見出し画像

michinoxa 1st albam 『ゆりかごから』小話(6) Fundamental

1stアルバム『ゆりかごから』の各楽曲について語る連載です。



2024.05.12 release
michinoxa 1st albam 『ゆりかごから』
1. 203 (feat. 知声)
2. みんないなくなってく (feat. 重音テト)
3. 中の下 (feat. 知声) [2024 Remaster]
4. potta-potta (feat. 知声) [2024 Remaster]
5. 玻璃の心臓 (feat. 知声) [2024 Remaster]
6. Fundamental (feat. 知声) [2024 Remaster]
7. 謎の液体と青い粉末 (feat. 知声)
8. 羽をもがないで (feat. 花隈千冬)
9. 157 (feat. 重音テト)
10. パーソナル (feat. 知声) [2024 Remaster]
11. 君のこと信用してないよ (feat. 知声)
12. ゆりかご (feat. 花隈千冬)

 ↓ Click here to listen ↓



曲全体の話


記念すべき動画サイト処女作

ボカコレ2023春参加曲です。

それまで自分は曲をsoundcloudにアップロードしていたのですが、
視聴数がさっぱり伸びず、ほぼ全曲1桁でした。

さすがに、こんなにこそこそ曲を上げたら曲が可哀想でしょう。

ニコニコ動画にはボカコレという祭りがあると聞き、
だったら参加者を1人増やしてやろうと
ニコニコ動画に動画を上げ始めたわけです。

当時の手持ち曲でも本作はかなり盛り上がりがあるほうで、
個人的にはシングルの主役を張れると思い、
「しゃ!カマしてこい!」と意気揚々と動画投稿サイトの大海に送り出しました。
結果はびっくりするほど伸びなかったわけですが。
(ボカロがこんなに宣伝重視な世界になっていることを、当時の自分は知らなかったのです)



『Fundamental』


学生時代、講義の初回に先生が
「単語を覚えるのではなく、本質を、Fundamentalな部分を理解しましょう」
と仰ったのが「Fundamental」という単語との出会いです。
その言葉が記憶にやけに残っていて、曲名のきっかけになりました。

また、冒頭の歌詞もこのエピソードを基にしています。
下手に名前がついた単語は、誰も本質的な意味を理解しようとしなくなってしまう、という意味です。


名付けられ失ったFundamental
足元に及ばないUnderstanding




サウンド

欲張りすぎた

本作はDTM始めたてのころに制作したもので
「楽しい! あの音源もこの音源も使いたい!」と欲張りました。
当然、mixのに苦労しましたし、
なんなら上手くmixできた気がしません。
曲の勢いと、
ときどきサウンドを減らす時間を作ったことで
なんとか曲としての形を保っているように思います。

好きなポイント

2番に入ったところ
ピアノは1番と同じくゆったりな感じなのですが、
ベースがずかずか速いテンポなのと歌詞の焦り具合が相まって、
「1番と同じ精神状態じゃない、もっと焦っている」ように感じるのが気に入ってます。

1番ラップパートのオケを2番サビに転用している
ここは上記の通りですね。
同じメロディーでもオケが違うと違うように聴こえる例です。
当時「楽しい!!DTMって感じ!!」と、何も考えずオケを配置した覚えがあります。



内容

幼馴染への片思いをこじらせたラブソング

自分の楽曲では珍しく、まっすぐなラブソングです。
恋煩いと、治りかけからまた開く傷口を重ねて、ぐじゅぐじゅな感じにしました。

具合悪い描写も多いですね。
でも思春期って結局こんなんだった気がします。
自分も中学生のころ「悩みすぎると腹を壊す」という自分の体の特徴に気づかないまま物思いに耽りすぎて、毎週のように腹を下していました。
本作でいうと「明日起こるかもしれない天変地異のことを思うと夜も眠れないんだ」みたいなもので、考えても仕方のないことに頭と心を費やしていたように思います。
それが大事な時間なんですけどね。


