【ガイドライン案対応】あはき・柔整の施術所向け 広告の手引き

この手引きは令和6年5月20日開催の第10回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会にて示された「あはき・柔整広告ガイドラインに記載する内容(案)」を元に構成しています。
なお、広告ガイドラインはまだ施行されていないため、すぐに取り締まりや規制強化が図られるものではありません。
また、今後の議論で変更部分がありましたら随時修正していきます。

目次


はじめに

医療機関における広告は、ガイドラインが定められ、広告できる内容が事細かく決められている。
これは患者や利用者にとって、一つ間違えると健康を害してしまうことが考えられるからである。
医療機関の広告のガイドラインが定められた背景には、美容関係の広告によって利用者が不利益を被ることが多かったからであるが、このガイドラインはあくまで医療機関に向けてのものである。

本題の接骨院や整骨院の柔道整復の施術所、鍼灸院やあんまマッサージ院などいわゆるあはきの施術所(以下、施術所)で行っている施術は医療行為ではなく、医業類似行為という位置づけのため医療機関ではない。このため、施術所には医療機関の広告のガイドラインは適用されない。
現状で施術所の広告を明確に定めているのは柔道整復師法(柔整師法)、はり、きゅう、あん摩マッサージ指圧師法(あはき師法)である。この2つの法律は非常に古いため、ウェブサイトやアプリ、ネット広告ついての規定がない。しかしながら日本国内のどの法律も及ばず、なんでも自由に広告できる状態ではない。柔整師法、あはき師法の他にも景品表示法、著作権法などの法律が適用されるからである。

医療機関の広告のガイドラインが定められたのち、厚生労働省では柔整・あはきの広告についてもガイドラインの策定に向けての検討会が重ねられてきた。この検討会はコロナ禍で中断していたが、その後再開し現在も議論は続いている。令和6年5月20日に開催された第10回の検討会で、初めて「あはき・柔整広告ガイドラインに記載する内容(案)」が示された。

この手引きは今後の広告検討会の議論によって修正されていくことがある。

広告とは何か

広告の定義

あはき・柔整広告ガイドライン(案)では、誘引性、特定性、認知性の3つの条件がそろったものを広告としている。

1.誘引性
施術所又は施術者が、自ら又は第三者をして利用者を自らの施術所に誘引する意図があること。
→患者を集めたい意図を持って、何かを表示させることと考えてもらえばよい。

2.特定性
施術者の氏名又は施術所の名称が特定可能であること。
→どこの施術所が表示させたのか、誰が表示させたのかがわかるもの。

3.認知性
一般人が認知できる状態にあること。
→不特定多数の誰かの目や耳に入る状態のこと。

広告の具体例

・テレビCM ・新聞広告 ・折込チラシ ・看板(デジタルサイネージ含む) ・公共交通機関内の掲示物 ・公共交通機関の放送広告 ・ネット上のバナー広告 など
誘引性、特定性、認知性の全てが揃っているため広告となる。
例えば、バスに乗る人にしか認知されないのでバスの車内広告や社内放送は広告ではない、というのは通用しない。公共交通機関である以上、誰もが利用し認知する可能性があるため認知性は認められる。ネット上のバナー広告も意図せず表示されることから認知性は認められる。

・ネット上の広告からリンクされたサイト(ページ?)
恐らく、ネット上の広告をクリックしたことで表示されるページ、いわゆるランディングページのことと考える。構造上、ランディングページより先に行くかどうかは閲覧者が判断できるようになっていれば、サイト全体が広告とされることはないだろう。

広告ではないものの具体例

・公式ウェブサイト ・(希望した特定の人に送る)DM ・院内掲示 ・来院者への案内チラシ など
認知性が認められないため広告ではない。
DMも希望した患者に送るものであれば認知性は認められない。ただし来院患者全てに承諾なしに送るものは不特定多数に向けたものとなり、広告となるので要注意。
院内掲示や来院者への案内チラシは、施術所へ来院しないと見られないものであるから認知性は認められない。
院内掲示でも外から見える場合は広告となる可能性があるので要注意だ。
また来院者への案内チラシと同じ内容のものを、施術所の外にラックを置いて設置したり、院外で手配りすると広告となってしまう。
そして、公式ウェブサイトの場合、検索した結果閲覧したり、QRコードを読み込んだり、閲覧者が自ら行動しないと表示できないものであることから認知性が認められず広告ではない。医療機関の広告ガイドラインではウェブサイトも規制の対象となっているため混同しがちだが、施術所の場合は対象外である。

