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#83哲学しようぜ!「世界の眼鏡を掛け替えよう」

3月23日に第12回  ふりかけラジオを放送しました。
今回の放送はこちらからお聴きいただけます。

このラジオをやる際に、なんとなくですが、哲学カフェやりたいな、と思ってました。そこで今回は、同志社大学大学院 哲学専攻 川崎さんをゲストにお招きし
(1)なんで哲学やろうと思ったんですか?
 (2)そもそも哲学って何?ってなんて答えますか?
 (3)哲学って生活のなかでなんか役立つんですかね?
 (4)哲学やっていてよかったということありましたか?
など話題提供していたもらいました。

プロファイル
川崎さんは、高校一年のときに、M.Weber「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」をよんで、政治現象の後ろにある思想に興味を持ったそうです。自宅には読書家の父親の本がたんまりあり、いわゆる「文化資本」が豊かだったことが影響したそうです。

哲学という訳はどこから?
ところで、「哲学」はphilosophyの日本語訳ですが、最初は「希哲学」とそのまま訳していたのが、「希」が省略されたそうです。で、問題は哲学で「飯が食えるか」という難題ですが、川崎さんも「そこが問題」といわれてます。もちろんご本人は将来そのような道を選択されるでしょうが。ちなみに、明治期の日本が海外の西洋思想を日本語にするとき、それまでの漢文・つまり儒教思想が大きく役立ったように思います。

哲学で金儲けできるか?
よくよく考えると、市場経済や資本主義経済では、価値=価格となりますが、哲学に価値はあるとしても、それを価格に換算するのがきわめて難しいといえます。自由競争で価格が均衡するには需要があって初めて有効需要になるのですから、そもそも、「そうした需要の市場規模」が小さいと商売としては成り立ちません。

問題をつくるという作業
哲学というのは、「そもそも」という問いです。あたりまえのように使用している日常用語や、習慣へのあらための問いです。そういうことをいうと「面倒くさい人」でもあるわけですが。

では哲学が必要とされるのは、どのようなときなのでしょう?
GAFAMなどは聞くところによると、「経営」に「哲学者」が入っているらしい。経営ガバナンスに倫理がもとめられ、またSDGsのような考えが当然とされます。地球と人類の問題を考える時代になってこれまでの知識や学問はパラダイム転換を求められています。Googleが成功したのもそうした思想の転換が技術とともに並行できたことが大きいといえます。技術が優れていてもそれを使う人間の側のアップデートが必要です。

つまり、時代のトレンドが大きく変化していく状況が現代です。AI/chatなどで情報は即座に手に入り、既知の知識はあっという間に陳腐化していきます。そういう時代に、哲学が必要になってくる、常識に疑問をもち知を再構成し、知識を創発する時代なのです。

その意味で、川崎さんは将来十分に「飯が食える」ともいえます。ただ、哲学がまさに必要とされる時代が到来しても、その哲学を追究している人材がいない可能性があるとしたら。いざ哲学の出番です、となっても、哲学を理解できる人が誰もいいないという状況。目先の短期的利益のみに限定すると、人生の意味や世界ともかかわり方を喪失してしまいます。

では、哲学は役立つか?
家電やスマホのような生活の利便性はもちえないでしょうが、そのような生活のもつ意味を問い直すこと、事実や現象を別の視点や観点からみることで、新たな見え方が出現する。それが次の認識を生み出し思想を生み出す。人類の知識とは思想の変化そのものです。そのプロセスを哲学は吟味することができる強みがある、と理解できます

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