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Webディレクション、それは折衝の連続 ~YESマンにならないためにできること~

はじめに

どうも、みちアカウントを運営しているメンバーの者です。このアカウントは複数人で運営しており、入れ違いで記事を書いています。

9月下旬にもかかわらず、「まだまだこんなもんじゃない」といわんばかりの暑さですね。そろそろ冬が恋しいので、ゆきと名乗ることにします。

私は社会人3年目。Webディレクターとして、これまでの経験から伝えられることを自分なりに言葉にしてみます。

Webディレクションはコミュニケーションの連続

前置きはスキップして、早速タイトルについて話していきたいと思います。

業界、職種によって仕事内容に差異はあれど、ビジネスマンに求められる共通点は「コミュニケーション」です。日常会話、電話、メール(チャット)、商談など、ビジネスではコミュニケーションが頻繁に行われています。

私はWebディレクターとして、これまで複数のクライアント、数々のプロジェクトメンバーと共に「より良いWebサイトの制作」を目指して業務にあたってきました。同じプロジェクトに参画するみなさんの「部署」「役職」「これまでの経験」「プロジェクトに求めるもの」は違います。

例えばAさんとBさんとともに、Webサイト内の画像デザインを作成するプロジェクトに入っていたとします。
▼Aさん
・クライアント会社に勤める課長
・プロジェクトの総責任者とまではいかずとも、ある程度裁量は持っている
・カスタマーサポート部門に所属して、本プロジェクト目標もある、ユーザーからのお問い合わせ数を減らすために参画している
・Webサイトのプロジェクトに参画するのはまだ3回目

▼Bさん
・Web制作会社に勤めるデザイナー
・デザイナーとしての経験値が高く、ユーザー視点でのサイトデザインが得意
・これまでのデザインスキルを高く評価され、このプロジェクトに参画
・他プロジェクトも多数兼務しており、短い工数で最大限の成果物を出したいと思っている

このようにバックグラウンドや立場の異なる双方を巻き込みながらゴールを目指すのが、Webディレクターのお仕事です。

関わる人数が多く、経験値や立場(役職)が離れていればいるほど、コミュニケーションは難しくなってきます。
例えば、クライアント会社に勤めるAさんが「もっと派手なデザインが良いです。派手にしてください。」と頼んできたら、あなたはどうしますか?

デザイナーであるBさんに「クライアントが派手にしてほしいとのことです。派手なデザインに変更してください。」と伝えてしまうのは楽ですが、YESマンになりすぎてしまうと、本来のゴールである「より良いWebサイト」が遠のく場合もあります。

こんな時に求められるのがコミュニケーションスキルです。折衝スキルとも呼ばれています。

YESマンにならないためにできること

先ほどの場合、Webディレクターである私ができることは何でしょうか。

①意図を理解する
②ゴールを再確認する
③次のアクションをすり合わせる

私が考えるステップはこの3つです。ステップごとにもう少し噛み砕いていきます。

①意図を理解する

先ほどの場合、Aさんが「派手にしたい」と思った理由は何でしょうか。「派手にしたい」を先走って理解してしまうと、思わぬ石となって躓いてしまうこともあります。Aさんは、ユーザーがサイトを訪れた際に、小さくて見づらい(=サイズを変えた方が良い)と感じたのかもしれません。はたまた、文字を太字にして(=デザインの可読性を高める)ほしいだけだったのかもしれません。

このような場合、Aさんに意図を聞いて言語化することが必要になります。例えば、「与件をもとにデザインに落とし込んだのですが、サイズをもう少し大きくしますか?それとも色味やフォントを変更して見やすくしますか?」と聞いてみましょう。
※やみくもに「何故ですか?」と聞かず、状況や背景など、同じ目線で考えていることを相手に示すことも大事です。

するとAさんは、「派手にしてほしい」と伝えた背景を回答をしてくれると思います。「実はこの画像デザインで伝えたかった情報は、ユーザーからの問い合わせ数が多くて困っているのです。他の情報に埋もれずきちんとユーザーに伝えたいな、と思っています。」

先ほどの「派手にしたい」から一転、「ユーザーからの問い合わせが多い情報のため、ユーザーに分かるように伝えたい」との思いがわかりました。

②ゴールを再確認する

背景の意図が理解できれば、次のステップです。

このプロジェクトは「ユーザーからのお問い合わせ数を減らす」ことを目標として動いています。
Aさんが話してくれた背景「ユーザーからの問い合わせが多いので、分かりやすく伝えたい(=分かりやすく伝えることで、お問い合わせ数は減ることが見込まれる)」は、プロジェクトの目標と合致します。

Aさんの背景と、プロジェクトのゴールがブレていないことが確認できました。万が一、Aさんの背景とプロジェクトのゴールが合致していない場合、合致させるために修正することもWebディレクターのお仕事です。

ステップ①でAさんの意図が理解できたからといって、そのままネクストアクションに落とし込んでしまうのはリスクがあります。Aさんの意図、プロジェクトの目指すゴールが同じ方向を向いているか確認することもまた、Webディレクターに求められるスキルでもあるのです。

