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の子の詞とメロディが僕を救ってくれた

2017年春から夏にかけて、、、俺はいかれたニートだった。

大学を卒業し、就職活動や進路選択を真剣に行わなかった僕は、親が言うままに資格の勉強をすることに。資格勉強が可能な学校のある東京の家を借り、学校へ通う日々を送っていたのだが、大学のあった大阪→東京への引っ越しによる大きな環境の変化でのストレス、落研という学生時代にすがっていたコミュニティを引退したことにより自分が何者か分からなくなってしまった恐怖感、そして女性にフラれたことなど多くの要素が起因し、精神的に参ってしまい気づけば学校へは通わなくなっていた。ただただゲーム、アニメ、マンガなどを見て時間を潰し、朝4時に寝て昼の2時に起きる生活。飯は一日一食ビッグマックセットのみ。ザ・底辺人間、Not Employment Education or Trainingの完成である。

少しでも自己を正当化したい僕は自分のことをニートではなく、東京に住むニートであることから「東京ニート」と呼ぶことにした。前に東京つけたら何でもカッコ良くないですか?『東京喰種』みたいな感じで。そんなことない?ないね・・・

学生時代から自己肯定感は低い方だったが、こんな生活を続けていたらよりいっそう自分が大嫌いになってくる。マンションの部屋には毎日何語かもよく分からない奇声が鳴り響いた。手首に傷をつけるという行為も試みてみたが、痛かったのですぐやめた。自傷行為というのは心の痛みが身体の痛みを超えたときに初めて可能な行為なのだろう。そう考えるとまだ比較的健康だったのかもね。

荒れに荒れていた僕はSNSでもその勢いはとどまることは知れず。駅構内にある「その他のゴミ」のゴミ箱を写真であげて「僕の家です」みたいなことも呟いてたりしたな・・・


もうそろそろよそうか。


僕のSNSでの様子を察してだろうか。大学は違ったが落研の知り合いで仲の良かったやつからLINEでメッセージが届いた。


「神聖かまってちゃんの曲聴くといいですよ」


これがトリガーとなり、僕は徐々に救われていくことになる。


神聖かまってちゃん・・・2008年に結成されたインターネットポップロックバンド。早い段階でニコニコ生放送などの配信サイトに目をつけ、そこから人気を獲得していった、いわばネット配信バンドの先駆けともいえる存在だ。

全曲の作詞作曲を手掛けているのが、ボーカルのの子。現在はデビュー当初よりは落ち着いたものの、精神が不安定である彼が自身の心を剥き出しにして作ったであろう楽曲は、同じような境遇の人たちにひたすらに刺さり続ける。僕は勝手にメンヘラたちの心の処方箋だと思っている。

中でも特にお世話になった、そして今でも時折お世話になっているのが、こちらのアルバム『つまんね』の黒いたまごという楽曲。

君はどうしようもないだろうね
どうにもならないだろうね
どうしようもないだろうね
どうにもならないだろうね

(神聖かまってちゃん 『黒いたまご』 作詞作曲:の子)

歌詞だけ見ればネガティブな人たちをより傷つけてしまいそうな言葉となっているが、僕はこの曲を聴くことで心の底から楽になった。救われたんだ。


メロディがどうしようもない我々を圧倒的に肯定しているのである。


この境遇になった人たちなら、間違いなく感じることができるはずだ。この曲の優しい音、それらに混じるノイズ、そしてある種の気味の悪さ・・・そこから生み出される「どうしようもなくても、いいんだよ。」という曲の深い部分からのメッセージが。かまってちゃんの曲は、音楽とは、言葉、音、全てを感じとるものだということをまざまざと教えてくれた。そして、東京でどうしようもない暮らしをしているどうしようもない僕を、全肯定してくれたのだ。


かまってちゃんに出会い、ライブに行っての子に出会い、少しずつ病んでいた心が落ち着いてきた僕は、最終的に両親に今まで東京で行ってきた体たらくの内容と資格勉強を辞めたいことを相談。学校に通うのにも多額の費用を使用していたため、こっぴどく叱られたが、優しい両親、改めて就職活動をすることを許可してくれた。今思えばすごい恵まれてるね。「恵まれてるね。」だけで解決できないくらい恵まれてる。今ではオーストラリアに来ることもできてるしね。


ネガティブに入り込みすぎることは良くないが、そんなネガティブな自分だって内なる自分。そいつがすごいパワーを発揮することもあるからこれからは上手く付き合っていきたい。負の感情だからといって心の中でそいつを全否定して刃物でズタズタにしちゃダメだ。泣いてたら、なんも言わずギュっと抱きしめてやろうぜ。

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