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Book/Film Reviews

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書評集
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2020年8月の記事一覧

[書評]新・日本列島から日本人が消える日(下巻)

ミナミAアシュタール『新・日本列島から日本人が消える日』(下巻) (2019) 〈ここからが本題〉と、エピローグで宣言され、ドキッとする。 幕末から現代までの歴史を、戦争のくわしい経過などをまじえて語ったあとである。読者はお腹いっぱいになっている。ところが、そこまでは、いわば前置きにすぎず、本題はこれからというのだから、驚く。 読んでみると、それは本当だった。著者たちが一番つたえたいことはこのあとに出てくる。 それを一言であらわすなら、好きなことをして、楽しく、ご機嫌

[書評]新・日本列島から日本人が消える日(上巻)

ミナミAアシュタール『新・日本列島から日本人が消える日』(上巻) (破・常識屋出版、2019) 相当に変わった本だ。 読者をえらぶ本でもある。あなたがこの書評を読んでいることも、偶然ではないかもしれない。 上巻を読みおわって言えることは、これまでの常識を破壊するような本だということだ。その意味では「破・常識な歴史」という惹句は誇張でない。ただし、神学や宗教を研究している人、ふかい信をいだいている人の場合は本書を読まないほうがよいかもしれない。 * この本に出会ったき

[書評]日本国史学 第14号

日本国史学会「日本国史学」第14号(2019) 日本国史学会の学会誌「日本国史学」第14号に掲載の田中英道の論文「ユダヤ人埴輪をどう理解するか」について。 本論文を元にして、秦氏研究の構想を加え、口述体でまとめた書が『発見! ユダヤ人埴輪の謎を解く』(2019) であった。論文であるので、注釈や参照文献が詳細であること、誤記ないし校正漏れがより少ないことを期待して読んだ。前者は満たされるが、後者はそれほどましとも思えない。学会誌だが、編集委員会の方針なども明記されていない