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SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」: 食品ロス削減事例『食パンの耳の有効利用』

1.SDGs目標12と食品ロス

今日は、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」に関連する食品ロスの削減について事例を挙げて紹介したいと思います。

SDGs目標12は、「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目標としています。

ターゲット12.3には、「小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンおける食料の損失を減少させる」と書かれています。

食品廃棄物は、経済の発展とともに増加して来ました。

食品廃棄物の中でも「本来食べられるのに廃棄される食品」を食品ロスと呼びます。

例えば、
「形が崩れたりした規格外の加工食品」
「賞味期限切れや納入期限切れの加工食品」
「家庭や飲食店での食べ残し」
「食品の加工や調理の途中で出てくる食べられるのに使わない可食部分」
などがあります。

令和4年6月農林水産省発表の資料によると、食品廃棄物(食品ロス)は、事業系・家庭系合わせて522万トンになります。

これは世界全体が援助している食料の約2倍となり、廃棄物処理費用も年間 約2兆円になるとのことです。

即ち、こういった食品ロスを削減することは、環境負荷を低減し経済的コストの削減に繋がります。

本日の日経新聞 朝刊には、帝国ホテルの「食パンの耳の再利用」の事例の記事がありました。

「食パンの耳」については、食品メーカーも工夫を重ねて再利用しています。

今日は、帝国ホテルの事例以外に2つの事例をご紹介します。

【引用、参照website】
◆日本もったいない食品センターwebsite: 食品ロスの現状と世界との比較


2.山崎製パン㈱の事例

皆様も多分お馴染みの「ランチパック」シリーズは、食パンにピーナッツ、たまご、ツナマヨネーズなどの具材をサンドした商品です。

1,800種類で年間4億個売れる商品だそうです。

このランチパックは、製造過程で食パンの「耳」がカットされます。

以前は、それらは廃棄されていたようですが、現在は100パーセント有効利用されているようです。

最も多く使用されているのが「ちょいパクラスク」です。

その他、委託先のパン粉メーカーで業務用のパン粉として製品化しているそうです。

そのパン粉は山崎製パン㈱の総菜パンの具材であるメンチカツのつなぎとしても利用したり、豚や鶏の飼料原料として活用しているとのことです。

【引用、参照website】
◆農林水産業HP: 余った食べ物が大変身! 各企業の削減術


3.アサヒグループホールディングスの事例

サンドイッチの製造で発生し活用しきれない「食パンの耳」を乾燥し、クラフトビールの原料として使用し「蔵前WHITE」というクラフトビールを製造しているようです。

食パンの耳は、蔵前にあるパン・サンドイッチ専門店が提供し、アサヒグループのクラフトビール醸造所「TOKYO隅田川ブルーイング」で製造しているとのことです。

「食パンの耳」と小麦を原料にしたヴァイツェンタイプのビールで、「食パンの耳」由来の香ばしい香りと小麦由来のフルーティーな香り、やわらかな口あたりが楽しめるそうです。

【引用、参照website】
◆アサヒグループホールディングスHP: [プレスルーム] 衣食分野におけるサステナブルなライフスタイルを提案する 「UPCYCLE B」プロジェクト、第二弾商品「蔵前WHITE」販売開始 サンドイッチ製造で発生する“パン耳”をアップサイクルした“ブレッドクラフト”


4.帝国ホテルの事例

これは、今日の日経新聞 朝刊に載っていた記事です。

◆帝国ホテル、耳の白い食パン 食品ロス削減に寄与【日本経済新聞2022.9.14朝刊、9.13電子版】
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この記事は、帝国ホテルは、「食パンの耳」が白く、そのままサンドイッチに利用できる独自の食パンを開発したという内容です。

これまで製造過程で出た「食パンの耳」は捨てていたそうですが、この耳が白いパンにすることで食品ロスを減らせる(年間2.5トン)ようです。

来年度までに帝国ホテル東京館内で出す全てのサンドイッチから耳の廃棄を無くす方針のようです。

この食パンは、帝国ホテルが半年かかって開発したようですが、この技術は、製パンメーカーでも活用できるのではないかと思いました。


5.さいごに

農林水産省のホームページによると、令和元年の日本の食料自給率は、カロリーベースで38%に過ぎないとのことです。

そんな日本が、世界全体が援助している食料の約2倍の食品ロスを毎年出しているというのは衝撃的です。

今回の食パンの事例のように、可食部分を100%活用し切る取組は、非常に重要だと思いました。

反対に言うと、これまで「食パンの耳」が廃棄されていたという事実にも驚きを感じました。

食品リサイクル法では、例えば、食品製造業に対しては2024年度までに95%以上の食品リサイクル(再生利用等実施率)を求めています。

各食品メーカーは、今回の事例のように、食品ロスを有効活用するとともに、外部にその情報を発信することで、コスト削減や企業のファン増加(経済的価値)と食品ロスの削減(経済的価値)の両方を追い求め、企業価値を高めてもらいたいと思います。


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