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「スノウブレイク」の売上分析(リリース~2024年2月)

2024年3月20日、香港上場のKingSoftさんは2023年度の業績の詳細を公開。これを機に、スノブレの売上事情について語ろう。

決算発表で株価は大きく上昇


決算報告書の原文はここ、33ページの長文:
357d8394-8d44-48a2-a103-59848f9d6fa9.pdf (kingsoft.com)
(香港上場だから原文は中国語の繁体字)
ちなみに、中国企業の「年度」は普通に暦年になる。つまり、2023年度は2023年の1月~12月に該当する。
(逆に、何で日本企業の年度は4月から始まるのかがいつも不思議に思う)

増収増益:グループもゲーム事業も

KingSoftさんの事業は基本的に3つ:
WPS Office:独自開発のオフィスツール。ライバルはMicrosoft。
KingSoft Cloud:クラウドサービス。ライバルはAlibaba、Huaweiなど。
ゲーム事業:つまりSEASUNさん、中国の武侠ゲーム大手。ライバルは…NetEase?
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この3つの事業の中で、クラウドサービスは一時的に調子が良かったけど、最近は全然ダメ。だから最近の数年間はKingSoftの株価が下がる一方。まぁ、競争相手はあのHuaweiさんだからね。世の中にHuaweiに勝てる組織が存在しないと思う。幸い、Huaweiはゲーム業界に入るつもりがなさそう。
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で、他の2つの事業は順調に伸びてる。2023年度では、
WPS Office事業
売上は45.6億人民元(957億円)、前年同期比17%増加
利益は12.9億人民元(270億円)、前年同期比18%増加
ゲーム事業
売上は39.8億人民元(835億円)、前年同期比6%増加
利益は12.2億人民元(257億円)、前年同期比0.2%増加
そんなに凄い数字ではないけど1人の株主としては概ね満足とも言える。
株価の反応を見る限り市場の期待を超えてるね。

スノブレ:グループに貢献できた?

スノブレの具体的な数字が出てないけど、決算報告書の中で何回も言及した。ここで抜粋して翻訳しよう。
(中国人の言う「二次元ゲーム」は大体日本人の言う「アニメ調ゲーム」に相当する)
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ゲーム事業の売上の部分

ゲーム事業の売上は6%増加。増加の理由は主に(省略)、そしてスノブレとXXの貢献

ゲーム事業の現状説明の部分

二次元シューティングゲーム「スノブレ」はグローバルでリリース、二次元ゲームおよび海外市場を開拓した。

2024年の計画

2024年に関しては、(一部省略)、念入りにSFメカバトルゲーム「Mecha BREAK」を開発し、継続的に二次元シューティングゲーム「スノブレ」を改善する予定
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具体的な数字が書いてないけど、スノブレのユーザなら、これらの内容を見れば安心できるでしょう。

有識者による月間売上推定の推移

本国のとある有名な動画投稿者のデータによると、スノブレの今までの月間売上推定はこんな感じ:
(この投稿者は中国のゲーム業界の従業者、色々内部事情が知ってる。今までの経験だと、この人のデータはSensorTowerなどの情報源よりも正しい)

月間売上推定の推移(単位:人民元)

見事なV字回復。
私の大好きなフリティア先生はちょっと可哀想w
まぁ、フリティア先生の特殊ケースを除くと、蔵鋒も猫もテスも、売上は2千万人民元以上(4億円以上)で安定推移
他のゲームの数字を見る限り、月間4億円以上の売上は既にこのゲームの存続を確保できる。例えば、パ二グレの売上も大体このレベル。だから私はいつもこのゲームの売上は大丈夫だと言ってる。
ただ、2024年に入ると、異変が起きた。良い意味での異変が。
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カーシアの売上は蔵鋒やテスよりは倍増?まぁ、売れるのが分かるが、倍増は流石に伸びすぎではないかと。
もっとびっくりしたのは2月の売上。2月は新キャラもシーズンパスもなかった、あったのは蔵鋒の復刻だけ。なのに売上は蔵鋒の新規実装の9月の1.4倍ぐらい。
復刻の売上は新規実装の売上を大幅に上回る?これは二次元ゲーム業界ではなかなか珍しい事例。
つまり、最近ではスノブレの新規ユーザは大幅増加、リリース時の初期ユーザよりも多いと推定できる。

