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日野市議会の一般質問でもやはり「問題が矮小化」 2024年問題は決して「宅配便の再配達」の問題ではない!「置き配バッグ」では絶対に問題は解消しない

【2024年問題とは】2024年問題は荷物が運べなくなる問題、荷物が届かなくなる問題ではなく、「#荷主や消費者の無関心や無理解によって物流が崩壊する問題」なのです。

#日野市議会 #2024年問題 #一般質問  
個人宅宅配は日本の総輸送量のわずか7%以下。残りの90数%は企業間輸送。

2024年問題とは、『宅急便の再配達』の問題ではない。
宅配便の再配達の問題に注視することで、問題が矮小化されている。

先日、日野市議会に奥野りん子さんの一般質問の傍聴に足を運んだ際に、12月議会での議員の一般質問の一覧表のようなものに、非常に気になる文言が。

『4月に施行「2024年問題」、「置き配バック」等で再配達削減』

まさか市議会議員という立場の人間が、2024年問題は未だに宅配便の再配達の問題だけだと思っているんじゃないだろうな…
という不安の思いがよぎりました。

その議員の一般質問の録画中継を見ました。

最初に日野市の「産業スポーツ部長」が2024年問題の概要を説明していました。

「ドライバーの残業時間に制限が設けられ、それに生じる諸問題の総称。働き手不足で物流が滞ることが懸念されている」と説明していました。

働き手不足で物流が滞る、とあるが、ここで既に「2024年問題は物流が滞る問題」といきなり問題が矮小化されている。
なんで物流が滞るか、なぜ残業時間に制限が設けられたら働き手不足で物流が滞るのか、というそもそも根本が話されていない。

どうやら日野市では「日野市気候市民会議」なるものが行われ、そこには早稲田大学から大学教授と日野自動車、佐川急便から代表者が出席し、そこで2024年問題の事が話されたらしいが、そこで話されたのは、予想通り「再配達の有料化、宅配ボックス普及」が話されたらしい。

日野自動車まで出席していたというのに、なんという体たらくなんだ…
日野自動車とは皆さんご存知のとおり、東京都日野市に本社、工場を置くあるトラックやバスといった商用車を製造する日本最大手メーカーである。
(因みに自分は数十年日野のトラックを運転しています)

何度も何度も何度も言わせていただきます。

「2024年問題」とは決して「宅配便の再配達」の問題では有りません。

日野市のこの議員や行政は全くの勉強不足なのか、この2024年問題の対策として、「宅配便の置き配バック」なるものを市として支援、補助できないのか、といったやり取りをしていました。
市長の答弁も、「宅配便の再配達をどうするか、そもそも再配達をそこまでする必要があるのか」などと発言しておりました。 

行政が政府やマスコミの発表を真に受けて、2024年問題を「宅配便の再配達」の問題だけだと信じ込んでいるようだ。
本来ならばそこを突っ込み正すのが政治家の役割のはずだ。
だが、この市議会議員は「コロナ禍で人に触れるのに市民が恐怖を感じている。ならば置き配バックを市で支援するべきだ」などと発言していた。
どの発言を見ても全くこの問題の本質がわかっていなかった。

「ドライバーの残業時間が制限されるとなぜ物流が滞るのか」という本質についてなぜ疑問が湧かないのか。
「ドライバーの残業時間が制限されると、残業代で稼いでいたドライバーはその残業代がカットされ、より低賃金となり、離職率が増加する。その為ドライバー不足となり、全国に荷物が届かなくなり、物流が滞る」んですよ!

もう一度、改めて事の本質をおさらいさせていただきます。

市議会議員や日野市長が発言していたように、2024年問題と聞くと真っ先に玄関前に立つ配達員を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は個人宅宅配は日本の総輸送量のわずか7%以下。残りの90数%は企業間輸送です。

生産工場→物流センター。物流センター→スーパーやコンビニ。海外から運ばれてきた部品などを積んだコンテナ→部品製造工場→建築現場。肥料生産農家→畜産農家→スーパー。
などなど、普段消費者の目には届かずとも、非常に重要な輸送網、それが企業間輸送なのす。

日本のシンクタンク、野村総合研究所が今年の一月「何もしなければ2030年には2015年比で約35%の荷物が運べなくなる懸念がある」という試算を発表してようやくメディアがこの2024年問題を報じ始めました。

この2024年問題は、決して「宅配便の荷物が家に届かなくなる」という問題ではなく、スーパーから野菜が消え、お米が消える。

決して「レトルトカレーが自宅に届かなくなる問題」ではなく、「その注文したレトルトカレーが作れなくなる問題」なのです。

カレー製造工場に野菜や肉を運ぶのも、ひいてはその牛を育てる肥料を運ぶのも、企業間輸送のトラックドライバーなのです。

働き方改革が施行され、ドライバーの労働時間が短くなっても、今までと同等の給料を支払うには運送事業者は荷主に運賃を上げてもらうしかないが、長時間労働の是正についてはいくらでも話が進むのに、なぜか運賃の値上げ、給料の保証においては議論が全く進まないのが現状です。

本来ならば、働き方改革とは労働者の労働環境を改善するための改革だったはず。

とりわけ睡眠不足が常態化し、トラックドライバーとは常に命の危険が背中合わせの職業です。

いつの間にかに働き方改革という「ドライバーの働き方の問題」から「全国に荷物、我が家に宅配の荷物が届かない」という「荷物の問題」に問題がすり替えられている。

まさに名ばかりの「働き方改革」。

市や行政が勉強不足で、肝心の政治家すらマスコミ報道だけを鵜呑みにし、「日本の総輸送の僅か7%」の荷物のことだけしか質問せず、疑問すら湧かない。

これでは2024年問題が解決するはずはありません。

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