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感謝と還元。これからコミュニティを創りたいと思ってる人へ。

新しく作った「学校」が第1期を終えた。オフラインのキックオフパーティーで始まって、先週オンラインの卒業式を経て終わった。

楽しい1年間だった。
学びが多い1年間だった。
そして大変な1年間でもあった。

1年間を無事終えることができた安堵もあるけれども、終えたあともメンバーと新しい活動がたくさん出来そうなので楽しみでわくわくしている。

おとなの学校を作った「学び」を還元したい。

このnoteはこれから「おとなの学校」のようなことをやりたいと思っている人にとって参考になることがあればと思って書きたい。そして、日本国内にもっと「学びの場」は必要だと思うし学びの場を作っている人同士でつながってよりいい場を作っていきたい。競争から共創へ。Slackのチャンネル数350個、メッセージ総数は14万件を超えたアクティブなコミュニティの内側を少しでもお伝えして誰かの役に立ったら嬉しい。

そもそもおとなの学校POOLO(ポーロ)って?

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2019年。21世紀型グローバル人材育成プログラムと銘打ってPOOLO(ポーロ)を開校した。年間のプログラムで200名。社会人7割と学生3割。特徴的なのは旅好きだけが集まる学校。学びのカリキュラムは「マインド、ナレッジ、スキル、キャリア」の4領域。年間の講座は50回。自分たちが好きな分野を深ぼっていく。最後の卒業制作のテーマは「#これからの時代にこの世界で僕がやりたいこと」を発表する。

1期は渋谷のTABIPPOのオフィスを中心としたオフライン中心のコミュニティで作られ、2期はオフライン中心で全国から集まるコミュニティに移行した。「自律」と「共創」を大切にしたコミュニティでありプログラムである。


なぜPOOLO(ポーロ)を作ったの?

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こちらは、僕の内面を深ぼる項目なのでどうコミュニティを作るの?という部分に興味ある人はさっと読み飛ばしてほしい。そして、これは僕の視点から書いていて、一緒に作ったメンバーの視点はまた違う。

「楽しさを持って世の中に貢献したい」。

僕を突き動かす衝動は「楽しいか」「貢献しているか」という2つの要素が大きい。(noteでちょっと格好のいいことを言いたいだけなので話半分に聞いてください)

ストレングスファインダーでは「学習欲、着想、ポジティブ」がTOP3に並ぶ人間であり、1人だけで感じる楽しさは虚しくあり1人で出来る楽しさには限りがあると思うタイプだ。

そして「楽しさ」と「貢献」の2つのバランスを支える上で「コミュニティ」「共創」「生産」の3つキーワードを大切にしているのだけれども、その原体験を少し紹介したい。


◉楽しいことをするには「誰か」が必要

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楽しいことをやるためにはつねに「誰か」の存在があった。たぶん人生に一番影響を与えたであろう男13人でのシェアハウス「恵比寿ハウス」の話を少しだけしたい。2012年〜2018年まで20代の青春の大半をこのシェアハウスに捧げた。男13人でシェアハウス。しかも恵比寿。ツッコミどころしかない...。

シェアハウス生活で1番良かったことは「一緒に何かを出来る環境があること」だと思う。例えばパーティーをやりたいなあと思ったとき。1人が3人の友達を誘うと39人の友達が集まるパーティーになる。もう数がすごい。卓球したいねと話したらみんなで卓球台を割り勘で買って卓球大会が始まる。起業しようって言ってメンバー同士で起業する。なぜ毎年写真館で家族写真を撮るのかは良く分からないし、毎年海外旅行にいってゴチバトルをするのかも良く分からない。ただ「やりたいことをやれる環境があること」この大切さ教えてくれたのがこのシェアハウス生活だった。

もっと突っ込むと、他のメンバーがどんなことを大切にしているかが分かると一緒にやりたいことやれることが加速する。このシェアハウスから楽しさの源泉は「コミュニティ」から生まれるという着想を得た。

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◉楽しむためには「消費」から「生産」をする側にうつること。

話を少し変えて世界一周の旅の話をしたい。職業柄、多くの旅好きな世界一周経験者と出会い、旅のアドバイスをすることが多い。ただ、多くの人は旅を自分の中だけで消費して終わり、旅の後は何ごともなかったかのように日常を始めていた。旅に非日常を求めることは良いと思うのだけれども、その非日常と日常とが断絶していた。旅をした貴重な資産というべき経験を活かしきれていない。旅の過程でもいいし終わった後でもいい。感じたことを自分以外のことに使った方がいい循環が生まれるし楽しいことが起こりえる。自分が行った旅先の良さを誰かに伝えることでもいい。お土産を買ってきて誰かに渡すことでもいい。大切なことは誰かに「繋げること」だ。

旅を自分だけで消費することから何かを生産する側にうつること。これがPOOLOのコンセプトである「旅の経験を還元すること」の根本にある。消費側から生産側に。生産をすることで世の中に貢献した方が楽しいしなにより持続的だ。コミュニティデザイナーの山崎亮さんが「楽しさの自給率を上げる」と言っているけれどもこれはまさにと思って共感している。



