思います。

2)内部監査

これも、第三者の目と同じように、他人の目によるお互いのチェックです。岡目八目とう諺通り、自分では見えないことを内部監査では指摘してもらえる可能性が高いです。また、他人を監査することで、自分のことも振り返ることができます。

【ここからの学び】

「監視・測定」をやってレビューに繋げること、お互いに監査し合うこと、そういう仕組みがあると、PDCAサイクルが滞りなく回り続けて行くのではないかと思います。

特に、内部監査とか外部審査の仕組みは、PDCAサイクルを回す時に、是非取り入れることをお勧めします。


5.まとめ

❶PDCAサイクルをクルクル回すためのアイデアがISOマネジメントシステムには沢山あります。

❷PDCAサイクルの責任者がこの仕組みを回すことに本気になることが重要である。

❸PDCAサイクルは3度回して初めて有効性が見えてくる。有効性をチェックするには、第三者に見てもらうのがよい。

❹PDCAサイクルを回すためには、経営へのレビュー策定に向けた監視・測定や内部監査のような仕組みを組み込むことが重要である。

人は、もともと怠け者なので、PDCAサイクルをクルクル回すには、ISOマネジメントシステムの仕組みを旨く活用することで、怠けてはいられない状況に追い込むことが必要である。










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