新年の挨拶 その2 ―トクマルシューゴ

前回の続きですが、

年始はいろんな音楽作りをしつつ、主に舞台の音楽を作っています。稽古場は緊急事態宣言でさらに時短になり、誰かがちょっとでも体調が悪くなると稽古は一旦中止になりPCR検査となってしまうという、戦々恐々のとんでもない状況が続いています。

仕事柄、ライブハウス、スタジオ、稽古場、撮影現場など密室では、文字通り密になってしまいます。そのなかでも「考え方の違い」は起きていますので、それぞれ異なる対策をしている人や場所が混在しています。

希望的観測を書くと、密室という環境の問題自体は、少しずつ良い方向にアップデートしていっている最中だと思いますし、
今後またマスクなしでも生活できるようになったとして、もしも再び新たな感染症が襲って来た時に即座に対応できるように、同じ失敗を繰り返さないための学びを、今まさに経験中だと思います。
自分も少しずつアップデートしていく必要性は感じています。

と言っても今は実際に出来ることも少なく、
管楽器用/ボーカル用マスクなんてものや、抗体検査キットを調べたり、接触確認アプリ「ココア」も一応入れてますが...。
PCR検査も数回受けていますが、精度はさておき陰性とわかるとなんだかんだホッとするものです(入場口や受付で、体温検査と同じように、安価で即時に検査結果が出るようになるのはまだまだ先なのでしょうか?)。

そもそも、医療用マスクや防護服を着ているわけでもありませんので、完璧な予防ではないですし、会場に行く途中で感染しちゃう可能性もあり得ますし、お客さんもどんな人が来るかわからない、ということもあります。

ただ、前回の記事で「場所によって対策の違いなどの雰囲気や傾向があると感じます」と書きましたが、防げる可能性を1%でも高めようとしてる人が一人いる、というだけでも、きっとその場所の雰囲気や傾向にも影響してくるはずです。それはきっと、感染者をひとりでも減らし、医療崩壊を防ぎ、コントロールできるようになることにもつながっていくと信じています。

それと、ライブ会場は感染確率が高い傾向に感じる、というイメージはどうにも未だ強いようですが、
換気/消毒対策をとても頑張っている会場、窓のついた半オープンエアな会場、完全に野外の会場。

というように、段階的にも、普段の生活に入り込んできても不安を感じなさそうな傾向の会場も多くある、ということを(お客さんとしての自分自身も)もっともっと知りたいと思っています。みんな小さな声で怯えながら告知している、という状況はとてもつらいものです。
(『ミチバタ音楽会』の場所に関しては藤原くんのステキな紹介動画を見てもらえたらと思います!)

次回の『ミチバタ音楽会』の場合では、いつもと見せ方も違ったものになると思います。その時の状況に応じて開催の有無も含め、細かいルールについては後日にお知らせする予定です。
『ミチバタ音楽会』を開催している会場の「BUTTER/Small Alley Cafe」は保育園と同じビルにあります。
土日なので人はほとんどいませんが、自分よりも体も小さく弱い集団のそばで、どう行動すべきなのか、それを考えるだけでも意味があることだと思っています。あとは、なんせミチバタですから、良い意味で見守り合えたら、と思います。


最後に、またイベントを再開したいと思う理由は何か?
その理由は、みんなの(丁寧で素敵な!)エッセイや絵日記を読み進めていくと少しずつわかってくると思います。

また個人的には、もうひとつ。
これは矛盾にもなる話なんですが。
感染症対策としては「みんなで同じ方向を向くべし」という誘導をしているにすぎません。
それが「今」できるベストな選択だと信じて、自分も誘導され誘導しようとしていると思います。それ以外の選択肢はありません。

ただ、「みんなで同じ方向を向くべし」というフレーズだけを抜き取ってみるとモヤモヤしてしまいます。
(全員がマスクをし携帯を見ながら通勤通学している電車やバス(自分もその中のひとり)には、藤子不二雄A先生の世界以上にゾッとします)
前回「わからない事柄に対して意見をぶつけ合うのはポジティブなこと」と書きましたが、
それぞれの行動にはそれぞれの理由があり、いろんな人がいて、同じ方向を向いてない人たちが、わからない人たちが集まるからこそ、新しい発見があり、イベントって面白い、と感じます。
想像を飛び出るからこそ、新しい発見がある。それが「人が集まる」ということなのだと思っています(また、そんな人たちが同じ方向を向き同じ波動を共有する瞬間、そして、そのパワーというのもライブの醍醐味です)。

ちなみに、そもそも「人が集まること」が無条件に良いことだ!とは思っていません。
想像を飛び出ることがある、と思っているだけです。
ただ、もしかしたら今までは、人が集まりすぎて歩みのスピードが早くなりすぎただけなのかもしれません。いろいろ考えてしまいますが、
それはこのコロナ渦以前から、ずっと続いている問題でもあります。

もう1年経ちます。自分も客前ではちょうど1年ライブをしていません。密によって育まれてきた音楽は分解されつつあります。音楽よりも非日常的なことが現在進行形で音楽史を変えていると言えます。世界規模でもどれが日常で非日常なのかわからなくなってしまいました。

そしていま、子供たちは、マスクをした大人を見て成長しています。

バーチャル時代も本格的に到来しそうなので、感性、道徳感、倫理感、『人間』というものが、ますます難しくなってきて、
「今」考え動くことは更に大切な時間になると強く感じています。
この状況はまだまだ続くかもしれません。ただそれは「変化し続けているうちの今」なのだと思います(なんて、実際そんな立派には生きられないけど!)。

『ミチバタ音楽会』は4月3日にスケジュールを設定しましたが、
おそらく状況はまたどんどん変わっていくと思います(自分の考え方も)。
それがどんな形になったとしても、試行錯誤してみたいと思っています。

ということで、長くなりましたが、本年もよろしくお願いします!

トクマルシューゴ(2021/1/25)

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