[書評]『予定調和から連鎖調和へ』
保江邦夫の風雲舎からの3冊め。2013年9月30日に出た本で、そのことに意味がありそうです。いま読んでも面白いのでしょうか……
保江邦夫『予定調和から連鎖調和へ』(風雲舎、2013)
あらすじ
世界が新しい段階へ移行したといわれる2012年12月22日。それを超えて、まわりに変化があったかどうか、探しだそうと著者はあちこちに行き、いろんな人に会う。しかし、その変化は想像を超えていた……
保江邦夫の風雲舎からの本は、『愛の宇宙方程式』(2012年9月27日)、『人を見たら神様と思え』(2013年3月7日) に続く3冊め。これらに共通する特徴は、黒地に黄色の図の表紙、Kindle でも読めること。最近の保江氏の著作は Kindle 版が出ていないので、この点は貴重だ。
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この本によると、当時、世間は「12月21日から22日にかけて切り替わるというアセンションの瞬間に何が起こるのだろうと夜空を見上げていた人たちがけっこういた」とのこと。その日付けはマヤ暦の終りであり、古い地球が滅びて「次元上昇」(アセンション) すると、周りの人々が興奮するなか、著者は「どこ吹く風とのんびり生きていた」という。
風雲舎から出た次の本『神様につながった電話』(2014年7月28日) によると、旧世界から新世界への移行期間は2014年までだったようだ。それまでは「混じりあっていた状態が、旧世界と新世界に画然と分離する」と、「新世界に移った僕は、僕の側に移った人しか見えなくなる」という。
そんな時期がすぎさった今、この本を読んでも面白いのだろうか。結論からいえば、ワクワクするくらい面白い。著者といっしょになって新しい世界への移行を肌で感じとれる気がする。
どのへんでそれが感じられるかというと、著者のまわりで起きるさまざまな出来事の連鎖のしかただ。不思議なくらい、調和的な出来事が続けて起きる。偶然というにはあまりに不思議なつながりと展開とが、波紋のように広がってゆくのだ。特にルルドへの旅の際には集中的にそんなことが起きる。
物理学者が書いた本らしいのは、こうした世界の変化が、物理的に説明されていることだ。世界がどう変わったかを一言でいうと、〈現在この世界は古典的な数学の複素関数論に登場する「リーマン面」の構造を持っていることになる〉のだという。という具合になるのだが、本書の多くの話題 (UFO、チャクラ、超能力、ルルド、祝之神事、ミカエル、シュタイナー本部、ダンサー、花崗岩、水、ピラミッド、アトランティス、ホピ、遠藤周作、末久和男など) のどれか一つにでも関心があれば、一読の価値があるかもしれない。