本国ユーザの急増

私はいつもビリビリを眺めてるけど、ビリビリの様子から見ても、このゲームの本国ユーザは急増中。上記の売上推定の推移と一致してる。
何で最近は本国ユーザが急増してるの?理由はいくつかあると思う:
・Ver1.3からのセクシー路線。これは理由の1つだと思うが、そんなに重要な理由ではない。海外のユーザは急増してないから。
・売上が安定できた。人間なら誰でも流行ってるものに興味がある。本国の二次元ゲーム業界では他のゲームがどんどん潰される中、堅調に伸びてるスノブレは目立つものになるね。
・配信勢の宣伝効果。本国のTikTokでは、数ヶ月前まではスノブレの配信は一度も見たことないが、Ver1.4の頃からは、スノブレの配信者が結構増えた。そしてTikTokの良いところは、スノブレの全く知らない人にも配信は届く、そして数秒ぐらい見せること。これはYouTubeやビリビリの配信にはできない。
本国の男女対立問題の影響。これは一番肝心な理由のはず。
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本国の二次元ゲーム業界では、男女対立がますます激しくなった。
最近の本国の男性諸君は、
・男性キャラの多いゲームは許さない → 原神が炎上
・男性キャラのいるゲームも許さない → 鳴潮が炎上
・男性主人公は主導権を握らないといけない → ドルフロ2追放が炎上
・百合すらも許さない → スノブレはプチ炎上
そう、スノブレは辰星のストーリーでプチ炎上したことがある。(というか、あれは「百合」なの?個人的にちょっと納得いけないが)
で、色んなゲームが男女対立問題で爆発したところ(特にドルフロ2追放)、スノブレは「男性の味方」だと紹介され、他のゲームに幻滅した男性諸君は続々とスノブレを始めた
そしてスノブレは最近の更新で辰星のストーリーを修正した。今後は百合らしいものが出ないはず。
ちなみに、本国の男性諸君が厳しいと思うかもしれないが、それは違う。本国のフェミ達は上記の100倍以上にやばい。
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まぁ、とりあえず、色んな要素の相乗効果によって、スノブレの本国ユーザが急増したと思う。

海外での売上:意外と悪くない

ゲーム内のチャット欄でよく「売上は本国の兄貴に頼む」とかあるけど、うん、数字を見る限り、海外勢も普通に頑張ってる。
グローバルで展開する二次元ゲームの売上の内訳を見ると、
・原神:海外売上は全体の39%
・崩壊スターレイル:海外売上は全体の36%
・スノブレ:海外売上は全体の38%
・崩壊3rd:海外売上は全体の37%
(統計期間:2023年7月~12月)
みんなの割合はほぼ一緒、誤差の範囲内。
あの海外では超有名なmiHoYo(HoYoverse)さんと比べて、無名なSEASUNさんのスノブレの海外売上割合は大差がない。これはちょっと私的に予想外。
まぁ、数字的に悪くないが、やっぱりもうちょっと海外で宣伝して欲しい気持ちもある。特に売上が爆上げの今のタイミング。

最後

とりあえず、売上が増えた分、責任も重くなる。
今の一番の急務は開発のペースを上げて、ボリュームを増やすこと。
サブゲームとは言え、Ver1.4からの3バージョン連続の長い虚無期間が初期勢にはきつい。せっかく新規勢がたくさん来たんだから、彼らにはこんな虚無期間を体験させないようにして欲しいね。

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