◉共創と利他を育んだ強烈な原体験アメリカ「バーニングマン」

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アメリカネバタ州の奇祭バーニングマンを紹介したい。【no spectetor/傍観者であるな】と【give&give&give】の精神を育むバーニングマン。1週間砂漠の中に7万人集まる音楽とアートフェス。2012年、2013年の2年連続で参加したんだけれども、この世界観は圧巻だった。強烈に自己との対峙をさせられる。そして自分が表現してなんぼ。自分の心に従う空間であり、誰かのためになることをする優しい空間でもある。

そして、表現されているものの「大きさ」に圧倒される。1人の表現もとても強い。ただバーニングマンには「大きな表現」がたくさんあった。これが「共創する力」なのだなと強く印象に残っている。かなり変わったお祭り(本当に変わっている)ではあるけれども、これは人生に1度でいいのでぜひ仲のいい友人と参加して欲しい。

こうしてアイディア自体は膨らみ、旅大学という枠組みで4年間累計500回以上のイベントやワークショップを試行錯誤したのち、POOLO2019年の開校にいたる。僕の中で色んな旅の経験の還元した形がまさにPOOLOになっている。


コミュニティの設計の仕方

コミュニティを設計する上で参考にしたモデルは3つある。

チェスター・バーナードの組織の要素からは「共通目的、コミュニケーション、協業の意志」。

学習する組織からは「志を育成する力、複雑性を理解する力、共創的に対話する力」。

ティール組織からは「自主経営、全体性、進化する目的」。

色んなモデルはあれど全てに「目的」の必要性については書かれている。会社でいうビジョン、ミッション。このコミュニティが向かうべき方向性はなんなのか。なぜ存在するのか。ここはまず何よりも大切だと思っている。

そして、組織のOSというべき組織の形。自律分散型な組織を選んだ。いわゆるティール組織のような状態だ。主催をする会社TABIPPOがかなり自律分散の形に近いのでそのまま取り入れた。ただこれを大人数でやる苦悩に直面する。(後ほど記載します)

何を一番大切にしたのか?

MITのダニエルキム教授の『成功循環モデル』でこう言われている。

「結果を質を上げるためには何が大切か?」関係の質があがり、思考の質があがり、行動の質があがり、そして結果の質があがると提案するモデルだ。結果の質を上げるにはまず関係の質を上げる所から始まる。

POOLO第1期の仮説は「メンバー同士が深くつながれば何かが生まれる」だった。1期の200名はPOOLOをきかっけに集まった全員初めましての状態だ。まずつながる仕組みをたくさん作り、つながるように促した。話すきっかけになる少人数のグループ制度。部活サークルなど趣味嗜好が合う関わり。似た属性として集まるクラス制度。これらは広く繋がれるための制度だ。そして、他己紹介制度、1on1など深めていくもの。

そして、結果として開始1ヶ月でサークル、部活というものが100個近く生まれた。ただこの爆発力は本当に想定していなくて、Slackが無料提供のものだったので、1ヶ月経つとメッセージが消えていくという悪夢のようなことが起こった。(本当にすみません)ただ関係性の向上と組織の状態はかなり影響はあると思う。

大変だったことは?

POOLOの言葉で言えば「共に学び、共に遊び、共に創る」を共創の3原則としている。そして「共に学び、共に遊び、共に創る」はバランスが大切だと思っていて、学びと創るだけだと息苦しい。オフィスでする雑談のような余白が「遊び」なのだけどこれが果たす役割は大きい。1期の序盤、遊びは比較的多く生まれたのだけれども「学び」と「創る」が生まれるまでに時間がかかった。

プログラム開始3ヶ月が経った頃。「学び」と「創る」が少なく自分の身になってないように思うとフィードバックを受けた。たしかに、遊ぶに圧倒的に全体のリソースが偏っていた。このままだと仲良しサークルのような形で終わってしまう。

全体的なマインドセットが課題かと思い、講座の前後やSlackでメッセージを発したけれど中々変わらない。200名の組織は大きい。

そんな閉塞感に終止符をうったのは、とあるメンバー主体の大型プロジェクトが動いた時だった。千葉にある学校を借りて自治体を巻き込んだ運動会、学園祭のプロジェクトが動き出したのだ。この企画に関わるメンバーは50名近く。一度は台風の関係でリスケになったのだけども、ここから「創る」が動き出した。そして、年間のプログラムが終わる最後の2ヶ月にはたくさんのプロジェクトが生まれた。

今年を振り返ると共創の3つのバランスの大切さを改めて感じる。そして、「共に創る」ことで関係はぐっと深まるし学びも多い。



改善点その1。
創ることを加速させるために整えておけばよかった制度は「人数の制限」だった。1期はなんでも巨大なプロジェクトになりすぎて全ての負荷が大きくなりすぎた。これはルールがなかったので全てのサークルや部活が30名とか40名が入り大きくなりすぎたことがある。

