サプリメント問題は施術所にとっても無関係ではない

最近ではサプリメントを扱う施術所も増えており、売り方次第では相当の売り上げになるという話も聞いている。ただサプリメントなどの健康補助食品については、10年以上前から日本医師会が過剰摂取を注意喚起し、22年には「医師への相談」を呼びかけ始めている。そんな中で起こった大手製薬会社の紅麹サプリ問題だ。サプリメントを扱う施術者にはよくよく気を付けて患者さんに販売してほしい。しかしながらこの問題は日々の健康という視点で考えたときに、サプリメントを取り扱っているか否かにかかわらず、施術者にとっては大きなことだと感じている。

今回の紅麹サプリは大手製薬会社が手掛けていたサプリメントだけに、被害に遭ってしまった方も多かっただろう。今も症状に苦しんでおられる方には一日も早い回復を祈るばかりだ。今やサプリメントや健康補助食品の類は製薬会社や化粧品会社だけでなく、食品や酒造、お菓子メーカーまでもが参入している。特にBS放送を見ていると頻繁にコマーシャルが流れ、有名人が体験談を語っている姿をよく見るはずだ。この問題により「機能性表示食品」自体の制度上の問題にも飛び火した。体の中に入るものだからこそ国の制度設計もしっかりしてもらわなければならない。

サプリメントや健康食品のことは専門外だが、体に良いとされる成分を高濃度にしているものは、やはり普段の食事と比べると不自然だ。また「健康」と付くが本当に健康になるのかは未知数だ。国がお墨付きを与えているのはやはり健康保険の適用で、医療機関で処方される医薬品に健康保険が適用されるのは効果が十分に認められているからである。しかしそれでも副作用が出てしまうのが現状だ。そういう視点で考えてみると、柔整やあはきの施術はなんでもではないが、健康保険が適用される。しかも人体に備わった回復する機能を手助けし症状を改善させるため、副作用はかなり少ない。

今回驚いたのは日本人におけるサプリメントなどを使用している人の数だ。紅麹サプリの問題で不幸にして被害を受け入院した方は287人、医療機関を受診した方は1,600人を超えている(6月19日時点)が、サプリメントなどを食べたり飲んだりしている割合は男性で3割、女性で4割近くにもなるという(令和元年・厚生労働省の統計)。それだけ健康になんらかの不安を抱え、サプリメントなどを頼っている人が多いということなのだが、このうちのどのぐらいの方が施術所に通ったことがあるのだろうか。

日常生活や仕事に追われる中で、なかなか施術所に行く時間がないという方もおられるかもしれないが、施術所はケガをしたときに行くものだと考えている方がほとんどではないだろうか。最近、東洋医学を特集する番組が定期的に放送され、いわゆる「未病」という考え方が広まってきている。施術所に通うことは急性のケガだけでなく、普段からの健康管理にも効果があるということをもっと世に広めるべきだ。

施術所における普段からの健康管理には健康保険は適用されない。しかしながらサプリメントなどと比べると、より自然に近い形で健康管理ができるはずだ。

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