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日本の脱石炭が進まない理由を考える: G7閣僚合意から(日経新聞2022.5.28朝刊)

1. 日本が対外的に国内の石炭火力廃止を表明するのは初めて

昨年、イギリスで行われたCOP26 (国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議) では、議長国のイギリス ジョンソン首相が「先進国は2030年までに石炭火力を廃止するべきだ」と訴えたり、日英電話首脳会談でも岸田文雄首相に決断を迫ったりと、日本の脱石炭化は海外から強いプレッシャーが掛けられています。

また、先日の投稿 (↓参照) でも記載した通り、今回のG7閣僚会議では、唯一日本だけが脱石炭に関しては、および腰になっているようでした。

そして、いよいよ、今回のG7閣僚合意では、以下のような共同声明案が出されたようです。

日本は、ヨーロッパ各国にかなり押し切られた感じですね。


2.本日の日経新聞記事: 電力の大半、2035年脱炭素化

今日の日経新聞記事の記事ででは、G7閣僚会合の共同声明の案として、「2035年までに電力部門の大部分を脱炭素化する」と明記するようです。

◆電力の大半、35年脱炭素化 G7閣僚合意 対策取らぬ石炭火力廃止【日本経済新聞2022.5.28朝刊】
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ヨーロッパは、温暖化ガスの排出量削減において、先行しているため、今後、温暖化ガスの排出が多い製品に対して事実上の関税を課す国境調整措置を導入する検討をしているとのことです。

そうなると、特に脱石炭が一向に進んでいない日本の製品がヨーロッパでは、全く今日膂力を失いかねないことになりそうです。

では、なぜ、日本は脱石炭に、および腰なのか?

その要因を調べてみました。


3.日本が脱石炭に、および腰である理由

この件に関して、ググってみました。

そして、まとめた結果が以下の8つです。

これを見ると、脱石炭だけでなく、日本人の発想法や課題が見えてくるような気がしました。

3-1)日本の再生可能エネルギー転換が遅延

❶日本は森林が多く、太陽光パネルの適地が少ないため、太陽光発電を簡単に拡大できない。

(コメント)
イギリスは、周囲を海に囲まれた海洋国家で、水深の浅い地形や風況の良さといった好条件を生かし「世界一」の洋上風力発電大国となっている。

日本も周りが海に囲まれており、地熱の利用可能性もあり、あまり理由になっていないように考えられます。

❷太陽光や風力の発電量は、天候によって大きく左右されてしまい、電気のコントロールがとても難ししいため、石炭等による火力発電で発電量を調整し、需給バランスを調整する必要がある。

(コメント)
日本は、電力会社同士の電力の融通ができない縦型の構造になっており、電力活用の柔軟性に欠けている。

最近、電力が不足したり、中間の太陽光発電が過剰供給になり止めざる得ない状況になったりしており、大きな課題になっています。

3-2)石炭は低価格で安定供給可能

❸石炭は、長期的にみると価格はほかの燃料より安く、安定的な電源と位置づけられている。

❹石炭は石油と違って、存在している地域が分散しており、中東だけに依存しなくてよく、オーストラリアなど比較的近い国からも輸入ができる。

❺石炭は、ほかの化石燃料(石油など)に比べて採掘できる年数が長く安定供給が望める。

❻液化天然ガス(LNG)と違い、保管もできるので、エネルギーの安全保障上、重要である。

(コメント)
理由としては、納得性があるが、これは、ヨーロッパもほぼ同じ条件であるため、単に、政府に中長期的な視点が欠けており、再生可能エネルギー化の推進を怠っただけなのではと考えてしまいます。

また、原子力頼みが東日本大震災の影響で全く効かなくなったことにより、全体の電力構成戦略まで頭が回って行かなくなっているようにも思えます。

3-3)日本の得意技術

❼日本の石炭を環境に優しく高効率に使う技術は世界一であり、この技術を海外普及している。

❽日本が開発に力を入れているCO2発生量が少ないアンモニア発電の技術を海外に売り込みたいと考えているが、この技術は、今ある石炭火力発電の設備のタービンを取り替えるだけで、発電することができるため、石炭火力設備をなくすことができない。

(コメント)
世界の趨勢が脱石炭に傾いている状況の中で、日本には、変革できない体質が残っているように思います。

しかしながら、このアンモニア発電技術は、脱石炭の最先端技術になりそうなので、早期の導入を政府支援のもと進めてもらいたいと思いました。


4.最後に

どうも、日本人にはバックキャスティング思考が不足していると最近思うようになりました。

バックキャスティング思考とは、現在から未来を考えるのではなく、「未来のあるべき姿」から「未来を起点」に解決策を見つける思考法です。

例えば、SDGsは2030年のあるべき姿から、解決策を見つけていく手法だと思いますが、私を含め、日本人には、そういう思考がほとんどないですね。

このバックキャスティング思考については、今後、いろいろ調べて投稿したいと思います。

【引用、参照website】
◆47 NEWS website: COP26開催、議長国イギリスの野望 強気な脱炭素政策の狙いとは

◆NHKおうちで学ぼう!for school website: 日本の石炭火力発電、なぜ廃止できないの?

◆経済産業省 資源エネルギー庁 website: なぜ、日本は石炭火力発電の活用をつづけているのか?~2030年度のエネルギーミックスとCO2削減を達成するための取り組み

◆一般財団法人 石炭フロンティア機構 website: 石炭について学ぶ


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