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血圧を調節するホルモン

前回、血圧に影響する因子の話を書きましたが、今回は内分泌系で血圧をコントロールする仕組みについて書きます。

腎臓

血圧の話題と切っても切れない関係にある臓器は「腎臓」です。血管が糸球体などを作って多数密集しているということもありますが、腎臓の機能そのものにも関係しています。

腎臓は血液中の老廃物をろ過して、尿として体の外に排出するのが役割です。もちろん、必要なものやろ過しすぎた物質などは、再吸収として身体に戻す働きも備えています。ですから、排出しすぎるとか、逆に排出が足りないとか、そのようなことは普通であれば起きません。

しかし、腎臓自体が弱ってきて機能が悪くなってくると、老廃物の排出が上手くいかなくなってきます。その時に、血圧に関係する物質で問題になるのが「ナトリウム」や「水分」ですね。ナトリウムが排出できずに残ってしまうと、これは水を引っ張りますから、水分も残りやすくなります。結果として、尿として体の外に出したかった水分が体の中に溜まってしまい、それによって循環血液量が増えて、血圧が上がることになります。血圧が上がると腎臓にも負担がかかりますから、ますます腎機能が低下していくことになるという悪循環に陥ってしまうことになります。

レニンから始まる血圧コントロール

腎臓は血圧をコントロールするという意味では、司令塔のような役割を担っています。血圧が下がると「レニン」という物質を放出して、血圧が上がるように働きかけます。なぜ血圧を上げる働きがあるかというと、血圧が下がると腎機能が低下するからです。腎機能が悪くないことが前提ですが、腎臓では老廃物をろ過して体外に排出したいわけですから、ある程度の血圧がないとろ過する効率が低下してしまいます。そのために、レニンという物質を出して血圧が上がるような仕組みをもっています。

このレニン、腎臓から放出されると、血液中の「アンギオテンシノ―ゲン」という物質を「アンギオテンシンⅠ」という物質に変換させる働きを持っています。アンギオ~はアンジオ~とも呼ばれますが、同じものです。ここではアンギオ~の表記に統一します。

このアンギオテンシンⅠは肺の毛細血管でACE(アンギオテンシン変換酵素)の働きによって、アンギオテンシンⅡとなります。そして、血管を収縮されて血圧を上げるという働きと、副腎皮質に働きかけてアルドステロンと呼ばれる物質を放出させ、ナトリウムを体に溜めることで血液量を増やして血圧を上げる、こういった機能を発揮します。こうして血圧をコントロールして腎機能を維持しています。この一連の流れを「レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系」と呼びます。

この系ではアンギオテンシンⅡとアルドステロンの二つの物質が血圧を上げる方向に働きますが、この系と関係なくアルドステロンが作られてしまうと、何もしなくても血圧が上昇してしまいます。原発性アルドステロン症と呼ばれる状態です。

バソプレッシン

レニンから始まる血圧上昇系の仕組みは有名ですが、人の体にはもうひとつ別の仕組みがあります。バソプレッシンは抗利尿ホルモンとも呼ばれるもので、尿を利用して体外に水分を排出する働きに抗する作用を持っています。水分の排出を抑えることで循環血液量を増やして、血圧を上昇させます。

エストロゲン

エストロゲンは血管を拡張させる働きがあります。これによって、血液の流れがゆったりとなり、血圧が下がります。血管の内皮細胞で作られた一酸化窒素(NO)によって結果kンが拡張するのですが、エストロゲンはこのNOを作らせるという働きを持っています。


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