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3.おまる壺にてんこ盛りのポテトサラダ(文化)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者)

赤子には、たいてい、おむつをする。トイレで排泄するというトレーニングがまだできていないからだ。しかし、ここにおまる壺なるものがある。インターネットで検索すると、日本でもさまざまなおまる壺が販売されていることがわかる。それは小さな陶器の壺で、赤子の排泄に使わせるのである。その説明書きによると、「新生児から使えます」ということだが、首も座らない赤子にどうやって使わせるのだろうか?それを使うと、おむつを使わずに済み、トイレで排泄する習慣が自然とついていくようだが、想像力が乏しい自分には、どうやって新生児を支えて用を足させるのか、イメージがわかない。使わせたことのあるかたに、ぜひその様子や感想をお聞きしたい。

チェコでは、少なくとも30~40年ほど前には、日本よりもおまる壺(nočník)が普及していたようだ。と言っても、赤子に使わせるというより、もう少し大きな幼児が使用していた。当時のチェコの田舎では、トイレはしばしば屋外に別棟で建てられていた。冬の厳寒の夜、子供がおしっこをしたがったとき、屋外のトイレに行かせるのではなく室内で済ませられるように準備していたとのことだ。

「クリスマスに、彼ら夫婦は、彩色されたおまる壺にジャガイモサラダを盛って、うちに送ってくれた。二人とも若かった」
(「パイクで勝負」より、p.20)

チェコのおまる壺は美しい色絵で飾られ、どちらかというと、玄関や客間に並べておくための飾り壺にも見える。サラダを入れたくなるのも、わからないでもない。

ところで、当時、彼らにはすでに子供(ダーシャ)がいたと思われるのだが、果たしてこのおまる壺は新品だったのだろうか。

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