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セミナーログ:「梅棹家庭学の予見力:家族とジェンダーの未来」

第6回   6月13日(日曜日)16:30~19:00
上野千鶴子さん(東京大学名誉教授)
テーマ:「梅棹家庭学の予見力:家族とジェンダーの未来」
【要旨】
梅棹忠夫さんは若い頃、予期せず1950年代の「主婦論争」に参戦していた。わたしのデビュー作のひとつは『主婦論争を読む・全資料』2巻、これに梅棹論文を3本も収録してからのおつきあいだ。その後、『梅棹忠夫著作集』第9巻「女性と文明」の解説を依頼されるなど、梅棹家庭学を知るにつけ、その文明史的な予見力に驚いた。本報告では梅棹家庭学の予測の何が当たり、何が当たらなかったのか、を検証してみたい。
講座終了後コメント参加
井上章一先生(国際日本文化研究センター所長)
加藤秀俊先生(社会学者)、
安成哲三先生(前総合地球環境学研究所長)(予定)
山極壽一先生(総合地球環境学研究所長/前京都大学総長)
【主催】梅棹忠夫生誕100年記念連続講座実行委員会
【共催】京都人類学研究会 、ロンドクレアント
【協力】未来社会をデザインする会(2025年万国博を考える会)

【下記メモ】
・上野さんと梅棹さんの出会い。主婦論争を読む(上野さん編)の中で33本のうち、3本が梅棹さん著。「女と文明」「妻無用論」「母という名の切り札」
主婦論争とは、何だったのか。
第一次 主婦は外で働くべきか?
第二次 家事労働はなぜ経済価値を産まないのか
第三次 主婦の特権化
第四次 子連れ出勤は是か非か?
第五次 主婦のマイノリティ化
第六次 勝ち犬負け犬→結婚からオリル女たち
・『家父長制と資本制』上野千鶴子1990
最後に、ありとあらゆる変数を問わず、労働の編成に内在する格差の問題が残る_それはなぜ人間の生命を産み育て、その死をみとるという労働(再生産労働)が、その他のすべての労働の下位におかれるのか、という根源的な問題である。この問いが解かれるまでは、フェミニズムの課題は永遠に残るだろう。=ケアワークの問題
家事は労働だ、しかも、不当に支払われない不払い労働だ。
・1985年 国税調査項目
「9月24日から30日までの1週間に仕事をしましたか?少しも仕事をしなかった人→仕事を休んでいた、仕事を探していた、家事、通学、その他から選択」
家事は仕事ではないのか?
・逃げ恥 結婚したら、家事をしてもらってもお金を払わなくていいから、結婚しようという相手に対して、「愛の搾取です」というセリフがあった。
現在の未婚率 男性4人に1人、女性6人に1人
保守的結婚感(女はワンオペ育児しないと、男は家庭を守らないと)を持つ人こそ、未婚率が高いという結果がある。よって、未婚率の上昇は、家族形成コストの上昇と関係しているのではないかと言える
1960年皆婚社会へ 男98%、女97%
1990年代 晩婚化・非婚化社会へ
2003年酒井順子「負け犬の遠吠え」
・1959年「妻無用論」梅棹
「男と女の、社会的な同質化現象は、避けがたいものではないだろうか。そして、今後の結婚生活というものは、社会的に同質化した男と女の共同生活というようなところに、次第に接近していくのではないだろうか」
・家事労働研究の知見Cowan Never Done
家庭電化は家事労働の省時間化をもたらさない。代わりに、家事労働の水準を上げる効果がある。」(週に1日の洗濯が毎日の洗濯へ。シーツ下着交換の頻度が上がる)人々の生活はより清潔になったことは、家事労働が楽になったわけではない。
→主婦の二重負担(長時間労働化)
・「M字カーブ」は解消しつつある。(他国は台形に近い)
・日本の労働就業率は、米国とユーロ圏を追い抜いた(2014年以降70.7%)
ダブルインカムへ。
非正規雇用率は、60%に達しつつある。
正規非正規賃金格差は、2018年0,66。
出産離職率の低下(約60%→2012~16年 44.3%)
・コロナ禍 女性の雇用率現象
・経済のソフト化・情報化は男女平等を促進したか? NO。解体ではなく、再編しただけ。
・東大女子合格者比率 2020年19.1% なぜ低いのか。東大を受験する女子人数が少ないから。
ジェンダー教育学の知見(女子が東大を目指すことがなくなる理由はここにある)
Gender socialization (ジェンダーの社会化)
Gender tracking (性別進路誘導)
Hidden curriculum (隠れたカリキュラム)
Unconscious bias(無意識のバイアス)
Aspiration のCooling out(達成欲求の冷却効果)

・90年代の労働法制は、ジェンダ―平等法制の整備と雇用の規制緩和とは、同時に進行してきた。
・コロナ禍で、職住一致に近い、職住混在へ。
・しかし、Online階級(Onlineで仕事でしごとができるのは、年収の高い人)の登場
・テレワークは、男性の家事育児労働を増加させた

その他メモ
・ネパールのシャルパは、一妻多夫制
・核家族化で、Sexが自由になった
・Sexのタブー意識はどこからきているのか

#上野千鶴子 #ジェンダー #梅棹忠夫 #主婦論争

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