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生井巖展のこと

 大変だ、と思ったのです。生井巖(なまいいわお)さんの作品に初めて触れたときのことです。ただならぬものを見てしまった。しかも今目にしているものの向こうに控える計り知れない世界の存在に衝撃を受けたのでした。

 今回の展示では、はがき大のカット絵約300点をご覧いただけます。小さな墨絵の一枚一枚に、そこに描かれた植物や器物の呼吸を感じ引き込まれてしまいます。

 それから、生井巖さんが日々描きこむ、日記のようなスケッチブックのようなノートも展示しています。そしてこのノートが、とにかくすごいのです。

 そこには、生井巖さんが日々の生活の中で見たもの、出会ったものたちが、丁寧に、丹念に、執拗に、そして圧倒的な美しさで描かれています。罫線を無視して描き連ねられていくあらゆる物。ページには別紙が付け足され、さらに描きこまれ折り畳まれて、ノートの厚みは元の数倍になっています。
 ページを開いた瞬間に飛び込んでくる絵の美しさに目を見張り、折り畳まれた紙を開いていくことで現れる大きな画面に驚きの声を漏らし、さらに添えられた文章に目を走らせれば、画家の、対象への興味と敬虔さと描くよろこびとに胸を打たれます。

 ひとりの画家が、目と手によって世界や宇宙と繋がっていく軌跡が、そこにあるのでした。このようなものを手に取って見ることができる幸運をおもい心が打ち震えるのです。

大変です。

 これは、他の人にも見てほしい。絵を描く人も描かない人も、なにかを作る人も日々忙しさに追われる人も。若い人、若くない人、こどもたちにも、見てほしい。できたら人間全員に。
 みちのそらでの展示では、もちろん人間全員には届かないけれど、少しでも多くの方に見ていただけるよう、願ってやみません。

生で見てこその生井巖作品の迫力と奥深さを、体験していただけますように。どうぞ会場に足を運んでください。ギャラリーでは感染防止への配慮を怠らずに、みなさまをお待ちしております。

生井巖 綴られた小さなカット絵展
5月2日(日)〜5月31日(火)
14:00〜20:00
水、木:定休日
5/22:おやすみ

アトリエみちのそら
群馬県太田市新田木崎町596
080-3414-0013

#生井巖展 #日本画 #展覧会

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