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霊視には懐疑的な理由/48歳バツイチだけど運命の人に出会った【23】

会社の従業員が乗っ取りを企んだため、たー君はストレスで毎日私に当たります。たー君の体調も悪いしトラブルも続きました。私は店のお客さんの師匠だという霊能者に、霊視鑑定をお願いすることになったのですが……。

実はそれまで私は霊能力というものには懐疑的でした。

私は霊感が強いわけではないですが、まったくないわけではなく。これまでに何度か霊現象に遭遇しています。

それは二十歳ごろのこと、私は池袋のサンシャインビルの中にある店でアルバイトしていました。

お店の裏口に行くには地下駐車場を通っていくのですが、ある夏の日、いつものように裏口に行こうとしたら、なにか背中が冷たくなった気がしたのです。

夏場なのになぜ?

すると私の頭上で何人もの人が歩いている音がするのです。

ザッザッザッザッ、と規則正しい音で、まるで軍隊の行進のようでした。

しかしコンクリートで固められた駐車場で、そんな音がするわけがありません。

私は足をもつれさせながら、やっとのことで裏口に入ったのですが、汗はすっかりひいて、冷たくなっていました。

サンシャインビルは昔、巣鴨拘置所があったらしく、戦犯や思想犯を収容した場所だというのは後から聞きました。

隣にある東池袋中央公園は処刑場で、視る人が見ると昼間でも人魂が飛び交っているとか。
私はそこまで霊感が強いわけではないですが、公園じたいは木が鬱蒼として昼間でも暗い感じはします。

それに……あんまりこういうこと言うとアレですけど、池袋って変な事件多いですよね。多分、土地自体の気もあまり良くないような気がします。

そのほかにも、霊の通り道に住んでたとか、寝ている時に三人に囲まれて内臓掴まれたとか、何度か霊現象がありましたが、長くなるので割愛。

数回の霊現象で、霊がいるのは信じるけど霊視や霊能者というものには懐疑的でした。

ホンモノもいるだろうけど、その数は少なく、ニセモノのほうが多いんじゃないか、と思っていたんです。

私の母が旅行で恐山に行ったとき、亡くなった父のことをイタコに聞いたそうです。私たちのことをなにか言っていますか?、と。

するとイタコは、

「お前たちのことが心配だったが、俺も病気には勝てなかった」

……と言ったのです。

父は船の事故で亡くなっているのです。ですから、病気というのは当たっていません。

父の死後、東北の地元に戻った母は再婚します。ところが私は再婚相手とあまりそりが合わず、高校卒業後に上京して40歳まで帰りませんでした。

妹は地元に残って結婚したのですが、夫とケンカするたびに実家に逃げ込んでいました。そして離婚するつもりで実家に戻ったのですが、その妹を義父は疎ましがっていました。自分の生活が乱されるのが嫌だったんでしょうね。

それでなぜか巫女さんに視てもらったとのこと。

前年に義父の母(義祖母?)が亡くなったのですが、その祖母が死んだのも、自分が病気なのも妹が祟っているせいだ、と言いだしたのです。

生きてんのに祟りって……。

義祖母は80歳をだいぶ過ぎており、言ってしまえば寿命です。そして義父の病気は酒の飲みすぎでなったものだし、自分の責任です。それを妹のせいにするなんて。

義父が巫女にそう言わせたんだろうけど、霊能者なんて信用できない。そう思うには十分の出来事ですよね。

それから十年以上たち、自分とたー君のトラブル、たー君の体の不具合と、次々と悪いことが起こり、あまつさえたー君には

「お前とつきあってから悪いことばかり起こる」

……などと言われ、私はかなり落ち込んでしまいました。

その頃何度も、たー君に「もう別れる。この部屋の鍵を置いていけ」などと言われていたにも関わらず、私は別れなかった。

なぜか別れる気がしなかったんです。

たー君は酒を飲んでていきなりキレることは多いですが、休みの日などはとても陽気で、たまにはデレてきたりもします。

「なんでお前といると落ち着くんだろうな~」とか、
「お前となんでこんなに合うんだろうな~」などと言うこともあります。

そういえばこんなことを言ったことがありました。

「お前、姫の生まれ変わりだろ?」

姫というのは、たー君が昔飼っていたゴールデンレトリーバーです。
私がその生まれ変わりだと言うのです。

たー君も私とはふつうの関係ではないことを感じているようです。

私たちは数々のトラブルは、もしかして守護霊様とかご先祖様とかのメッセージなのか。いや、霊障かもしれない、と感じ始めていました。

そんな時に出会った霊感がある和ちゃんと、その師匠の出現がなにか意味があるような気がしたのです。

こうして、和ちゃんの師匠のМさんとコンタクトを取って、視てもらうことにしました。

2017年の4月のことでした。

つづく


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