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シックデイ

シックデイとは

「シックデイ」、聞きなれない言葉かもしれませんが、糖尿病の患者さんでは要注意の言葉です。そのまま訳せば「病気の日、体調が悪い日」といった感じですが、糖尿病の人が体調を崩したり食事を摂取したりできない時のことです。こうなるとキチンと食事を摂ることがむずかしくなりますので、血糖値が乱れるケースが出てきます。そうなると、薬の量を調節するなど、その状態に応じた対処が必要になります。

もう少し詳しく書くと、糖尿病の患者さんは糖尿病以外の理由で体調を崩すときが出てきます。免疫力が低下している傾向がありますので多くの場合は何らかの感染症になりますが、単に風邪を引いて体調を崩したような時だけではありません。下痢や嘔吐、腹痛、発熱、外傷や骨折、急性ストレス、それらによって引き起こされる食欲不振などの症状もシックデイに含まれます。

食欲不振があると食事の量が減ってしまう、あるいは食事自体を摂りたくないために抜いてしまうということも出てくるでしょう。当然ですが、食事を摂らなければその後に来る血糖値の上昇もありませんので、インスリンの使用なども考えなくてはいけません(だからといってインスリンを休薬してよいかどうかの素人判断は危険です)。このような症状があるときは、普段はしっかり血糖コントロールができている人でも、血糖値が乱れやすくなっています。

このような理由から、糖尿病の患者さんにとって「シックデイ」は特に注意が必要な日であると言えます。

シックデイで注意すること

①高血糖に注意

下痢や嘔吐などの症状が何度も起きると、体の方は脱水状態になります。そうなると血液が濃縮されて血糖値も高くなり勝ちです。
また、脱水になると尿の量が減りますから、糖が尿に排出される機会も少なくなって血糖値が高くなりやすくなります。

その他では、風邪をひいたり発熱があったり、消化器系の疾患、外傷や骨折などの症状が出ると体にとっても負担になりますので、ストレスホルモンが分泌されます。このストレスホルモンはインスリンの働きを弱めて、血糖値を高くする力も持っています。

このように、シックデイは血糖値が上がりやすくなっているので、体調不良や食欲不振を理由に自己判断でインスリン注射を止めると、更に著しい高血糖が起こる可能性がでてくるので注意が必要です。

とても危険なので、くれぐれも自己判断はしないようにしてください。

②低血糖に注意

シックデイは高血糖に注意が必要ですが、実は同時に低血糖にも注意が必要です。特に、血糖値を下げる薬やインスリンを使っている場合は注意してください。

シックデイの時には、いつものように食事を摂ることが難しいこともあるでしょう。しかし食事の量が減っているのにいつも通り血糖値を下げる薬を飲んだり、インスリンを使用したりすると、血糖値が下がりすぎて低血糖が起きてしまいかねません。

血糖値を下げる薬の中には、腎臓から薬の成分を排泄するタイプのものもあります。脱水を起こしている時は腎臓の機能を低下させてしまいますので、血糖値を下げる薬の成分が体内に残ってしまい、余計に血糖値が下がってしまうということも出てくるでしょう。

シックデイのルール

シックデイの時に家庭でできる対応について書きます。基本はどのような事をするかを予め決めておいて、いざという時に慌てなくて済むようにしましょう。このような対処を決めておくことを「シックデイルール」といいます。

糖尿病患者さんは、その状態や症状などが一人一人異なります。使用する薬剤も違いますので、あらかじめ主治医と相談して決めておきましょう。

一般的には以下のようなことを行ないます。
・安静と保温につとめる
・スープなどで十分に水分を摂り、お粥やうどんなどで炭水化物を摂る
・インスリン製剤を使っている場合は、決して自己判断をしない
・飲み薬を使用している場合は、薬の量の調整も必要になってくるので、 こまめに血糖自己測定をして、血糖値と病気の状態を確認する

気をつけるべき症状としては、次のような場合です。
・下痢や嘔吐がとまらないとき
・38度以上の高熱が続くとき
・食事が24時間にわたって全然摂れないか、または極端に少ないとき
・血糖値が350mg/dL以上が続くとき
・意識の状態に変化があるとき

どのように対応していいか分かりかねる場合は、受診するか電話をかけるなどで主治医と相談をして、「いつから、どんな症状、食事はどのくらいとれているか、血糖値」などの情報を伝えて、適切なアドバイスをもらっていただくことをお勧めします。

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