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起こったことはすべて意味があること/48歳バツイチだけど運命の人に出会った【27】
女ひとりで生きていくためにBARを開業した「私」。店に来た「たー君」と付き合うことになったが、トラブル続きの上、痛風、アトピーと、たー君は不具合ばかり。霊能者に視てもらったら前世での縁が発覚し……。
こうしてМさんに視てもらい、たー君と前世で姉弟だということを知った私ですが。
それから一週間ほどたって、Мさんの弟子である和ちゃんが店に来ました。
霊視の結果を話したところ、和ちゃんが一言。
「じゃあ、私がこの店に来たのも意味があることだったんですね」
……って。
うん。私もそう思う。
霊視の内容から私は、これまで起こったことは龍神様かお稲荷様かどちらかの力が働いたのかもしれない、と感じました。
龍神様なら下半身の黒いものを掃うため。
お稲荷様なら、天に還るため。
そのためには人間の能力者の力を借りなければならず、龍神様はトラブルを起こすなどしてたー君に働きかけていたが、今生のたー君にはそこまでの力はない。なので、たー君を能力者と結びつけるための存在が必要だったのでは、と。
たー君を心から心配し「不思議なものの存在」を認めて、力のある能力者のところに行ける人間------私という人物が必要だったのでは、と思ったのです。
だって前世で姉だったら、弟の体調が悪かったら心配するよね。
しかし今生では私とたー君がまず、知り合いにならないといけないわけで。
知り合いになっちゃえば、あとは前世の縁からすぐ仲良くなるから、後のことはいいとして、まずどうやって知り合うか?
龍神様:たーは車好きだから運転の仕事させて、ミチルは酒好きだから飲み屋やらせれば知り合うんじゃね?
お稲荷様:じゃあまず、ミチルを田舎に帰すことからやらないと。
龍神様:ゲームとか小説の仕事減らせば「なんかやらないと」とって考えるんじゃないの?
こんなことを龍神様とお稲荷様が相談してたんじゃないか? ……なんて想像をしています。
今考えても店を開業することを、いろんなことが後押ししてる感じがあったんですよね。
店はじめる一年前くらいに友人から、
「取り壊しになる家がある。持ち物もそのまま残ってるけど、着物もあるから見に来ないか?」
…と連絡をもらったことがありました。
お茶やお花の先生をされていた方が、夫婦そろって施設に入られたとのこと。生け花を習っていた私は、着物と花器があるというので喜んで見に行ったのです。
すると。
キッチンにたくさん食器の箱があることに気付きました。
友人は「食器は捨てるつもり」と言いましたが、私は店をやるかもしれない(その時点では未定)からと、段ボール10箱以上の食器をもらってきたのです。
グラスはカットの入った高級なもので、揃えようとしたら数万円はするものが箱入りでありました。シールがついたものもたくさん。
南部鉄器の土瓶やらアイスペール、ティーサーバー等。使えそうなものは全部頂きました。
食器もセンスがいいものばかりで、店で使ってるのはここから貰ってきたものがほとんどです。
それから、まだ店を出すことがはっきり固まってなかった頃、市役所に「創業支援課」ができたんですよね。
市の広報でその情報を見つけ、何の気なしに電話して面接を受けることになりました。
「せっかく話聞いてもらうんだから、書類作っていこう」
……と、A4用紙二枚ぐらいに「創業の動機」や「こういう店がやりたい」ということを書いていったわけです。
そうしたら担当の方が、
「これなら今すぐ開業できますよ。いい物件があるので見に行きませんか?」
えっ、物件?
物件決まったらすぐ入らなきゃいけないじゃないですか。開業の予定は早くても半年後のつもりをしていたのに。
希望は居抜き(店の設備や内装をそのまま使えること)で、200万程度ですべて賄えるくらい、と考えていました。
規模は「ワンオペでやれる」程度、カウンターメインで、テーブルが二つほどなら、一人でもなんとかなります。
人が入りやすいように、できたら道に面したところ。
行ってすぐにいい物件に当たるとは限らない、むしろ最初からは決まらないだろう。それなら物件探しに慣れておこう、くらいの軽い気持ちで見に行くことにしました。
支援課の担当者と待ち合わせ場所にいたのは、不動産会社の社長でした。なんと、紹介された物件は不動産会社の社長の個人的な持ちもの。
元はBARだったそうですが、道路に面しているのはいいが、カウンターのみの狭い店で私の希望とはちょっと離れています。
こんなに狭かったら生活できるだけの売り上げにならないだろう、と断ろうとしました。すると。
「もうすぐ隣の店も出るから、そうしたら二軒を一軒にして広くします。改装費もこちらで持ちますよ」
……と、社長から破格の申し出をされたんですよ。家賃も値切ったら安くしてもらえたし。
まさかの一軒目でほとんど希望が叶ってしまいました。しかも内装費持ってくれるって?
そんないい条件だったら、半年前倒しでもやるでしょ?
金融公庫からお金を借りるのもすぐに決まって、店の開業はおそろしいぐらいとんとん拍子に進みました。
そういえばスピリチュアル系の書籍をけっこう読むのですが、
「龍神様と縁ができると物事のスピードが速くなる」
うろ覚えですがこんな記述を見たことがあります。
店のオープン、たー君と知り合ったこと、それからさまざまなトラブルなど。考えたらこの五、六年、おそろしいぐらいいろんなことがありました。
始めて私の店に来た日の事をたー君は
「なんであの日、お前の店に入ったのかわからない」
……と言います。
花火大会の日で仕事が忙しいはずなのに、なぜ酒を飲んでいたのか。
いつも飲みにいくのは駅前だったり栄町(一番の繁華街)だったりするのに、なぜ寿町(私の店がある町)に行ったのか。
私の店の二階にある店がたー君の代行社をよく使ってくれるらしいので、本当ならそこに行くつもりだったのに、なぜか私の店に入ってしまった。
酒癖のあまり良くない阿彦さんと飲んでたはずなのに、阿彦さんたちは先に帰ってしまい、たー君だけ残ってたんですよね。
それはなぜなのか。
出会いや今まで起こった様々なことを思い出したら、すべてが私とたー君が出会うために仕組まれたこととしか思えない。
そして、たー君のアパートに初めて行った日とその次の日。神棚からカエルが跳んできたことなど。
カエルの件についてたー君は、
「不思議なことはあるんだよ、ってことを神様がお前に教えてるんだ」
……と言ってました。
龍神様に付いた怨念を祓うには、私が「目に視えない世界」のことを信じてなければいけないわけで。
わざと目に見える形で、カエルを寄越したんですかね。
もしかしたら曽我の一連の悪巧みも「私がたー君のことを心配して行動を起こす」ためのものだったのでは。
店は私とたー君が出会う為の場所だったのかもしれない。
……などと思っています。
夢見すぎかなー。
霊能者のタマゴ、和ちゃんは私の話を聞いてこう言いました。
「彼氏さんに龍神様が付いてるなら、ミチルさんにも龍神様のご縁がありますよ」
そして、龍神様由来のものなのか、それとも別のものなのか、不思議なことはこれからまだまだ起こるのでした。
つづく
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