英詩の基礎知識_4_

英詩の基礎知識(4)

※ 旧「英詩が読めるようになるマガジン」(2016年3月1日—2022年11月30日)の記事の避難先マガジンです。リンク先は順次修正してゆきます。

「英詩が読めるようになるマガジン」の4ヶ月目です。月に主配信3回と副配信(随時)をお届けします。本ノートは主配信です。

基礎知識の第1回では、ピリオドを見つける、詩形を見つける、の二点をお話ししました。詩形については、強勢(単語の強勢、句の強勢、複合語の強勢)、リズムのタイプ(弱強格など)、押韻形式、連の構造を扱いました。

第2回は、句のタイプ、脚韻、男性韻と女性韻、音節構造の rhyme、バラッド・スタンザと脚韻を扱いました。

第3回は、各種の韻のまとめ、構文のとり方を扱いました。

今回は音節を扱います。音節の切れ目について特に考えます。最後に練習問題も附けます。音節を切るのは、考えようによっては、パズルみたいで楽しいものです。原理がわかったら、いろんな単語で切ってみるのもおすすめです。

音節

第2回で少し音節は扱いました。おさらいします。

英語の音節は三つのパートからなります。頭子音+母音+尾子音

・三つ揃った例は man (m+a+n), sit (s+i+t), one (頭に /w/ の子音).
・頭子音がない例は it (i+t), eat (ea+t), ill (i+ll).
・尾子音がない例は bee, key, two.

構成要素は変わることがありますが、音節の核となるのが母音です。その前後に子音がつくことがあるわけです。

■ 音節の切れ目はどこか

英詩の音について分析するとき、強勢のある音節を中心に考えます。強勢のある音節の母音・頭の子音・末尾の子音が他の強勢音節のそれと一致するかどうかを調べます。一致している場合に、それぞれ母音韻・頭韻・子音韻が成立します。

英語の単語では強勢は多く第1音節にありますが、第2音節以下に来ることもあります。その場合は、どこが音節の切れ目かを見つける必要があります。音節の始まりの音と(その前の音節の)終わりの音とを確定するためです。

たとえば、destroy という語があったとして、これが2音節から成ること、第2音節に強勢があることはすぐに分かりますが、第2音節はどこから始まるのでしょうか。-stroy でしょうか。それとも、-troy でしょうか。

どちらかに決めないことには、頭韻が考えられません。頭韻は強勢音節の頭の子音同士が一致する韻ですから、どこが頭か分からないと、話が始まりません。

強勢が第1音節に来る単語で複数の音節から成る場合も、やはり音節の切れ目を見つける必要があります。音節の終わりの音を確定するためです。

つまり、ほとんどの場合で、音節の切れ目がわからないと、実際の韻の分析ができないのです。詩の音の問題を考える場合に避けて通れない問題です。

※ この後は、音節の切れ目の探し方が書いてあります。なお、本マガジンの購読を申し込まれると、初月は無料です(初月無料は一回だけ)。月末に解約すれば費用は発生しません。英詩に興味があれば、ぜひ試してみてください。

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■ 音節の切れ目の探し方

方法は二つあります。

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