・新聞や雑誌の記事
新聞や雑誌に記事として取り上げられた場合は誘引性が認められず広告にはならない。ただし、新聞や雑誌に広告料を支払い、記事風の広告として掲載される場合は当然広告となる。

・インターネット上の口コミ
院内やホームページ上に掲載する患者からの口コミは広告にはならない。
判断が難しいのは検索結果に表示される口コミ。明らかに施術所関係者からの依頼を受けて有償で書かれているものであれば広告になるが、来院した患者が自発的に書き込んだものは広告とはいえない。

広告を行う者の責務

患者・利用者に対して広告する内容がきちんと理解でき、適切な施術を選べるように、客観的に正確な情報を発信しなければならない。また施術所が自分の責任で行うこと。
つまり広告代理店などが間に入っていたとしても、施術所の責任となる。仮に加入している団体やコンサルタントがお墨付きを与えていたとしても、責任は施術所にある。

施術所の外観

まずはガイドライン案に定められた、施術所の外観にかかわる部分を見ていこう。施術所の外観は誘引性、特定性、認知性の3つが揃っており広告にあたる。ガイドライン案には施術所の名称を含めて、これまでは言及されていなかったことが含まれている。

施術所名称

あはき師法、柔整師法では広告できる事項に含まれているが、具体的な名称の規制までは言及されておらず、開設届の提出の際に保健所に受理されれば施術所名称は認められたと解されていた。しかしながら明確なルールがなく、保健所の対応も都道府県によって態度が違った。例えばあはきと柔整の施術所を併設する場合に「鍼灸接骨院」が受理されるか、「鍼灸院・接骨院」でなければならないかは、看板や諸々の開設準備において大きな問題だった。
そして今回明記されたのは①あはき師、柔整師によるあはき、または柔整の施術所、②保健所に届け出られた施術所、③医療機関とまぎらわしい名称でない施術所、の3点が広告できる施術所名称とされた。

広告可能な施術所名称の具体例
1.あはきの施術所の場合
 〇施術業態+「院」・「施術所」・「施術院」・「治療院」・「治療所」
 →マッサージ院、はりきゅう施術所、鍼灸治療院、はり治療所 など
 〇業態のみの表示
 →△△マッサージ、□□はり・きゅう など

2.柔整の施術所の場合
 〇施術業態+「院」・「施術所」・「施術院」
 →柔道整復院、柔整施術所 など
 〇業態のみの表示
 →ほねつぎ△△ 接骨□□ など
 〇接骨院
 →△△接骨院

※なお、「整骨院」「柔整治療院」は現在議論中

3.あはき、柔整を併設する場合
 →△△接骨院・鍼灸院、□□鍼灸院・□□接骨院 など

広告不可な施術所名称

基本的に広告可能な施術所名称の1.から3.以外は不可。英語など表現方法を変えても不可である。また、保健所に届け出されている名称以外での表記も不可となっている。
1.医療機関とまぎらわしい
 診療所、治療所、治療室、療院、はり科療院、治療院、メディカル、クリニック、リハビリ、ドック など
2.無資格施術(慰安行為などあはき、柔整以外)とまぎらわしい
 カイロプラクティック、整体、リラクゼーション、リフレ、アスレチック、コンディショニング、リラックス、サポート など
3.あはき・柔整の施術業態が混ざっている
 鍼灸接骨院、マッサージ接骨院 など
4.患者、利用者を限定している
 レディース、子ども、アスリート、スポーツ、美容、〇〇専門 など
※ここでのポイントは、療養費支給申請ができる、いわゆる保険施術は全ての患者を受け入れなければならないということである。レディースは女性のみ、スポーツはスポーツ選手のみ、交通事故専門は交通事故患者しか受け入れない、という誤解を与えるため不可とされている。
5.施術内容、技能、方法を含んでいる
 東洋医学、中国鍼灸、美容鍼灸、漢方、気功、電気療法 など
6.効果効能や優良と思わせる内容を含んでいる
 姿勢改善、小顔矯正、骨盤矯正、匠(たくみ) など
※本来の考え方として、施術所名称は「開設者の名前」+接骨院や「地域名」+鍼灸院が原則とされてきた。このことから開設者の姓や名が「匠」であれば、匠接骨院は認められると解される。ここで不可とされているのは、他と比較して優れている印象を与える「匠」である。
7.広告可と広告不可が混ざっている
 メディカル鍼灸院、サロン接骨院 など
8.あはき、柔整の施術所かどうかがわかりにくい
 △△堂、△△館、△△道場、△△センター、△△サロン、ほぐし処、研究所 など