③次のアクションをすり合わせる

ここまでで、Aさんのリクエストが言語化できました。「ユーザーからの問い合わせが多い情報のため、ユーザーに分かるように伝えたい」という意図のもと、ネクストアクションを決めていきましょう。

このステップでのすり合わせは、クライアントのAさん、デザイナーのBさん双方を巻き込んでいくので、少し難易度が高くなってきます。まずはデザインの方針についてデザイナーのBさんの力を借りてみましょう。

「『ユーザーからの問い合わせが多い情報のため、ユーザーに分かるように伝えたい』そうなのですが、サイズの変更やフォント変更等、デザイン面で工夫できることありますか?」とBさんに聞いてみましょう。
前述の通り、Bさんは経験値が高くスキルを活かすためにプロジェクトに参画しています。それぞれのメンバーの舞台を演出(=得意を活かせる場を作り出す)こともWebディレクターならではのお仕事です。

先ほどの質問にBさんは答えてくれます「その意図であれば、少し動作をつけて表示させることはいかがでしょうか?もしくはサイズの変更、フォントの変更も良さそうですね。」

ネクストアクションとしての確実な答えを求める必要はありません。Bさんの知見をお借りして、アイデアの幅を広げることをイメージして聞いてみてください。

さて、Bさんに聞いたことでアイデアが膨らみましたね。今のところ画像デザインの修正には、以下のアイデアがあります。
 ・動作をつける
 ・サイズを変更する
 ・フォント/色を変更する

最終決定はクライアント会社に勤めるAさんの回答になりますが、ここでもアイデアをそのまま共有してしまうのはあまりおすすめできません。

これまで揃ったアイデアを元に、優先順位をつけていくのです。ここはまたBさんとも相談しながら決めていく必要があります。冒頭で書いたようにデザイナーのBさんは工数が限られています。短い工数で最大限の成果が出せるアイデアは何か、Bさんと検討してみましょう。

検討の結果、以下のように整理ができたとします。
 ・動作をつける(工数:大 成果:大)
 ・サイズを変更する(工数:中 成果:中)
 ・フォントを変更する(工数:小 成果:小)

ここまで整理できたら、工数でできる範囲はどこまでか、Bさんに聞いてみましょう。するとBさんは答えてくれます「サイズ変更とフォントを変更であれば、実現可能です。」

ここでのコミュニケーションは、「ASIS(現状)、TOBE(あるべき姿)、CANBE(実現可能な姿)」を整理するスキルで、折衝スキルがグンと上がるテクニックです。

これまで出たアイデアたちは、TOBE(あるべき姿)を満たすためのアイデアです。
※TOBE(あるべき姿)は、「ユーザーからの問い合わせが多い情報のため、ユーザーに分かるように伝えたい」です。

ASIS(現状)に対し、TOBE(あるべき姿)を目指すことは正しい道でもありますが、プロジェクトでは限られた予算・工数・期日があります。限られた中で最大限を目指す、それがCANBE(実現可能な姿)です。

先ほどの整理した内容を元に、TOBEとCANBEを分けてみましょう。

TOBE:
 ・動作をつける(工数:大 成果:大)
 ・サイズを変更する(工数:中 成果:中)
 ・フォントを変更する(工数:小 成果:小)

CANBE:
 ・サイズを変更する(工数:中 成果:中)
 ・フォントを変更する(工数:小 成果:小)

ここまで整理ができれば、あとはクライアントのAさんにお伝えするだけです。

「ユーザーに情報をわかりやすく伝えるため、できることを整理しました。アイデアとしては3つありますが、プロジェクトの工数や期日面から、2つの案で進行できればと考えています。それぞれの期待できる効果はこのような見込みです。今回は2つの案でリリースし、ユーザーの閲覧状況や問い合わせ数の増減を確認し、その結果次第で残りの1案含め、工数の大きな改修を検討できればと思っています。」
このようにAさんに伝えてみましょう。ここでのポイントは、TOBEの前にCANBEを実施したいこと、CANBEの結果次第でTOBEを目指す余地があるかを判断していきたいこと、を伝えることです。

伝えたことにより、Aさんは改修案を判断することができ、無事にWebサイトに画像をリリースすることができるようになります。

さいごに

Webディレクターとしての経験をもとに、コミュニケーションについて書いてきました。Webディレクター業務を例に挙げましたが、どの環境においてもコミュニケーションを円滑に進めるにはテクニックが必要です。

社会人になり3年。だんだんと見えるようになってきたこと、それでもまだまだ見えないこと。壁を乗り越えては新たな壁にぶつかる日々を過ごしてきました。

今回は見えるようになったことの1つ、コミュニケーションスキル(折衝)についてまとめてみました。Webディレクション業務では、YESマンではなく、その都度考え、ベストエフォートで成果を出すことが求められていると思います。そして成果を出すための道筋を相手に伝え、巻き込んでいくことがWebディレクターの仕事だと考えます。

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