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①アトピーな私の心理学~闇に隠れて生きる深い穴~

①アトピーな私の心理学~闇に隠れて生きる深い穴~

🟡音声で聴きたい方はこちらから→https://youtu.be/LKzAWRsQeMo


3歳の頃からアトピーと診断された私は
30代前半までステロイドを使ってきた。
何度か入院もしたが、
仕事も恋愛もそれなりにしつつ普通に暮らしてきた。

30過ぎたあたりから、薬の効果を感じにくくなり、
どうしたらいいのかわからなくなった。

そんな時、脱ステロイド治療の話を聞く。
ステロイドは危険、今すぐやめた方がいい。
という周りの影響もあり、不安もあったが、治るなら・・・!
と、気持ちを固め、
脱ステロイド治療に踏み切る。

脱ステ治療でお世話になる病院に行くと、医者から
「ステロイドを使っているなら今すぐやめなさい!
家にあるステロイドを全て捨てなさい!」と言われ全部捨てた。

ステロイドをやめたその日から痒み地獄。
一気に搔きむしり、肌がボロボロになった。
3日目には外に出れない位、皮膚がみるみる固まり、動くのも一苦労。
痒みで集中力が欠け、仕事に就く事も出来ない。
でも、ステロイドを使おうとは思わなかった。


今までステロイドを使ってきたから、
そのせいで今、こんなに酷い状態だけど、
脱ステ治療を頑張れば治る!!と信じた。

ステロイドと上手く付き合って行けば大丈夫!
なんて甘い誘惑に惑わされると地獄に落ちる!!
とさえ思っていた。


突然変貌した自分が自分じゃないような気持ちになる
あまりにも、痒くて
でも、掻きたくなくて
それでも結局
耐えられず、掻いてしまう

「掻かないようにしましょう」とか絶対に無理。それくらい底から痒い。

痒くて痒くて痒くて…掻いても掻いても痒いところに届かない地獄。
小さな虫が皮膚の裏でうごめいているような感覚。
皮膚を掘るように掻いた。
掻きすぎて爪の奥に皮膚が刺さり爪の中が炎症した。
爪一本一本に絆創膏を貼るが、襲ってくる痒みに耐えられず
逆に力いっぱい掻いてしまう。
しまいには、ペンの後ろで掻いていた。

掻きむしって
泣いた。

掻きたくないけど我慢できない痒みに
負けてしまう。悔しい。

コントロールできない体
皮膚が、自分のせいで壊れていく様を
マジマジと目の前で見る。悲しさ。

毎日、掻いてばかりの生活
皮膚が変貌しているので母以外の人には
誰にも会いたくなかった。

脱ステを初めて1年で良くなる。と言われていたので
そんな状況でも頑張れた。
2年目も医者にもう少しで良くなる!と励まされ頑張れた。
3年目も根性で続けた。

ずっと

体もぐちゃぐちゃ
顔もぐちゃぐちゃ

掻けば掻くほど皮膚は刺激から守ろうとするので
固くなっていく。どんどん固くなる皮膚
たちまち象の皮膚になる

4年目

もう誰にも会いたくないし
医者の言う「もう少し」・・・に疑問も湧いてきた。

顔も体も常に24時間、痒みで支配されて
気持ちが自分でコントロールできない

何かを考える気力さえなくなる。
このままでいいんだろうか・・・
ずーっとこの状態が続いたらどうしよう・・・
薬・・・が何度か頭をよぎる。

と同時に3年も脱ステをしていると
ここまで頑張ったんだから・・・
今、辞めてしまったら今までの努力が全て水の泡!!
と思ってしまう自分がいる。

皮膚は最大の臓器
と言われています。
人間の皮膚を頭の先から
足の先までペロンと剥がして伸ばしたら
畳一畳分になります。
外からの刺激を一番先に受けて立つところです。

皮膚を通して感情までコントロールできてしまうくらい
敏感で、繊細で、優しい皮膚。

ここがめちゃくちゃになってしまうことの
絶望感は・・・


体もぐちゃぐちゃ
顔もぐちゃぐちゃ
心も、ぐちゃぐちゃ


全然先に進まないもどかしさと
少し調子が良くなったと思ったら
悪くなるの繰り返しが重なれば重なるほど

希望が、未来が剥がされていくようだった。


未来が見えない
未来なんかなくていい
未来なんかない方がいい
未来の自分を想像しないように
先の見えない真っ暗闇の中
手探りで
四つん這いで
モゾモゾと這っている
進んでは戻り進んでは戻り前に進んでいるのではなくて
深い穴の底にゆっくり
確実に落ちていく・・・
落ちていけばいくほど
這い上がれなくなる恐怖と闘う
無理矢理にでも、希望を持つ。
そう言い聞かせながら
長すぎる1日を過ごしていた。

そんな自分を可哀想だと思った。
そんな自分を情けないと思った。

今、不振り返っても泣けてくる。

体験した人にしかわからない本当の話。

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