電話番号・住所など所在に関する情報

電話番号、住所など所在に関する情報は掲載可能。

電話番号など
電話番号の他、FAX番号、フリーダイヤルであること、電話での受付時間。

住所など
住所の他、郵便番号、道順を示す案内図や地図。

ウェブサイトなど
ガイドライン案ではあはき師法、柔整師法で想定されていなかった、インターネット関連情報を広告可能としている。
メールアドレス、ウェブサイトのURL、QRなど。SNSのURLやQRも掲載可能と解される。

広告不可の事例
電話番号の読み方、ウェブサイトのURLやメールアドレスで広告不可な内容を表現すること。
 1374(痛みなし)、3776(みななおる)
 koritoru.com(コリ取る) など
 ※電話番号の場合、実際に看板等に読み方を記載しなければ問題ない。1374など番号自体が悪いわけではない。

施術日、施術時間

掲載可能だが、医療機関と紛らわしい表現方法は不可。「施術」という表現が無難。

広告不可の事例
 診断、診察、休診など、「診」を使用した表現。
 治療時間など、「治療」を使用した表現。

医療保険療養費支給申請ができること

多くの施術所では「健康保険取り扱い」といった表現が使われていることが多いが、あはき師法、柔整師法では「医療保険療養費支給申請ができる」と明記されており、これ以外の表現はできない。
「各種保険取り扱い」の各種がどの保険を表しているのかあいまいであったり、「労災保険取り扱い」「自賠責保険取り扱い」も含めて法律上認められていない。

予約の有無

予約できる旨の表記の他、FAX、メールなど予約を受け付けている方法も広告可能。SNSでの予約を受け付けている旨の表記も可能となっている。

出張による施術の実施

実施しているのであれば患者が施術を受ける選択肢にかかわるため、積極的に発信する情報とされる。こちらも医療機関とまぎらわしい表現はできない。
・出張する範囲や地域、出張に応じる施術者、出張に応じる時間帯、表現として「往療」「訪問施術」 など。

広告不可の事例
 訪問診療、往診などの「診」を使用した表現。
 訪問治療などの「治療」を使用した表現。

駐車設備に関する事項

駐車場の有無、共有スペースの場合は駐車可能スペースの案内、駐車料金、駐車場の写真 など

あはき・柔整に関する内容ではない事項

これまであはき師法、柔整師法に該当しないものは広告できないとされてきた。ガイドライン案では、あはきや柔整に関するものでなければ掲示してもよいこととされた。
例えば企業イメージや防犯の呼びかけなど、あはきや柔整の施術とは関係ないものは、「誘引性がない」として広告ではないという主張はできたものの、明確な決まりがないのが実情だった。特に芸能人や著名人の写真、映像、声、サインは、防犯や防災を呼びかけるもの、イベントの案内、応援するスポーツ選手やチーム、団体などのポスターやパネルの掲出を認めている。
ただし、掲げている芸能人が来院していることや、施術を勧めている場合は広告として制限を受ける。

施術所内の掲示・表示

来院した患者・利用者のみ目にするもの、手にするもの、耳にするものは広告ではない。このためあはき師法、柔整師法の上で制限されることはない。
ただし、薬機法、健康増進法、景品表示法、時には著作権法上の問題になることもあり、なんでもアリというわけにはいかない。
またウェブサイトも基本的な考え方は同じである。

薬機法、健康増進法関係

医療機器を紹介する際に、使用目的以外の効果効能を書くことはできないとされている。極端だが赤外線治療器でガンが治るなど。同様に安全性や即効性、あいまいな表現も書くことはできない。
「安全性が高い」「最高レベルの効き目」「最速で改善」などはNG。

健康食品は医薬品のような効果効能を表示することはできないなど、規制がとても多いので注意が必要。成分に始まり、摂取の仕方や効果効能まで、とても細かく、全てを書き出すとあはき・柔整の施術所の広告の手引きではなくなってしまう。健康食品を物販で扱う場合には、仕入先から表示してよいこと、ダメなことをきちんと聞き取っておくことをオススメする。

施術方法でも同様に「治る」という断言は、全ての患者が治るものと誤解してしまう恐れがあるため不可。
ダイエット系のメニューを取り入れている場合でも「痩せる」の断言は不可。また、使用前・使用後を写真などで説明する場合は、使用後までの期間やかかった料金を記載しておくことをオススメする。すぐに痩せると思った、こんなにお金がかかると思わなかったというトラブルを防ぐことができる。
なお、あはき・柔整の施術所では法律上、あはき・柔整の施術しかできない。ダイエット系のメニューはあくまでもケガの予防や改善の一環であることが必要。

