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05、ピロリ菌感染の時

・症状は?

前回までに書いてきた通り、ピロリ菌はかわいらしい名前の下にトンデモナイ顔を持っています。この事実を忘れてはいけません。

では実際に感染してしまったら、あるいは自分がもし胃の中にピロリ菌がいたとしたら、どのような症状が出るのでしょうか。これがある程度分かっていれば、感染していることが自分でも判断できると思うのですが。

ピロリ菌は微生物ですから、感染すると症状が出てくる事は何となくお分かりいただけると思います。ただし、ピロリ菌に感染しているからといっても、常に何らかの症状が出るわけではありません。また、ピロリ菌感染に特有の症状があるという事でもありません。

ピロリ菌の感染で出るのは、感染が原因で何らかの病気が発症したときなんです。

現在、ピロリ菌の感染者(保菌者)で症状が出ている人の割合は3割程度と言われています。反対に、胃の中にピロリ菌がいて感染している状態にもかかわらず、なにも症状が出ていない人が7割ほどいるということになりますね。

この3割とか7割とか、どんな調査を行なってその数値を求めたのかまでの詳細については、調べた限りでは分かりませんでした。

ピロリ菌が悪さをする手順はこのような感じの流れになります。

・ピロリ菌に感染すると胃に炎症が生じる
・これが全ての発端となる
・この炎症はピロリ菌がいる間、長期にわたって持続する
・このため、ピロリ菌感染で起きる炎症を慢性胃炎としている
・この炎症が元で、胃の粘膜が萎縮していく
・これによって、胃粘膜が老化したり、十二指腸潰瘍になりやすくなる

加えて、胃の細胞のDNAが傷つけられることで胃癌に発展しやすくなる可能性も出て来ます。その他にも、胃のリンパ腫など関与すると言われている疾患が結構存在するとされています。

そして、胃や十二指腸の潰瘍、胃癌などが原因となって、腹痛や嘔吐、食欲不振、体重の減少などといった症状が見られるようになります。

がた、慢性胃炎が長期化するという事自体が大きな問題です。なぜなら、慢性胃炎が改善されることなく長期に渡って続くと胃の粘膜が薄くなってしまいます。そうすると、「萎縮性胃炎」を引き起こしてしまうんです。

胃の萎縮が進行すると、腸上皮化生を起こします。腸上皮化生とは胃の粘膜が腸の粘膜のようになってしまうことです。この腸上皮化生をおこした粘膜の一部が、胃がん化すると考えられています。

ピロリ菌などというかわいらしい名前ではありますが、名前の下に、じつはとんでもない極悪人の顔が隠れているますね。しかもそれが、胃酸がある環境でも平気で生き延びる術を持つわけですから、これは絶対に侮れない奴ない・・・。

怖いですね。


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