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ある日の訪問看護から♯1

これまで訪問させて頂いた利用者様とのエピソードなど。

ハッピーメモリーはいつまでも

この方は80代で、おひとりで暮らしていました。近くにご姉妹がおり、病院へ行く際は付き添ってくれたり、サポートはある方でした。  家事や近所への散歩、行きつけのスーパーでの買い物等、慣れた環境では自立して過ごされていました。

認知症と診断された認識はあり、訪問に行って体調をうかがうと、決まって
『悪いのは頭だけ…私 生きてる?』と。
                              ( ¯▿¯ )?
すでに死んでいて、それに気づいてないんじゃないかと心配だとおっしゃる。真剣だ。

訪問時に注射を打つのだが、
パチンっと注射する音と痛みで、
!!!( ゚д゚)ハッ!!!!
『あ、痛い。私 生きてる!やだ~』って、

私の肩を(  '-' )ノ)`-' )ペシペシッ とされる。
これが毎度恒例のやり取り…(-∇-)

独身で長く会社で事務をし、退職後は国内外問わず旅行されたそうで、その時のアルバムがたくさんあり、見せてくださる。

ヨーロッパに、豪華客船に⟡.·*.
傍らにいつも素敵な男性⟡.·*.( ≖ᴗ≖​)ニヤッ
こちらは、どなた?( -`ω-)
お友達♡(♡´艸`)ウフッ との事だが、
2人でたくさん旅をして素敵な時間を過ごしたのだろう⟡.·*.

時折、この女性から
『昨日ね、お友達が(その男性の事)来たから〇〇駅まで迎えに行ってきたの、一緒にご飯食べてね、お話ししてね。』って。

ほんとかな…〇〇駅まで?!
電車1人で、乗り換えもあるけど…•́ω•̀)?

度々ご本人より、
このようなお話しを伺う事があり、
心配もあり、ご家族と会う機会にこの事についてお話ししてみた。
この女性のご家族より、
その男性も足が悪く長く施設に入っているそう。おそらくお年はもう90歳近く。ご自分では歩ける状態ではないと聞いている。と。

ご本人はとても明るく穏やかな方だが、認知症と向き合い、自分が自分でなくなってしまうような感覚があると話す事がある。明るく振る舞いながら、日々辛さや苦しみ、恐怖とともに過ごしている。

認知症は失われていく記憶もあるが、
ご本人はとても幸せそうなお顔で、この思い出を時々お話しされる⟡.·*.

この方の素敵で大切な思い出や記憶を、ずっと聞いてあげたいと思ったのでした⟡.·*.


添い遂げるということ

ご高齢のご夫婦を訪問していました。
お二人とも100歳目前。
お子さんがおらず、
2人で生活されていました。

ご主人は、常時在宅酸素が必要な状態だったのですが、介入当初はトイレの往復もされていたし、ベットに腰掛けて新聞を読んだりもされていました。
奥様は膝や腰に痛みはありながらも、ヘルパーさんを利用しながら、家事や掃除、買い物等のサポートも受けつつ、出来る事は自分でされていました。

お二人は、
ベッドで横になって過ごす時間が多かったのですが、
お互いの顔がいつでも見れるようにと、ベッドを並べて過ごされていて、微笑ましいご夫婦でした⟡.·*.

このご夫婦には数年訪問させて頂いていたと思います。
その中で体調を大きく崩すことなく、日々過ごされていました。

しかし、持病の影響ももちろんですが、ご高齢であり、時間とともに最期の時は近づいていました。

ご主人は徐々に動くのが困難になり、
これまで、何とか行えていた食事や排泄も自力では難しく。
100歳目前。
眠る時間も多くなりました。
それでも、奥様は何か食べさせたいと、食事を用意しては『食べないの…』と寂しそうでした。

ご本人は以前から、何があっても入院はしたくない。家で死にたいと話していました。
奥様も親戚の方も、ご本人の意思を尊重したいと仰っていました。
いつ何があってもおかしくない状態。

ある日、
いつものように訪問すると、

ご主人は眠っているように息をひきとっていました。

奥様はベッドに横になって、いつものようにご主人を見つめていた。
『今日はよく眠っているんですよ』と
私ににこやかに話す。

伝えなきゃならない現実。
静かに伝える。

『さっきまで話していたのよ』と顔色が変わり、ベッドから起きあがり、ゆっくりそばに行き、ご主人の顔を見つめて

『お父さん』と呼びかける。

返事はない。

しばらく、静かに涙を流しながら
      『お父さんありがとう』と声をかけた。

訪問診療医を呼び待つ間、まだ温かいご主人の手を握っていた⟡.·*.
お2人は再婚同士で色々苦労があった事、
2人でいる事が何より幸せだと、以前からお話しされていた⟡.·*.

最期まで寄り添って過ごされていた2人⟡.·*.

ご主人は最期も大好きな奥様に見つめられながら、その時を迎えたと思うと、
幸せだったのだろうなと思える。

添い遂げるという事はこういうことなのかな⟡.·*.

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訪問看護では、ご高齢の利用者様が多い。
今回の利用者様のように、認知症、高齢のご夫婦、老老介護や独居等、何かしらサポートが必要な状況である。施設や病院へ入るという選択肢ももちろんあるけれど、うまく支える事ができれば、住み慣れたご自宅で、その人らしく生き、過ごせる時間を作ることができる⟡.·*.

訪問する中では、様々な状況や問題がある。在宅療養を支える際に、必ずしも利用者様と医療者の目指すところが違う場合も多い。
その際、看護師として出来る事って何だろうとふと思いつつ、看護師としての専門的な役割りを果たしつつ、その人が望む生き方をどう支援する事ができるのか、いつも考えている。

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最後までお読み頂きまして、
ありがとうございました⟡.·*.






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