景品表示法関連

法律に「表示」とある通り、広告に限らずあらゆる表示に影響するのが景品表示法。ここでは優良誤認表示の禁止、有利誤認表示の禁止、その他誤認の恐れがある表示の禁止の3つを紹介する。

優良誤認表示の禁止
合理的な裏付けなく、同業他社より優良に見せるもの。
・県内トップクラス ・〇〇地域口コミナンバー1施術所 ・患者数日本一 など
最近では優良誤認表示での処分が増えており、ウェブサイトだけでなく、明らかに院内の表示であろうものまで写真に撮られて指導されるケースもある。大手整骨院グループが倒産に追い込まれたきっかけも優良誤認表示。
特に、実際に開院当初は「県内唯一」でも現在はそうでない場合もあるため、時期によって変化するものは注意が必要。

有利誤認表示の禁止
実際にはずっと割引価格で行っているサービスを「今だけ」などと表示し、サービスを利用させようとするもの。サービスを始めた当初は「今だけ」だったものが、ずっと続いてしまっている場合も有利誤認表示にあたる。

その他誤認の恐れがある表示の禁止
「すぐにガンが治る」といった誇張や誇大な表現。
いわゆる患者さんの声の「※個人の感想です」がなかったり、あっても読めない。
有名人に謝礼を渡して口コミを書いてもらっていたにもかかわらず、自主的に書いたかのように見える「ステルスマーケティング」など。

著作権法関連

チラシ、パンフレット、ポスターなどを無断でコピーして使う著作権侵害は犯罪である。著作権者が刑事告発し有罪になれば、最高で10年以下の懲役か1,000万円以下の罰金。一気に国家資格の免許取り消し、業務停止もあり得る。
日本の裁判所は著作権侵害に厳しく、初犯でも懲役5年となったこともある。さらに民事訴訟になった場合は、損害賠償請求や謝罪広告まで請求されることもあり施術所の信用問題にかかわる。著作権侵害はダメ、絶対。

個人情報保護法

院内であっても、患者の許可がないまま口コミや写真などを掲示することは個人情報の侵害になるため、必ず本人の了承を得ること。

自費施術に関する表示

自費施術は施術所や施術者によって技法等がことなるため、利点や長所以外の以下の項目も理解しやすく表示する。極端に文字サイズを変えたり、文字色を変えて読みづらくしないこと。

1.表示されている施術方法について、問い合わせ先や問い合わせ方法を明示する。

2.施術の内容、方法、料金の情報を提供する。
 特に改善までの期間や料金はトラブルになりやすいため、明確にならない場合も、標準的な施術期間や料金を明示する。

3.施術にかかるリスクや副作用などをわかりやすく提供する。

インターネット上の表現、表示

ウェブサイトはこれまで通り、閲覧者に閲覧する選択権があることから広告とは見なされない。このためあはき師法、柔整師法で制限されることはない。ガイドライン案では関係団体が自主的な取り組みを促すこととなっているが、掲載すべき内容と制限される内容が大枠で示されている。

ウェブサイト

広告とは見なされないため、あはき師法、柔整師法の広告の制限の対象にはならない。ガイドライン案では掲載すべき内容と、掲載不可として制限している内容を大枠で示している。
なお、施術管理者やスタッフなどの従事者個人のブログは制限の対象外だが、施術所のウェブサイトからリンクが張られているなど、一体化している場合は制限の対象となる。
ウェブサイトやSNSにも、院内での表示や表現と同じで、医療法、薬機法、景品表示法などによる制限はある。特にウェブサイトなどインターネット上では、一度公開されたものをなかったことにするのはむずかしい。公開する場合には、専門家を含めた複数の目で確認するのが無難である。これはSNSへの投稿も同様。
特に注意されたいのが景品表示法による優良誤認表示(地域ナンバー1など)や、個人情報保護法(患者の写真やケガなどの掲載)、また記事をそのまま掲載する著作権法違反。

またウェブサイト上に自費施術の「回数券」や「プリペイドカード」について掲載したところ、消費生活センターから回数券やプリペイドカードの文面に「回数券が残っているのに施術所が閉院した場合の払い戻しのための連絡先を記載する」ことを求められた事例がある。ウェブサイトに掲載を控えろということではなく、サービスによっては利用者の保護を求められるケースもある。

