寿司ガーディアン、宇宙へ行く

 寿司が意志を持ち、寿司製造機を母胎としてその数を増やして人類の大半を駆逐するまでに、そう多くの時間はかからなかった。

 人類の大半が駆逐されたとはいえ、寿司と共に歩む人類は存在していた。かつて寿司職人と呼ばれた彼らは、現在は寿司たちの守護聖人、寿司ガーディアンとして寿司の傍らにいた。土星の環で回転寿司を作りたいという種族の願いは多くの寿司ガーディアンの心を打ったが、宇宙技術は喪われた技術だ。だが、数日で世代交代をしていく寿司たちの願いを叶えてやりたいと思うのも、職人魂。

 技術が眠るとされる汚染された土地、トヨスへ挑むのは、寿司ガーディアンの筆頭であり、マグロ解体ショーをソロで敢行しきった英雄、将太であった。

 そんな彼であっても、マジカル刺身包丁と職人着のみで、殺人ドローンが回遊する豊洲へ挑むのは危険な任務と言える。しかし、自らの子とも言える寿司への愛情が彼を突き動かしたのだ。


続く

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