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小麦粉メーカーのSDGs事例紹介:「ゆで時間、大幅短縮」「粕を活かし健康に」

本日の投稿では、小麦粉メーカー2社のSDGsに関わる興味深い取り組みを紹介します。

1.日清製粉welna HP: 日清製粉ウェルナのできること

最近、テレビのコマーシャルも流れていて、ついつい興味が湧いています。

日清製粉ウェルナは、麺に切り込みを入れることで、パスタ本来のおいしさはそのままに、ゆで時間を短縮することに成功しました。

この技術では、切り込みが入ったパスタが、ゆで上がると、ナンと通常のパスタと変わらない丸い断面形状になり、手軽にアルデンテ食感*のパスタが楽しめまるというものです。

*「アルデンテ食感」: アルデンテはイタリア語の「al dente(歯に)」という意味。パスタを少し歯ごたえが残る程度に茹で上げた状態のことを言います。

1-1)SDGs目標13「気呼応変動に具体的な対策を」に有効?

この技術により、このスパゲッティ(太さ1.6mm)の場合、茹でる時間が短縮されるため、茹でる時に発生するCO2量を36%削減できるとのことです。

これは、家庭におけるCO2排出量削減にとって、大変素晴らしい取り組みだと思いました。

しかしながら。。。。

CO2の発生量は、ライフサイクルで考えなければなりません(↓の投稿参照)。

確かにこのパスタを使用すると、メーカーの川下の家庭でのCO2は削減されますが、ライフサイクル全般を通して試算するとどうなるのかという疑問が残りました。

例えば、形状を変更することにより、使用する「小麦」の育成に掛かるCO2に変化がないのか?、また、機械で製造する時に、小麦と機械の摩擦が多くなり、反対にCO2を発生することはないのか?

家庭内のCO2の削減量は、ライフサイクル全体のCO2発生量のうち、どれくらいを占めているのか?

いろいろ疑問が湧いて来ます。

多分、企業側はそれら数値を押さえていると思いますが、このwebsiteでは、そんな言及はなしに、家庭でのCO2削減を強くアピールしているのが気になります。

技術開発に何十年もかけて開発された素晴らしい技術だけに、その辺りもきっちり説明して頂けるともっと良かったと思いました。

一方では、この忙しい現代に調理の時間短縮できるというのも非常に嬉しいです。


2.㈱ニップン 中央研究所イノベーションセンター資料: 第9回食品産業もったいない大賞 農林水産省大臣官房長賞 「粕を活かして健康および健康寿命延伸を!」(2022.1.28)

https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/ondanka/mottai/attach/pdf/mottai-135.pdf

小麦粉メーカー各社では、小麦粉を作る際に出て来る「小麦ふすま」(小麦粉の表皮部分)の有効活用が重要なテーマになっているようです。

そんな中、ニップン(旧 日本製粉)は、小麦ふすまの有効活用を研究し、健康寿命の延伸に貢献できる機能性食品素材の開発を行って来たとのこと。

その成果として、肌の水分蒸散量を抑えて角質水分量を高める効果がある「セラミド」があります。

その後、小麦ふすまより低価格で、安定した調達を目指し、食品工場の副産物や粕に注目したそうです。

そうして、食品工場副産物や粕が機能性食品素材の原料となり得ることを証明することで、それらの価値をさらに向上させることが可能になったとのことです。

ニップンが食品工場副産物から製造した機能性食品素材としては、

⦿米油、コーン油製造副産物「セラミド」: 美容・美肌(肌の健康維持)

⦿オリーブ油搾り粕「オリーブ果実マスリン酸」: ロコモ予防(筋肉、間接、疲労感軽減のサポート)

⦿ワイン搾り粕「パミスエキス」: オーラルケア(歯や口腔内の健康維持)

等があるようです。

今後も、国内外で処理に苦慮している食品加工後の副産物や残渣を調査し、それらを活用し、機能性食品素材を増やして行くとのことです。

2-1)SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」や目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に関連?

もともと食することができず、廃棄するしかない植物の殻等をどのように有効活用するのか?

これは、非常に重要な課題だと思いました。

かつては、大豆の搾りかす「おから」を有効活用して来たように、植物の殻等から何か高付加価値の素材を生み出そうという考え方には頭が下がります。

なかなか、そういう粗材を見つけることができないと途中で開発を断念することが多々ありますが、ニップンは、それらを新たな事業にして行っているところが凄いと思いました。

まさに、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」(食品ロス削減)や目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」(新技術の開発)を同時に実現した非常に良い事例です。

今後もこのような、SDGsに関連した話題を不定期に提供して行きたいと思います。


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