改善点その2。
この共創は自律的な組織モデルを前提としている。プログラム序盤の説明の甘ささから1部のメンバーからこのモデルについては強くフィードバックと批判を受けた。例えば組織全体の改善も参加メンバーと一緒にやりたかったのだけれど、組織改善をするのは主催で全部やることですと主催と参加者をきっぱりと分けて語られてしまった。これは単純に最初のプログラムの見せ方の問題が大きい。

コミュニティを作る上で大切なこと

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「どんな人をどんな基準で集めるのか?」

これはどんな制度やルールよりも大切なことじゃないかと思う。コミュニティの資産は人がほとんどを占める。会社では面接があるし、学校では選考がある。まず、これからコミュニティを始めようと思う人は、「どんな人に来てほしいのか?」ここを考えることを大切にしてほしい。そして、新しく始めるコミュニティは「0から人を集められること」はすごい特権だと思う。

POOLOでは「共創」を重要なテーマとして置いたので、この人は「どんな共創してくれるか?」という視点を何よりも選考で大切にした。利己的な人より利他的な人たちを。

メンバーの顔を覚えづらいのでアプリを作りました!というメンバーがいたり、サークルと部活を整理しましたというメンバーがいたり、メンタルケアをする保健室を作るメンバーがいたり。1年間の集大成でまとめのサイトをつくるメンバーがいたり。

そして、人の強み同士が重なるときの爆発的を本当に感じた1年でもあった。この内なる衝動が重なっていくことがコミュニティの醍醐味であるように思う。

残された課題とこれからやりたいこと


「伝えること、創ること、活用されること」

この3点だと思っている。

1.伝えること
POOLO自体を伝える活動ができなかったことがもったいない。最高なメンバーが集まっている1期のメンバーがいるので、このメンバーの活動をもっと世の中に伝えていきたいし、他のコミュニティの人たちと活動をしたい。1期は正直このみんなの活動を世の中に伝えることがあまりできなかった。なので、2期は伝えることを意識して活動をしたい。

2.「創る」を増やすこと
やはり創ることによる成長は大きい。上でも少し触れたけれど、創るをあまりうめなかった。なので、運営側からも創るきっかけを提供し続けることと少人数制などの意図した設計にすること。2期は色んなコミュニティと連携して創ることができるような設計にしている。

3.POOLOが活用されること。何かのモデルになること。
POOLO自体がどうやったら世の中の価値になるのかを考えると、ここでの学びが誰かの役に立つことなのだと思う。論文でいう引用されること。なので、モデルとしては特殊なことはやらずに汎用的な形にすることを意識している。


そして、POOLOのメンバーが色んな場所で活躍をしていること目指していきたい。あのプロジェクトにはPOOLOメンバーが関わっているらしいよと言われる状態に。目指す学びの場としては「世の中に貢献できる人になるために自らを育む場」である。そしてプレイフルに。

+α:今後仕込みたいこと
デンマークに「フォルケホイスコーレ」という学校がある。ここは全寮制で自分たちが好きなテーマを好きなだけ学ぶ学校だ。POOLOの1期を通じて学びのカリキュラムの大枠は作った。あとは僕が好きな「住む」場所をつくりたい。他にアメリカにミネルバ大学という学校もある。ここは4年間で世界7都市を移動するらしい。住むことによって、その場所の創生にも携わることも出来るし最高に楽しいと思う。


最後に

少し長くなったけれど、これでPOOLOの振り返りを終わりにしたい。もしPOOLOに興味をもった人がいたら今2期の募集中なのでぜひぜひ。あるいは一緒に何か活動しましょうという連絡もウェルカムです。日本全体で学びを場を作っていきたいので相談乗れることなら相談のります。

最後に好きなフレーズと好きな問いを紹介して終わりにしようと思う。


好きなフレーズ。
Eフロムの愛するということの「真の喜びは真の能動にある」というフレーズ。自分の心のそこからやりたいことをやっている状態が一番幸せだと思うし、真の能動を生むコミュニティを僕は理想としている。

好きな問い。
POOLOの1期の卒業式でも話したのだけど、最近気に入っている問いはこちら。

「あなたが心の底から世の中に広めたいことは何ですか?」


最後まで読んでくださりありがとうございました!

おわり。




今POOLO2期生を募集中です。


追記。

POOLO(ポーロ)1期に集まってくれた全てのメンバーに本当に感謝とお礼でいっぱいです。本当に本当にありがとうございました。1期目の運営で手探りなことが本当に多くありました。卒業式で運営メンバーのちゅうやんが泣いていたことが象徴していたけれども、このままで良いのだろうかと不安に思ったことは数え切れないくらいに多くある。ただ、それをPOOLOのメンバーがいつも助けくれた。取り残される人が出ないように。

「自律」と「共創」を大切にしたコミュニティなんだけど、POOLOメンバーの圧倒的な優しさに支えられた1年間になった。人としての暖かさを感じるし、人の尊さが印象深い。たくさんの感謝に溢れた卒業式だったけれども改めて言わせてください。本当に本当にありがとうございました。


ありがとうございます!また新しい旅に出て、新しく感じたことや学びを言葉にできればと思います!あるいは美味しいお酒を買わせて頂きます。そして、楽しい日常をみなさんにお届けできれば。