具合悪い描写一覧

  • 騙されて絆された創傷

  • 塞いでた傷口がまた開いていた

  • 心は北向きで少し湿っている

  • 前頭葉からきのこが生えている

  • 夜も眠れないんだ

  • また塩を塗った創傷に焦燥

  • 頭痛がする 低気圧で気流も上昇


「前頭葉からきのこが生える」を「具合悪い」で片付けていいのかという疑問はありますが、まあこんなところです。

頭からきのこが生えている人のイラスト



キャラクター像

本作の人間関係は以下のようになっています。
異性の幼馴染との精神的な距離が遠くなる、中高生くらいをイメージしています。

人間関係

後輩
本作では序盤の一瞬しか出てこない。可哀想。
「本人」としてもそのくらいの認識なんだと思う。可哀想。

  • 仕事にひたむき(ここでの「仕事」は生徒会や委員会の仕事)

  • 手先が不器用

  • 「本人」のことが気になっている

  • でもあからさまにアタックする勇気はない

  • 「本人」とは同じ委員会に所属している

  • でも委員会とかで「本人」への気持ちがはみ出ているときがある

  • 小柄でつり目のツンデレであってほしい

  • 個人的には後輩の恋を応援したい

  • なんなら委員会やってる部屋の壁になりたい


本人
「自分が後輩さんなんかに好かれるわけがない」と思いながら、幼馴染への不毛な恋に身を焦がしている。

  • 「本命」への片思いを拗らせている

  • でも告白する勇気はないし振られる勇気もない

  • 「後輩」が自分を気になっていることを聞かされたが信じていない

  • 幼稚園のころは無敵だと思っていたが、歳を重ねるにつれどんどん内向的になった

  • 頭は良い

  • 吃音ぎみ

  • 姿勢悪そう

  • 色気ついて大きめのフレームの眼鏡を買ってみたり、髪型を変えてみたりしたけど「なんか垢抜けない…」ってなってほしい


本命
ほとんどキャラが深掘りされていない。

  • 「本人」とは幼稚園からの幼馴染

  • 最近「本人」とはほとんど接する機会がない

  • たまに遭遇すると軽く会釈してくれる。淡白。

  • 「本人」によると最近ますます綺麗になっているらしい



今回は以上です。

歌詞の全文は以下の通り。
改めて見ると、ネガティブな歌詞ばっかりですね。

歌詞

名付けられ失ったFundamental
足元に及ばないUnderstanding
必ずしも言えない「I can do it」
騙されて絆された創傷に
死のにおいが漂う商店街
君にだけは軽蔑されたくない
脳味噌の奥にはまだ届かない
塞いでた傷口がまた開いていた

仕事はひたむき 不器用な手先
後輩は僕のことが気になっているらしい
けどそんなことありえないって
冗談も大概にしてくれ
期待させないでくれ
心は北向きで少し湿っている
前頭葉からきのこが生えている
積りに積った愛憎模様
はいどうぞ
食い物にして育っていくのさ

明日起こるかもしれない
天変地異のことを思うと
夜も眠れないんだ
一緒にいた頃は
あんなにも無敵だったのにな

どうなったって構わない
本当は君で頭がいっぱいさ
溢れそうな感情を1滴ずつ零しているんだ
どうやったって歌えない
口を動かしても言葉は出てこないんだ
「好きだ」ってひとことが
どうして言えなかったんだ?

隠されて失ったFundamental
ひどく外れた位置の絆創膏
また塩を塗った創傷に焦燥
頭痛がする
低気圧で気流も上昇

死のにおいが漂う商店街
この中学校では昔
誰かが屋上から飛び降りたらしい
塞いでた傷口がまた開いていた

友だちの作り方なら幼稚園からやり直したほうがいいよ
一緒にいた頃は
あんなにも無敵だったのにな

どうなったって構わない
やっぱり君のことで頭がいっぱいさ
溢れそうな感情を
ようやくここで言い表せそうだ
どうやったって戻れない
僕らすっかり赤の他人だね
「好きだ」ってひとことが
どうして言えなかったんだ?



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?