一生に一度は映画館でジブリを【千と千尋の神隠し編 3の巻】

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○白竜

千尋がハク様と白竜の関係性を第六感で感づくシーン。

…とは関係ない背景の話をします。海、美しすぎませんか?雨が降っただけの浅い海なので海の底が透けて見えるのですが、不気味なほど穏やかなのです。海の静かさが白竜のうねるような動きを引き(惹き)立てています。

そして白竜が窓から飛び出すシーン、ダイナミックですよね。0.5倍速で観て尾でカメラを叩くようなカットの真相を知りたい。

○それおねだり♪

ここのシーン、兄役が何と言っているのか分からなくないですか?「そーれ。さあてもこの世にきわまれる お大臣様のおなりだよ」と言っているらしいです。たぶん、この世の中で極めて(身分の)高いお大臣様がいらっしゃいました」みたいな意味かと思います。

ここからカオナシが何をしたかったのか、何となく分かる気がします。私はカオナシが千尋のことを好きすぎる説を提唱します。自分が異質とされるコミュニティにおいて一番沁みるのが優しさかなと思います。おにぎりのシーンで千尋が涙を流したように、ドアを開けてくれたことがカオナシにとって救いだったのかなと思います。一言で言えば”めんどくさいヤツ”なのかな、そう思われないように気を付けよう…

○銭婆

初期のキャラデザでは、銭婆は湯婆婆に比べてスリムで、湯婆婆の横には「コンプレックス」と書かれています。あえて見た目を同じにすることで、湯婆婆のコンプレックスを考えさせられます。お金や権力で銭婆に勝とうとする湯婆婆ですが、当の姉は丁寧な生活をしている。それもまた妬ましく、ハク様に契約印を盗ませたのではないかと思います。湯婆婆にとってハク様は”自分の権力を表すモノ”でしかなく、ハク様もまた、居場所を失った自分を必要としてくれる湯婆婆に依存していったのではないかと思います。

○落下

このシーン不思議ですよね。千尋が過去の記憶を思い出すと同時にヴァイオリンの音色一つに絞られますが、これは音楽ありきの描き方ですよね。音楽がわずか3秒程度のカットに大きな力を与えています。

そして穴の底にうじゃうじゃいた黒い影。あれはなんでしょうか?私の考察に過ぎないのですが、湯婆婆の逆鱗に触れた部下たちの成れの果てなのかな、と考えています。

○再びボイラー室

換気扇を突き抜ける瞬間、またまたティンパニの展開です。踏みつぶした虫みたいなやつは、湯婆婆がハク様を支配するための呪いだったのですね。ハウルの動く城でも荒地の魔女の巾着からナメクジみたいなの出てきますが、宮崎さんの中で呪いのイメージはナメクジなんでしょうか?

踏みつぶす千尋を真似するミニ坊に目が行きがちですが、窯爺はとても大事なことを千尋に教えています。ハク様も千尋と同じように窯爺の元を訪ね「魔法使いの弟子になりたい」と言って聞かなかったと。窯爺が案外すんなりと千尋を助けたのも、ハク様と千尋を重ねたからなのかな、と思います。

「えんがちょ」のシーン、Spirited Away(英語版)では何と表現されたのでしょうか? そもそも縁とは仏教的な考え方で、めぐりめぐる的な意味だった気がします。縁を英語で表す、更に「えんがちょ」に込められたニュアンスをどう表現しているのでしょうか…?

第四弾に続く




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