vol.1 水道業界からアパレル業界へ一歩踏み出した ファーストペンギン〜オアシスソリューション:中村有紗さんのはじめの一歩〜

ミチナル新規事業研究所、特派員の若林です。
組織に潜む「ファーストペンギン」が一人でも多く動き出して欲しい!という想いで知恵と勇気を与える記事を定期的にお届けしていきます。
今回はその記念すべき第1号です。

今回の記事では、水道会社である株式会社オアシスソリューションから「スーツに見える作業着」を開発し、社内起業家というキャリアを歩む、中村有沙氏の始めの一歩を紹介します。


「仕事帰りにそのままデートに行っても、おかしくない作業着はないだろうか?」


大学時代にGMOの熊谷社長の講演を受け、企業が世の中に役立つ事業を新たに生み出すことの凄さを感じたという中村氏。
その出会いから、ベンチャー企業に就職することを決意した彼女は、当時水道工事業のみを行なっていた株式会社オアシスライフスタイルグループへ入社。グループの代表である、関谷有三氏が挑戦する人の背中を後押しする姿勢に惹かれたという。
将来的に新規事業を立ち上げることに興味を持ち入社した彼女は、コミュニケーションが苦手な自分を変えるために営業職で4年間のキャリアを積んでいた。

事業を立ち上げるきっかけとなったものは会社10周年記念のプロジェクト。
「若手の技術職の採用ができない」という課題が話し合われていた。

営業職時代に作業着を着て現場に出ることもあったという彼女は、作業着で大学時代の友人と遭遇した時に恥ずかしさを感じたという。楽しく誇りを持って働いているはずなのに、「作業着というユニフォームのデザインによって、恥ずかしいと感じることはおかしい!」をという想いからこのプロジェクトの中でスーツに見える作業着のアイデアを発案した。


「新規事業を開発しよう」として、スタートをせず、自分たちが心からほしいものをつくったからこそ生まれた強み


営業中感じた「作業着を着ているから、恥ずかしいと感じるのはおかしい!」という想いからスタートした、新しいユニフォームの開発。
目指したものは、作業着を着たままデートに行ってもおかしくないデザインだ。汗や汚れにも強く、毎日ガンガン洗濯機で洗ってもシワになりにくいなど、社内で働く自分たちが欲しいものを純粋に突き詰めた。そして、改善に改善を重ね「スーツに見える作業着」は2年の歳月をかけて完成した。

この作業着を着て業務を行う社員を見た取り引き先からはすぐに反響があったという。そして、三菱地所コミュニティから「管理員の制服として採用できないか?」という問い合わせがあったことをきっかけに、事業化を思い立った。
事業化する際には「作業着なんて個人には絶対売れないよ」「あり得ない発想だよね」という声もあったそうだが、そんな声を振り切り、2018年3月にローンチしたワークウェアスーツは、その年度には年商1億円に達した。現在もコロナウイルス感染対策として洗濯機で洗えることや、伸縮性が高いため快適な在宅勤務着として売り上げを伸ばし続けている。


社員を想う優しさがファーストペンギンを生み出した

事業化を反対する声を振り切り、一歩を踏み出した”ファーストペンギン”中村有沙氏は、社内起業家としてのキャリアを歩んでいる。

この事業は「社員、そして自分がもっと誇りを持って働くために何か出来ないか?」という優しさから生まれたからこそ、共感を呼び、これだけ多くの人に求められているのだろう。

日常の中にある「こうすればもっと幸せになれるのに」「これって違和感あるよね」っていうものをまず声に出してみる。そしてその声をどんな立場の人のものであっても真摯に受け止め、後押しをする組織が増えれば、やりがいに満ちた、仕事をする人が増えるのではないだろうか。
まずは、身近な仲間に小さな発見を話すことから始めてみて欲しい。


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