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[書評] 月の教科書

マドモアゼル・愛『月の教科書 占星術が誤解していた、この星の真相』(ビオ・マガジン、2021)

マドモアゼル・愛『月の教科書』(2021)

占星術師として行き着いた月理論

占星術師としての著者が行き着いた月理論の一部を述べた書。〈一部〉と言うのは、本書刊行後約1年たってから、本書にも関る、さらに重要な内容を著者が本以外の方法で明らかにしだしたから(著者は発信のための独自の ウェブサイト の運用を開始している)。

しかし、それでも、まだ一部である。肝腎の深層部は、まだ明らかにされていない。それを明かすと、おそらく〈月理解への信頼性を失う〉ことにつながりかねないと、著者は危惧しているのかもしれない(本書283頁)。

その深層部はいつか明らかにされるかもしれないし、されないかもしれない。本書に書かれた内容や、著者が伝えるさまざまの実践的情報を通して、読者の一人一人が自分で悟るしかない。今のところは。

著者は、周波数と、情報の記憶媒体としての水に関る活動および研究を続けてきた。つまるところ、人体の体重の60%くらいが水分であるから、情報を記憶した水から成る人間は、〈水が生きて活動しているようなもの〉と言える。

その水と、本書の月とが大いに関係している。それが重要なところなのだが、本書ではその点にはふれられていない。

占星術にくわしい人でも、本書の内容には驚くのではないだろうか。

月の与える影響についての解釈が従来のそれとは逆だという。そこで、月星座を考える場合の方針が変わってくることになる。

ふつうに、自分は〇〇星座という場合は、〈太陽星座〉のことであり、それに対して、自分の出生時に月がどの星座にあったかが〈月星座〉である。

本書の購入者には、月星座を調べるためのURLが提供され、そこへ行けば、簡単に自分の月星座がわかる。

本書を読みすすむためには、自分の太陽星座と月星座の情報が必要である。

太陽星座と月星座に基づく各人の星占い的内容もさることながら、評者にとっては、月が歴史的に果たしてきた役割のほうが興味深い。

〈月が水をもたらし、水が情報を蓄積していること〉と、本書の月理論が深く関係している。

本書が唱える月理論は、通常の月についての学説とあまりに開きが大きい。せめて、本書の根拠となる参考文献でも示されていれば考える手がかりが得られるのだが、それはない。著者の独自の考察か、それとも参考にした考え方があるのかもわからない。

にもかかわらず、本書の内容は妙に気になる。

著者によれば、〈月は無意識に働きかける天体〉であり、〈私たちの無意識に忍び寄り、事実を悟られないようにして私たちを誘導しようと〉するという。

その結果、私たちは〈「月並み」なことしかできない人間〉になってしまうというのだ。

〈月は迷妄製造機であり、私たちを迷妄へと常に導く〉という。釈迦が説いた「この世は幻影(マーヤ)」の言い方になぞらえるなら、〈月は一貫して幻影を振りまく〉のだと。

著者の言う通りだとして、私たちに何かできることはあるのか。

月の無意識への働きかけの結果、無意識の情報を蓄積した水に代えて、「真水」(真我を表す水)、すなわち〈月化しない水〉を私たちのものとしてゆくのがよいと、著者は最近(2022年6月)、本以外の場所で明らかにした。

占星術に関し素人である評者は、本書をじゅうぶん理解しているとは言えないが、この水に関ることは、著者の実践的アドバイスには確かな手ごたえを感じている。

#書評 #マドモアゼル愛 #月 #占星術 #水 #周波数

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