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ゼム

観ました。(アマゾンプライム配信)

後味の悪い作品でした。

ホラーのカテゴリーですのでそのつもりで観始めました。しかし私の感想は<人種差別>をこれでもか、と描いたものだと。

最近ではアジア人差別も増えていますし、黒人のそれについては、皆、知っていることでもあります。

このドラマでは、確かにホラー要素=科学的に説明できないこと も描かれていますのホラーなのかもしれません。

ですが基本根底に描かれているのは、<差別>です。それも凄まじい・・・・。

理由があっての確執であれば、要因を炙り出してなんとか折り合い、解決に向かう努力もできますが、ドラマの中でのそれは、一方が、他方を嫌い、避け、嘲笑い、陥れ、痛めつける。観させられているこちらは、なんで?と問いただすことさえ、もはやできないくらい精神的に痛く、疲れていきます。

余談ですが低学年の頃のある思い出があります。一年生の私は、地方の付属小に通っていました。その頃の音楽の授業。「空を見上げて」という底抜けに明るい付点リズムの歌を習いました。

そして楽しく歌った後、その素晴らしい音楽の先生は、私たちに言いました。「これは黒人の人たちのお葬式の歌なんだよ」と。衝撃でした。えっ、明るい長調の歌が???  手拍子しながら歌ったこの歌が?

そしてその授業で先生はこう言いました。黒人の人々は奴隷生活をさせられ、辛い悲しい日々だから、死んだら天国に行ける。苦しい日々を終えられ、美しく楽しい世界へ行ける。だから、死ぬことが唯一の救いだと。一年生の私は感受性も強かったので、大泣きしたのです。音楽を既に初めていた私は、その明るい踊りたくなるような音楽がそんな思いで歌われることにとてもショックを受けたのです。黒人霊歌のバックボーンを始めた教えてもらったのでした。

このドラマにもたくさんの黒人霊歌が使われていました。かつての、授業の記憶が蘇りました。同時に何十年、何百年と、結局は変わることなく、そのような無意味な<差別>は続いているわけです。

日本は、宗教もあるようでなかったり、和洋折衷的だったりしますし、いろいろな要素が都合よく入り込んでいます。そこまで日々の生活で、気になることがないのですが、このドラマを見て、改めて歴史や宗教、聖書、様々な問題が潜んでいることを感じました。

ただ辛いだけ、という感想でもありますが、根深い<差別>問題を考えるには良い作品なのかもしれません。

ちなみに「アス」と同じ監督さんのようですよ。


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