SNS

ガイドライン案では、公開範囲が限定されていないものは広告であるとされ、あはき師法、柔整師法の広告の制限の対象となる。また公開範囲が限定されていても、シェアなどで拡散された場合には広告となる。このため、SNSへの投稿は広告であり制限の対象となるという認識を持つべきである。
ただし、ユーザー間でのダイレクトメッセージや、患者や利用者が公式LINEなどで自ら登録してメッセージを受け取る場合は広告ではなくなる。

検索結果に表示されるテキスト広告やバナー広告

検索結果に応じて表示されるテキスト広告やバナー広告は広告である。また広告をクリックした先のサイト(ページ?)も広告とされている。
いわゆるランディングページを指しておりランディングページから次のページに行く際に、閲覧者に先に進むかどうかの選択肢があれば、ウェブサイト全体を指すものではないと考えている。

あはき・柔整の広告の窓口・指導体制

あはき・柔整の施術所の広告はこれまで通り、保健所が管轄する。
また苦情相談が消費生活センター、警察など別機関に寄せられた場合も保健所と連携される。

無資格者の対策

難しい無資格者への規制

検討会ではあはき師・柔整師の広告が検討されると同時に、無資格者に対する規制も求めてきた。しかしながら、無資格者が営む主に慰安を目的とした施設は自由業に該当し医療法はもちろん、あはき師法や柔整師法では対応できず、トラブル事例も多かった。
ここでの無資格者とは、あはき師・柔整師以外の者を指している。理学療法士や作業療法士も国家資格ではあるが、ここでは無資格者という扱いになる。
また、あはき師や柔整師が保健所に届け出せずに慰安のみの施設を運営する場合もここに該当すると考えている。

規制される広告内容

1.虚偽や客観的事実の証明ができない内容
2.他の施術と比較し優位に見せる内容
3.早急に利用することを過度にあおる内容
4.費用が安いことを強調する内容
5.科学的根拠が乏しい内容で利用者の不安をあおりサービスを利用させる内容
6.あはき師法、柔整師法に違反する内容(あはき師・柔整師が施術するかのような内容)
7.公序良俗に反する内容(いわゆるエログロなど)
8.景品表示法、薬機法等の関連法令に反する内容

法令)あはき師法・柔整師法による広告の制限

あはき師法第7条第1項
あん摩業、マツサージ業、指圧業、はり業もしくはきゆう業又はこれらの施術所に関しては、何人も、いかなる方法によるを問わず、左に掲げる事項以外の事項について、広告をしてはならない。
〇あはき師の広告可能な事項
一 施術者である旨並びに施術者の氏名及び住所
二 第一条に規定する業務の種類
三 施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項 
四 施術日又は施術時間
五 その他厚生労働大臣が指定する事項
 一 もみりようじ
 二 やいと、えつ
 三 小児鍼(はり)
 四 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第九条の 二第一項前段の規定による届出をした旨
 五 医療保険療養費支給申請ができる旨(申請については医師の同意が 必要な旨を明示する場合に限る。)
 六 予約に基づく施術の実施 七 休日又は夜間における施術の実施 八 出張による施術の実施 九 駐車設備に関する事項

柔整師法第24条第1項
柔道整復の業 務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、 次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。
〇柔整師の広告可能な事項
一 柔道整復師である旨並びにその氏名及び住所
二 施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
三 施術日又は施術時間
四 その他厚生労働大臣が指定する事項
 一 ほねつぎ(又は接骨)
 二 柔道整復師法第十九条第一項前段の規定による届出をした旨
 三 医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼又は骨折の患部の施術に 係る申請については医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る。)
 四 予約に基づく施術の実施
 五 休日又は夜間における施術の実施
 六 出張による施術の実施
 七 駐車設備に関する事項

終わりに(自己紹介を兼ねて)

昨年までの18年間、大手の施術者団体に職員として在籍し、情報発信などを担当していました。集客のツールを作り、主に療養費の料金改定や制度を発信し、コロナ禍においては柔整・あはきの施術所向けの感染対策のガイドライン(いわゆる業種別ガイドライン)を策定、整骨院という名称が不可とされたときには署名活動の運営もしました。
業界を離れてはみたものの、これまでの経験や知見がもったいないと思い、筆を取った次第です。
団体職員時代には、団体立ち上げに関わった“最強の無資格者”に師事し、後に団体のトップとなる元療養指導専門官のもとで業界について学んできました。
業界発展のために自分にできることがあれば、お声がけください。
一人しかいない柔整あはき制度研究会 代表代行  濱野充

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