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協力隊任期中の創業準備

ぼくは上島町で、令和2年4月から「島おこし協力隊」として勤務しています。この「島おこし協力隊」は、「地域おこし協力隊」の上島町での呼び名。「島おこし協力隊」になった理由はいろいろあるけれど、最大のものは、「その任期の3年間に創業準備をしよう」というものでした。

他の市町のことだけど、協力隊としての着任早々1年目で創業しちゃう人や、2年目にもう店舗をオープンさせて協力隊を「卒業」する人もいて、「あー、そういうペース配分もあったのね」と思ったけれど、ぼくは協力隊として基本となる3年間をフルに使って創業準備をするスケジュールで動きました。

3年間のペース配分としては理想の動き方として、まずは協力隊の勤務開始時の1年目、令和2年4月には協力隊として100%動く。徐々に創業準備の比率を増やしていって、任期の折り返し点となる2年目の秋で半々の割合とし、任期が終わりに近づく頃には創業準備に専念する、というようなことを考えていました。あくまで理想論ではあったのですけど。

1年目の終わり頃、令和3年に入った2月から3月にかけて、コロナが落ち着いた合間を縫って、今治で開催された伊予銀行の「今治みらい起業塾創業セミナー」に参加しました。これが、起業・創業について学び始めた最初です。どれくらい資金が必要なのか、経費に対して利益を確保するにはどれくらいの売上がいるのか。このように考えていくことには漠然とした苦手意識がありましたが、それから時間をかけて創業準備の時間を重ねていく中で、苦手だったのかどうか、意識しなくて済むようになりました。

2年目に入ってゲストハウスにする空き家物件を確保することができました。それからほぼ1年がかりで、空き家の中に蓄えられていた残置物を処分していきます。
2年目の最大のイベントは、愛媛県のビジネスプランコンテスト「EGF(愛媛グローカル・フロンティア・プログラム)アワード」へのエントリーです。夏にエントリーして結果が出るのは冬。選考の過程で半年以上かかります。1年目で早々に受賞する同期の協力隊員がいて、協力隊が創業を目指すなら、「ビジコン(「ビジネスプランコンテスト」の業界用語)」でまず入賞しておくべき、と思い込んでいました。このビジコンは、制度としてやっぱりうまくできていて、節目節目にリアルやオンラインのセミナーがあって、「創業サポーター」や創業支援のプロの先生方に、ビジネスプラン修正についてのアドバイスを受けられるだけでなく、補助金制度についても教えていただく機会が設けられていて、創業に向けた知識とセンス、心構えが身につくようになっていました。2年目の終わり、ぼくはこの年の「EGFアワード」で、「2等賞」である「優秀賞」を受賞することができました。

3年目となる本年度の前半は、助成金の申請作業に多くの時間を費やしました。助成金もコンテスト形式で、審査・選考があります。ここも、ビジネスプランをブラッシュアップする機会となりました。そして、そんな日々のうちに、「もう勢い」と言うしかないのですが、合同会社で会社法人も設立してしまいました。ゲストハウスなので、保健所の営業許可申請も必要です。改修図面を保健所の担当者にご確認いただいて「GO」が出て、いくつかの補助金を受けられることができました。9月末には銀行からの融資も受けてお支払いができるようになり、改修工事も最終盤となって、購入した設備が次々と搬入されつつあります。今、ココです。空っぽだった建物も、ようやくゲストハウスらしくなってきました。

協力隊を「卒業」して早く事業に専念したい、と思う瞬間もありましたが、長いようで短い3年間の任期。じっくりと創業準備を、フルで満喫することができ、今は「よかった」と思っています。

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