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増粘剤の話の続き

前回は増粘剤の話でしたが、とろみ剤の話に逸れてしまいました。そこで今回は増粘剤の話をもう少し詳しく書きたいと思います。

増粘剤ですが、食品関係では増粘安定剤とか増粘多糖類だとか、そんな表現になっていることが多いようです。いったいどう違うのでしょうか。ウィキペディアによると、増粘剤は粘度を高めたり、ゲルやゾルの状態を安定させて分離を防いだりするために用いられるもので、食品に用いる場合は「増粘剤」というよりも「増粘安定剤」といった表現になる場合も多いとのことでした。使用の対象は食品以外にも医薬品や化粧品、工業製品などが挙げられます。

では、その増粘安定剤とはどういったものなのでしょうか。

これは、飲料を含めた食品全般に対して使われる用語で、食品に粘性や接着性を使えるために用いられる食品添加物なのだとか。糊料(こりょう)といった表現もあるのだそうです。そして、用途でいくつかに分けられるようです。
食品にねばりやとろみをつけるのは「増粘剤」といい、食品同士を接着して形が崩れたり壊れたりしないようにするのは「安定剤(または結着剤)」と称し、食品をゲル化する場合は「ゲル化剤」と呼ばれる、このように分けられています。

この他にも「増粘多糖類」といった表記の場合があります。一体何かというと、ねばりやとろみをつける目的(つまり増粘剤としての目的)で複数の物質(この場合は多糖類)を使った場合、「増粘多糖類」の表記が出来るんです。その場合は増粘剤としても目的だけですので、安定剤やゲル化剤といった目的で添加するものがあれば、別々に表記しなければなりません。ちょっとややこしいですね。

最近は増粘剤単独の名称もありますが、増粘多糖類という名前をよく目にするようになりました。知名度が上がったのか、使用される頻度が増えたのか、いずれにしても表記のルールに従うことで、消費者がちょっと混乱気味にもなっているように感じます。

さて、話を元に戻して、増粘剤(上記のいろいろなもの、多糖類や安定剤、ゲル化剤なども含めて)を使用する目的は「粘りやとろみをつける」と書きましたが、全然ピンときませんね。書いている私でもよく分かりません。そこで、具体的な利用例を調べてみたいと思います。

例えばチーズの場合、熱を加えると伸びたりしますよね。こういったところに使われているという事なんです。また、プリンのような場合だと、とても口当たりがなめらかですね。このような場合にも増粘剤(この場合はゲル化剤)などが使用されているんです。寒天やゼラチンと言えば、高めの温度で溶かして食品に混ぜたあと、冷やして固める使い方をします。使用の用途が想像できませんか。他にも、揚げ物などの場合も衣の部分のサクサク感を出すために用いられていたりします。

ここで、ちょっと面白い話題をみつけました。食品にもよるのですが、どの様な食材に対して、どの増粘剤やゲル化剤を用いるかということが、食品を販売するうえでとても重要になるのだそうです。日本には四季がありますので、季節によって気温が大きく変化します。「冬ならこのゲル化剤が使えるけれども、夏だと気温が高いので向いていない」、そんな事例がいくつもあるのだとか。下手をするとクレームになるかもしれないこともあるのだそうです。担当する人も大変です、売上まで変わってくるという話でしたから。

こうやって見ていくと、増粘剤ってとても身近に感じられるものなんですね。

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