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38、カプサイシンの話

今回はカプサイシンを取り上げます。この名前はご存じの方も多いと思いますが、唐辛子の辛み成分の名前です。これはグループの名前らしく、この名前の成分は一つではありません。化学的にはカプサイシノイドと呼ばれる化合物の一つで、酸素、窒素、炭素、水素から成る天然の有機物です。

因みに、唐辛子の辛さを示す単位として「スコヴィル単位」というものがあるそうです。唐辛子に含まれるカプサイシンの割合を測定したものだそうです。いわゆる「どっちの方がどれくらい〇〇〇〇か」といった比較をするためなのでしょう。鷹の爪(つまり唐辛子)で、約4万単位だそうです。辛いことで有名はハバネロの場合は10万~25万または35万単位といわれています。

カプサイシン自体は気体になりにくい性質があるために、唐辛子自体をどれだけ砕いてみても辛味は無くなりません。また、加熱調理しても壊れない物質です。水には溶けにくい性質ですが、油にはよく溶けます。料理番組などで唐辛子の辛味を油に移すといった作業を見かけますが、こんな性質を利用しているんですね。酢にも溶けやすいのだそうです。

さて、辛いモノって食べていると食欲が出て来ませんか、もちろん辛さにもよりますが。これは、少量であれば消化器系統の入り口である口や食道、胃が適度な刺激を受けることで、唾液の分泌量が増えるという現象が起きるためです。これが食欲の増進を促します。カプサイシンが少量の場合ですよ。大量に摂取したりすると、胃腸が炎症を起こす場合があります。大人でも炎症を起こすほどのしげきがあるのですから、小さい子供には刺激がより強く感じられでしょう。胃腸障害を引き起こす可能性も出て来ますので、注意が必要です。

カプサイシンにはまだまだ作用があります。例えば唐辛子を食べると体が熱くなってきて、汗を書く事がありませんか。これはカプサイシンがエネルギーの代謝を活発にさせることで体温が上昇し、その結果として発汗が促進されるという一連の流れによります。

人によっては「元気になりたい」といった意味で辛味のある料理を食べたりする人もいるでしょう。じつはカプサイシンにはアドレナリンを分泌させる働きもあるんです。

体内にカプサイシンが吸収されて入ると、血液の流れに乗って全身に運ばれます。そして脳や脊髄などの中枢神経を刺激します。その刺激が、副腎皮質に伝わり、アドレナリンが分泌されるという流れです。このアドレナリン、体脂肪を分解する働きがあるんです。そしてエネルギー代謝を活発にする結果、効率良く脂肪を燃焼させます。これが肥満防止に役立つわけですね。

カプサイシンの働きをしらべると、まだまだ出て来ます。辛い物を食べて体の代謝が良くなると、血流も良くなるでしょう。カプサイシン自体にも末梢血管の血流を改善する働きがありますので、血流が良くなることで体温が体の末端まで運ばれて体を温めることが出来るようになります。その結果として、冷え性を改善する効果があります。

さらに、カプサイシンには腸の蠕動運動を促進する整腸作用があります。腸が活発に活動をして蠕動運動を行うと、内容物がスムーズに移動します。便を押し出すことでスムーズに排泄され、便秘を改善する効果につながります。

生活の知恵をもう一つ。
今はどうか分かりませんが、昔はお米を保存する場所に唐辛子を入れる習慣がありました。防虫効果を期待して入れたものだったとのことです。
今の時代でもお弁当のフタに唐辛子のエキスを含ませたシールを張り付けたりすることはありませんか。これはおまじないなどではなくて、大事なお弁当を守るために使っていたものです。カプサイシンには雑菌を防ぐ効果もあるので、そういったことを皆知っていたのでしょうね。

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