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本物の。

クリスマス気分を味わいたくて、今ではもう懐かしの映画『ホリデイ』(The Holiday, 2006)を観た。キャメロン・ディアス演じるアマンダがこう言っていた。

—— I want to read a book, not just a magazine. An actual book.
(読書をしたい。雑誌じゃなく、ちゃんとした本を)

年末の稼ぎ時に休暇を取りたいと言い出したアマンダ。スタッフ達がキョトンとしているところに、聞かれてもいないのに「休暇を取ってやりたいことは…」と矢継ぎ早に上のせりふを話し始める。アマンダは不誠実な恋人と別れたばかり。

          ◇

(そう、このアマンダがやりたいことは私にとっても「いつもいつもやりたいけれどなかなかできないリスト」のNo.1だ。私が読みたい「ちゃんとした本」には、例えば、オースティンだとか、ディケンズだとか、漱石、鷗外だとかが挙がってくる。壮大過ぎて気後れする)

          ◇

もちろんアマンダは休暇を取っても、本なんて1ページだって読みはしない---いや、 2秒くらいソファに寝転がってページを開くシーンがあるにはあった。でもやっぱり1ページも読んでないことにはかわりない---なにしろこれはロマンティック・コメディなんだから。まもなく運命の出会いが控えている。

それまで悲しいことがあっても一粒の涙も出ないアマンダだったが、休暇先で本物の恋をして自分の目から涙がこぼれることに驚く。予想どおりの展開だがまあOK。相手役のジュード・ローの意外でキュートなシングル・ダッドぶりが補ってくれる。


そして冒頭の「ちゃんとした本…」のせりふは、後から思うと、こんなふうにも聞こえる気がした。

「誰かとしっかり向き合いたいの。軽い関係じゃなくて、心ふるえる本当の愛を見つけたい」

          ◇

(さて、せりふを無理やり拡大解釈したところで、クリスマスからお正月にかけて読む本を決めようと思う。なにかと忙しい時期だから、

軽いのをいろいろ、がいいかな… )

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