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[英詩]Bob Dylan, 'Song to Woody'

※ 旧「英詩が読めるようになるマガジン」(2016年3月1日—2022年11月30日)の記事の避難先マガジンです。リンク先は順次修正してゆきます。

英詩のマガジンの本配信、今月3本目です。歌われる詩の回です。ボブ・ディランのデビュー・アルバム(1962)に収められた2曲のオリジナルのうちの1つです。いわずとしれた、ディランの師匠に当たるウディ・ガスリーへの歌です。いったい、ディランは何をこの歌にこめたのでしょうか。

【お知らせ】

来月3月から英詩のマガジンの本配信の構成を少し変えます。従来は〈英詩の基礎知識〉〈英語で書かれた詩〉〈歌われた英詩〉の3部構成でした。

来月から当分、〈英詩の基礎知識〉〈歌われた英詩1〉〈歌われた英詩2〉の3部構成にしようと思います。〈歌われた英詩〉では当面ディランを扱います。

理由はボブ・ディランの重要な歌を概観する日本語の手がかりが現状では少ないという認識をいだいたことです。いっこうにボブ・ディラン詩集は復刊されませんし、一般読者・一般愛好家が訳詞を見たければディランの日本盤で対訳の載っているのを購入するしかありません。これはあまりに寒い状況です。

きっかけは次の記事です。

せめて、この本に載っている歌百篇くらいはカバーしようと思い立ったのです。すでに本マガジンで取上げたものもありますが、ともかく、1か月に最低でも2篇、可能なら4篇ていど、取上げたいと思います。

[Bob Dylan, '100 Songs']

これまではリクス(Christopher Ricks)らの英文学的アプローチに依拠し、かなり長大な論じかたをしてきましたが、この本に載っているものについては、文学性とくに韻律には最大限留意しつつも、スピード感をもって扱ってゆきたいと思います。

つまり、一言でいえば、重厚長大から軽やかなバイクのように、です。

ある程度のスピードをもってディランの歌の群れをながめなければ見えてこない面もあると思うのです。

そこで、これまでは一つの歌に 12,000-15,000 字を費やして論じてきましたが、今後は一つあたり 5,000 字見当で論じてみます。もとより、ディランの詩は複雑で深いので、これだけの字数で論じられるかは不明ですが、読む方の負担も考えつつ、なおかつディランの全体像がくっきり見えるような記述を目ざします。ご理解くだされば幸いです。何かご意見があれば「[英詩]コメント用ノート(201802)」にお寄せください。お待ちしています。

目次
まとめ
原詩
日本語訳
韻律
解釈

※「英詩が読めるようになるマガジン」の本配信です。コメント等がありましたら、「[英詩]コメント用ノート(201802)」へどうぞ。

この定期購読マガジンは月に本配信を3回配信します。そのほかに副配信を随時配信することがあります。本配信はだいたい〈英詩の基礎知識〉〈英語で書かれた詩〉〈歌われる英詩〉の三つで構成します。2016年11月から主要な内容をボブ・ディランとシェーマス・ヒーニでやっています。英語で書く詩人として最新のノーベル文学賞詩人たちです。

【お断り】2018年3月から〈英詩の基礎知識〉〈歌われた英詩1〉〈歌われた英詩2〉の三つで構成する予定です。歌われた英詩はボブ・ディランを当面扱います。

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まとめ

ボブ・ディランのデビュー・アルバムに収められたオリジナル曲2作のうちの一つ 'Song to Woody' はウディ・ガスリーに対する賛辞でもあり、ある意味で別れの歌でもある。ウディの旅の仲間であったフォークやブルーズの歌い手たちをディランも仲間としつつ、これから自分の歌の道を進んでいくとの覚悟がこめられている。耳で聴く詩をいかに終わらせるかの工夫もこらされている。

動画リンク [Bob Dylan, 'Song to Woody']


原詩

Song to Woody
Bob Dylan

I’m out here a thousand miles from my home
Walkin’ a road other men have gone down
I’m seein’ your world of people and things
Your paupers and peasants and princes and kings

Hey, hey, Woody Guthrie, I wrote you a song
’Bout a funny ol’ world that’s a-comin’ along
Seems sick an’ it’s hungry, it’s tired an’ it’s torn
It looks like it’s a-dyin’ an’ it’s hardly been born

Hey, Woody Guthrie, but I know that you know
All the things that I’m a-sayin’ an’ a-many times more
I’m a-singin’ you the song, but I can’t sing enough
’Cause there’s not many men that done the things that you’ve done

Here’s to Cisco an’ Sonny an’ Leadbelly too
An’ to all the good people that traveled with you
Here’s to the hearts and the hands of the men
That come with the dust and are gone with the wind

I’m a-leavin’ tomorrow, but I could leave today
Somewhere down the road someday
The very last thing that I’d want to do
Is to say I’ve been hittin’ some hard travelin’ too


日本語訳

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