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初めて、経営理念をつくってみた。

 2021年5月に創立15周年を迎えたアドバンド株式会社は、メンバーが徐々に増え、会社が次の成長フェーズに差しかかることを想定して、前年から経営理念の見直しに取り組んできました。
 会社の柱となるミッション、さらに5つのバリューと20の行動指針を策定。中小企業としては、まあまあの投資になったのですが、社内外の求心力が高まり、「一枚岩」の経営に向けた自信ができたのは大きな収穫となりました。

 CI(コーポレート・アイデンティティ)を中心としたインナーブランディングは、一種の流行ともいえます。なかでも、社名やロゴを刷新するVI(ビジュアル・アイデンティティ)は影響も大きく、経営層をも巻き込む長期的なプロジェクトとなることが多いため、担当者が大きな達成感を得られることは想像に難くありません。

 ただし、これは正常な企業の場合です。
 例えば、沈滞した会社が現状を打開しようと、インナーブランディングに取り組んでもメンバーは白けるだけ。企業はクラブ・サークル活動とはちがいます。いくら立派な理念やミッションができても、ビジネスモデルが欠陥だらけでは持続できないからです。

 弱者と強者の戦略で有名な「ランチェスターの法則」にくわしい竹田陽一氏によれば、オペレーションズ・リサーチの手法で、最適な経営資源の投下率がわかるといいます。結論から言うと、その順序と配分は、「営業」53%「商品」27%、「組織」13%、「財務」7 %。つまり、売上に直結する外向きの活動に80%、社内の間接的な活動に20%という割合となります。

 当然といえば当然ですが、いいお客様を見つけて、いい製品やサービスを提供することに最大限の力を注ぐのが、良い経営の大前提です。これらを補完する活動として、人材の採用や育成・評価、さらにインナーブランディングなどの組織づくりが重要というわけです。

 車でいうと、マーケティングやイノベーションがエンジンで、インナーブランディングはカーナビといえるでしょうか。最速の車でも、寄り道すれば到着が遅くなります。一方、そこそこの性能の車でも、最短ルートがわかれば、ゴールに早くたどり着けるということです。

 コロナ禍で従業員同士のコミュニケーションが希薄な昨今、社内のベクトルを統一するインナーブランディングが、メンバーの心に灯をともすきっかけになれば、と思います。CI構築には時間もかかり、決して安価ではありませんが、組織が「ワンチーム」となり、一気に成長が加速するなら、費用対効果の高い投資だといえるかも知れません。

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