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内ポケットのあるジャケットに、ずっと憧れてたんだ。


最近、自分の姿が見つかったというか、自分をピッタリ入れておける器を見つけたような感覚が芽生えてきたんだ。人って大事なのは中身なんだけど、中身だけじゃ動けない。ピッタリ自分に合う靴を履くことが大事なように、服も大切なんだって気づいた。

「服なんて、別に着られればいい」と、ずっと言ってた。
けど、やっぱりこだわりを持っていたし、本当は欲しかったんだよなって思う。


OPT apparelさんの存在を知ったのは、本当に偶然。たまたま知り合っていた友達の投稿で知った。ぼくは普段、あまり投稿を眺める習慣を持っていない。たまたまタイムラインの上にあったものをチラッと見るだけなんだけど、その時もそんな感じだった。

パッと目に入った内容で、あ!って思って目を通して、もう心震えたよね。


まじか!このジャンルを作ってくれた人がいるんだ!!





通常はネットで販売されているOPT apparel さん。…いうても自分に合うのだろうか…そんな不安もあったぼくは、新宿マルイメンでポップアップストアが展開されると知り、迷わず行った。立ち上げたお二人ともお話ししたいとも思って。


実際に試着できたことも、会いに行けたことも、本当によかった。
周囲に自分のアイデンティティをカムアウトできても、「言ったって結局な…」そう感じていた気持ちが、変わった。


「UCHI」という名前のついたTシャツは、至る所にこだわりの詰まった驚きの一着で。夏にTシャツって、かなりハードルが高い。でも、「UCHI」ならって思えた。

セットアップスーツにもなる「RUCA」。最初はブラックを試して、まあまあそうだよねって雰囲気だったけど、カーキを試したらガラッと変わった。肌が「これ!」ってスッと受け入れたのがわかった。また、「RUCA-jacket」には内ポケットがある。腰回りのラインだけじゃなく、そういうところも「そうそうそう!これだよこれ!」って感じ。クールなスタイルだけど、柔らかい色合いで親しみやすくカジュアル。自分の着たかった形というのはもちろん、自分はどんな存在なのか、どんな人間で居たいのか、ちゃんと表現してくれる服だと思った。


試着して、プロダクトの名前の由来も伺い驚いた。これも縁だと思ってその場で購入。せっかくだから「UCHI」と「RUCA」に身を包んで新宿の街を歩いた。晴れ晴れと清々しい気分。


家に帰ったら、母が「それどうしたの?」と言ってくるだろう。秋物春物、男物女物などに細かい母のこと、何て言われるかなとちょっと考えた。出かける時、「新宿にちょっと行ってくる」としか言っていなかったから。

でも、もう大丈夫だろうと素直に話した。母とはその数週間前に改めて話すことができて、なんとなくあったわだかまりがなんとなーくなくなった感じがしていたのもあって、OPT apparelというブランドのこと、立ち上げた人のことも、記事を見せながら普通に話せた。

母は、「へー、いいね。よかったじゃん」という反応で。
値段の話もしたら、「まあ、昔はそれくらいするのは普通だったからね」とのこと。


なんだか大丈夫だったことにホッとした。
親の思いとは違って女の子じゃなかったぼくは、存在自体が親不孝だと思っていたけど、そうじゃなかった。ずっと大きな勘違いをしていたんだな、ぼくは。


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ぼくはこの数年の間、もしも過去の自分と会えたなら…そう何度も思った。
会って、「大丈夫だよ。ぼくのままで」って伝えられたら、
どんなによかっただろう。
人という存在は男女だけじゃないことも。
ジェンダーアイデンティティとジェンダー表現は違うということも。
見た目の姿によって、自分を諦めなくていいんだってことも。


それはもう過ぎたことなんだけどさ。


それでも、伝えられたらいいと思うんだ。


過去の自分と


同じような想いを抱いている人たちへ




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