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[英詩]Bob Dylan, 'Floater (Too Much to Ask)' (1)

※ 旧「英詩が読めるようになるマガジン」(2016年3月1日—2022年11月30日)の記事の避難先マガジンです。リンク先は順次修正してゆきます。

英詩のマガジン の本配信、今月3本目です。歌われる詩の2回めです。今回は、ボブ・ディランのアルバム '"Love and Theft"' (2001年、下) に収められた 'Floater (Too Much to Ask)' です。

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日本の内科医・漢方専門医・作家の佐賀純一の伝記的ノンフィクション作品『浅草博徒一代 伊地知栄治のはなし』(1989) の英訳 'Confessions of a Yakuza: A Life in Japan's Underworld' (John Bester 訳、1991, 下) にインスピレーションを受けた詩句が見られることで話題になった歌です。

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[Junichi Saga, 'Confessions of a Yakuza' (1991)]

音楽的インスピレーションのほうは、Bing Crosby が1932年に唄った 'Snuggled on Your Shoulder' がソースの一つといわれます。同歌は翌1933年のコメディ映画 'Sing, Bing, Sing' (監督 Babe Stafford) の終わりで Crosby 自身が唄っています (下)。

動画リンク [Bing Crosby, 'Snuggled on Your Shoulder' (1933)]

長い詩なので、数回に分けて取上げます。今回は8連 (公式詩集版の2連) までです。

録音は2001年5月 (ニューヨークの Clinton Recording Studios)。録音エンジニアは Chris Shaw. プロデユーサは Jack Frost (Bob Dylan).

次の参加ミュージシャン。

Bob Dylan - vo, g
Larry Campbell - g, violin
Charlie Sexton - g
Augie Meyers - p (?)
Tony Garnier - b
David Kemper - ds

(vo: vocals, g: guitar, p: piano, b: bass, ds: drums)

参考文献 は、文字数の関係で別の note にあります。

※「英詩が読めるようになるマガジン」の本配信です。コメント等がありましたら、「[英詩]コメント用ノート(202109)」へどうぞ。

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【発行周期】月3回配信予定(他に1〜2回、サブ・テーマの記事を配信することがあります)
【内容】〈英詩の基礎知識〉〈歌われる英詩1〉〈歌われる英詩2〉の三つで構成します。
【取上げる詩】2018年3月からボブ・ディランを集中的に取上げています。英語で書く詩人として新しい方から2番めのノーベル文学賞詩人です。(最新のノーベル文学賞詩人 Louise Glück もときどき取上げます)
【ひとこと】忙しい現代人ほど詩的エッセンスの吸収法を知っていることがプラスになります! 毎回、英詩の実践的な読みのコツを紹介し、考えます。▶︎英詩について、日本語訳・構文・韻律・解釈・考察などの多角的な切り口で迫ります。

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Floater (Too Much to Ask)

次のボブ・ディランの詩テクストはリクスらの校訂版による (公式詩集版は長い連が4つの構成だが、リクス版はそれぞれ4連に分け、合計で16連の構成)。

動画リンク [Bob Dylan, 'Floater (Too Much to Ask)' (Freddy Koella on violin) (London, 24 Nov. 2003)]


Floater (Too Much to Ask)
Bob Dylan

1連

Down over the window
 Come the dazzling sunlit rays
Through the back alleys, through the blinds
 Another one of them endless days

(注)
Another one 前に comes を補って解する (= Comes another day)。1-2行と同じ、副詞句の後で主語と動詞が倒置された構文

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